デジタルハリウッド専任講師の小倉イサクです。今回は「CG・VFXクリエイターの需要と供給について」紹介していきたいと思います。CG・VFXクリエイターを目指している人は、この業界の採用状況や雇用形態、平均収入などが気になると思います。今回は、その中から「CG・VFXクリエイターの募集・応募状況」についてお話ししたいと思います。

映像の数だけ仕事がある~高まるCG・VFXクリエイターの需要~

まずはCG・VFXクリエイターの需要について紹介していきましょう。
突然ですが皆さん、今、視界に入るモノの中で、CGが使われているモノにはどんなモノがあるでしょうか。僕の周りを見てみましょう。

本の表紙⇒3DCGのキャラクターが描かれています
テレビ番組や映画のDVD⇒もちろんCGを使用した映像が使われています
女優さんのポスター⇒肌をよりキレイに見せるため、CGを使って補正されています
着ているTシャツ⇒Photoshopで加工された絵がプリントされています
絨毯や壁紙など⇒CGでつくられた特定のパターンで模様が構成されています

ざっと見ただけでもこれだけあります。2Dにしろ3Dにしろ、もはや世の中のあらゆるものに、CGが使われているといえるでしょう。たとえ、"画面を通して見る映像"だけに絞った場合でも、昔みたいにTVのチャンネルが十数個あるだけではありません。今は衛星放送の進歩により、膨大な数のチャンネルが存在していますし、インターネットを通じて見る映像なども加えれば……その数は、無数にあるといってもいいのではないでしょうか。

では、その中で"CGを使うことができない映像"があるでしょうか?
答えはNOです。どんな映像にもCGが採用される可能性は存在します。それにあわせてCG・VFXクリエイターに対する需要は非常に高くなっており、人材は常に求められているのです。

"プロだけの専門分野"ではない!? 常に業界の入口は開かれている

さて、次は供給についてです。皆さんの周りに"映像をつくる人"はどれくらいいますか? 普通、ほとんどいないと思います。つまり、映像作品の数がどんどん増える一方で、クリエイターの数が足りておらず、制作現場では"少人数で頑張る"状況が続いているのです。

では、 "少人数で頑張る状況"とは、一体どんな状況でしょうか。『特別優秀な人材が揃っているので、少人数でも仕事がこなせている』のか、それとも『普通の人たちが頑張って仕事をこなしている』のか。答えは簡単ですね。普通の人たちが頑張っているんです。CG・VFXの仕事は特殊な技術が必要なため、「その道のプロにしか出来ない仕事」 というイメージがありますが、実際は、普通の人達がCGという特殊な技能を必死で身につけ、"少数精鋭のごとく"仕事をこなしているのです。

実は年々、CGや映像を学ぼうとする人達の数よりも、クリエイターの求人数の方が多くなっています。CG・VFXはその特殊さゆえに、知識などを学ぶ時点で身構えてしまう方も多いのですが、今現在活躍しているほとんどのクリエイターが、かつては皆さんと同じ"普通の人たち"だったのです。つまり裏を返せば、知識と技術を学べば誰でもCG・VFXクリエイターになれる可能性があるのです。それに、たくさんある仕事は大勢でこなしていくのが、本来の姿ではないでしょうか? 映像やゲームが好きなら、ぜひ本気で技術を身につけ、この業界で働くことを考えてほしいです。

次回は、正社員までのステップアップや、各業界の平均収入などについて、紹介していきます。