ご存じの通り、DALL·E 3のような生成AIを使うことで画像を自動生成することもできる。だが、多くのデータを学習させたAIによって生成した画像の著作権は誰が保有するのだろうか。成果物を商用利用しても良いのだろうか。業務で使用するには、この辺りを明確にしておく必要がある。今回は生成AIと著作権について見ていこう。

  • DALL·E 3/GPT-4 ChatGPT Plusにて「生成AIが生成した画像の著作権は誰が持つことになるのか考えている博士の絵を生成してください。画像は横長にしてください。光り輝く荘厳な感じにしつつ、アニメ風に仕上げてください。」で生成した画像 その1

    DALL·E 3/GPT-4 ChatGPT Plusにて「生成AIが生成した画像の著作権は誰が持つことになるのか考えている博士の絵を生成してください。画像は横長にしてください。光り輝く荘厳な感じにしつつ、アニメ風に仕上げてください。」で生成した画像(その1)

生成AIで生成した画像の著作権は誰にあるのか

DALL·E 3のような生成AIの技術を使って画像を生成し、業務で利用したい場合、まず最初に「その画像の著作権は誰にあるのか」という点をはっきりさせておく必要がある。この辺りの情報は、文化庁のサイトに掲載されている資料 に分かりやすくまとめられており、参考になる。

  • 令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」の講演映像及び講演資料を公開しました。|文化庁

    令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」の講演映像及び講演資料を公開しました。 | 文化庁

上記の資料には、AIが生成した著作物について次のような説明が掲載されている。

AIが自律的に生成したものは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」ではなく、著作物に該当しないと考えられます。(例)人が何ら指示※を与えず(又は簡単な指示を与えるにとどまり) 「生成」のボタンを押すだけでAIが生成したもの

人が思想感情を創作的に表現するための「道具」としてAIを使用したものと認められれば、著作物に該当し、AI利用者が著作者となると考えられます。

そしてその判断に関わるものとして次の説明が掲載されている。

人がAIを「道具」として使用したといえるか否かは、人の「創作意図」があるか、及び、人が「創作的寄与」と認められる行為を行ったか、によって判断されます。

どのような行為が「創作的寄与」と認められるかについては、個々の事例に応じて判断することが必要ですが、生成のためにAIを使用する一連の過程を総合的に評価する必要があると考えられます。

DALL·E 3の場合、ユーザーが自然言語によって出した指示を基に画像の生成を行う。生成までの会話は1回だけかもしれないし、複数回のやり取りが発生するかもしれない。上記説明によると「簡単な指示」を与えるだけにとどまった場合は著作物として認められないことになるが、著作物となる場合とならない場合の線引がどこになるのかはケースバイケースであり、最終的に裁判所で判断しなければわからないということになる。

結局、執筆時点ではDALL·Eのような生成AIが生成した画像の著作権については「利用者が著作権を持つ可能性が高いと考えられるが、ケースバイケースで判断する必要がある」という表現が当てはまるようだ。

このような技術が簡単に利用できるようになったのはここ1、2年の話だ。今後、法律が改正されていく可能性も高く、生成AIと著作権についてはこれからも最新の情報を収集して認識をアップデートしていく必要がある。

生成AIで生成した画像は使っても大丈夫か?

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