Copilot in WindowsはWindowsの操作を行うことができるという点がWebのMicrosoft Bing Chatとの違いだ。対応している操作はまだそれほど多くないのだが、その機能は徐々に増えている。しばらくはどういった動作ができるのかサンプルを紹介していく。今回取り上げるのはアプリケーションの起動、音量の調整、通知のON/OFF切り替え、BluetoothのON/OFF切り替え、Wi-Fi接続、パソコンのシャットダウンなどだ。

連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照

Copilot in Windowsでできること

執筆時点のCopilot in Windowsは、Microsoft Edgeに統合されているCopilotサイドパネルとほぼ同じだ。Microsoft Edgeの専用機能がWindowsへ移動してきたものにいくつか機能を加えたというのが、現在のCopilot in Windowsの姿である。

Microsoft Edgeに統合されているCopilotサイドパネルは、Webで提供されている「Microsoft Bing Chat」をMicrosoft Edgeのサイドパネルからアクセスできるようにしたものと言える。Copilot in Windowsも基本的にはこれと同じなのだが、それに加えてWindowsの動作もできるという点が異なっている。

なのだが、MicrosoftはCopilot in Windowsから行えるWindowsの操作をどうするかについて、執筆時点でも検討している段階のように見える。やろうと思えばかなりの操作をCopilot in Windowsから行うことができるように実装することはできるとみられるが、安全性などの面からか、なんらかの戦略があるからか、あえてそれを行っていないように見えるのだ。

MicrosoftはCopilot in Windowsで行うことができるWindowsの操作に関して包括的なドキュメントも提供していない。プレビュー版であると謳っているように、現在も開発中および模索中であるという姿勢を示している。

しかしいくつかの動作は現時点でもCopilot in Windowsで操作できることが分かっている。それが便利かどうかは別として、今後しばらくはどのような操作ができるのかを取り上げていく。

アプリケーションの起動

Copilot in Windowsでは「◯◯を起動してください」といった指示でアプリケーションを起動することができる。

  • Microsoft WordとMicrosoft Excelを起動したところ

    Microsoft WordとMicrosoft Excelを起動したところ

上記スクリーンショットでは「Wordを起動してください」および「Excelを起動してください」と指示してアプリケーションを起動している。指示するとCopilotが「はい」「いいえ、結構です」という2つのボタンを表示するので、「はい」をクリックすることでアプリケーションが起動される。

今のところユーザーの確認なしで操作が行われることはなく、上記スクリーンショットのように最後にユーザーが確認を行う(「はい」を押す)必要がある。この一手間は面倒なのでそのうち確認なしでも操作してくれるようにオプションで設定できるか、なんらかの対応が入るように思うが、現時点ではユーザーが確認を行う必要がある。

音量の上げ・下げ

「音量を上げてください」や「音量を下げてください」で音量を調整することができる。

  • 音量の上げ下げを指示したところ

    音量の上げ下げを指示したところ

実際に音量を変更するには「はい」を押す必要がある。

通知のオン・オフ切り替え

「通知をオンにしてください」や「通知をオフにしてください」で通知機能の設定を切り替えることができる。

  • 通知のオン・オフを指示したところ

    通知のオン・オフを指示したところ

実際には通知機能の「応答不能モード」のオフ・オンに切り替えて処理が行われている。

Bluetoothのオン・オフ切り替え

「Bluetoothをオンにしてください」や「Bluetoothをオフにしてください」でBluetoothのオン・オフを切り替えることができる。

  • Bluetoothのオン・オフを切り替えたところ

    Bluetoothのオン・オフを切り替えたところ

Bluetooth接続のキーボードやマウスを使っていると場合、Bluetoothをオフにすると当然だが使えるなくなるので試す際には気をつけてほしい。

Wi-Fiに接続

直接的に指示に対応できなくても、関連するツールが起動されたり、操作内容を指示されることがある。次のスクリーンショットは「Wi-Fiに接続してください」と指示したサンプルだ。

  • Wi-Fiに接続するように指示してトラブルシューティングツールが起動してくるサンプル

    Wi-Fiに接続するように指示してトラブルシューティングツールが起動してくるサンプル

直接的ではないが間接的にこのような処理が行われることがある。

未対応:パソコンのシャットダウン

「パソコンの電源をオフにしてください」と指示すると、次のような結果が得られる。

  • 「パソコンの電源をオフにしてください」と指示したサンプル

    「パソコンの電源をオフにしてください」と指示したサンプル

パソコンの電源をオフにする方法、スリープさせる方法、休止状態にする方法が表示されている。このような場合には会話のスタイルを「より厳密に」に変更して同じ質問をしてみるともっと直接的に答えを得ることができる。次のスクリーンショットは会話のスタイルを「より厳密に」に設定して同じ指示を行ったところだ。

  • 「パソコンの電源をオフにしてください」と指示したサンプル(より厳密に)

    「パソコンの電源をオフにしてください」と指示したサンプル(より厳密に)

Copilotはコンピューターの電源をオフにすることはできないと説明している。やはりセキュリティ的な理由からこうした機能が提供されていないことが分かる。Copilot in Windowsが実際にどのように動作しているのか説明が公開されていないため推測するしかできないが、インターネットを経由して生成AIが返す回答をWindows側が実行するかどうかを判断する仕組みになっていると推測できるだろう。このため、リスクを伴う操作には対応しないという状況になっているのではないかと考えられる。

Copilot in WindowsによるWindows操作はまだこれから

Copilot in Windowsを経由した操作は、そもそもの操作方法(システムトレーから操作するとか、設定アプリケーションから操作するとか、コントロールパネルから操作するとか)が分からない、または覚えていないというときに、代わりに操作を行ってくれるという点が最大の利点になるのではないかとみられる。

とは言え、現時点でCopilot in Windowsが対応している操作は比較的簡単で分かりやすいものが多く、Copilot in Windowsを使ったほうが便利というケースは少ないというのが現実だ。

この状況は今後の開発で徐々に変わっていくものとみられる。すでに最近発表されたアップデート情報でCopilot in Windowsから操作できる対象が追加されることが発表されている。この動きは今後も継続し、Copilot in Windowsから操作できる内容はこれから増えていくはずだ。時間の経過とともにより便利になっていくことが予測される。

現時点ではCopilot in WindowsからWindowsを操作するアドバンテージはそれほど高くないが、将来的にはどこかの段階でその状況が逆転する可能性がある。今後の開発に備えてどのような操作ができるのかこの段階で一通り試しておくのはそう悪くない取り組みだ。

付録: ショートカットキー

ショートカットキー 内容
「Windows」+「C」 Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え

付録: 対応バージョン

OS バージョン
Windows 11 Windows 11, version 22H2以降
Windows 10 Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome

参考