Copilot in Windowsに新機能が追加された。表示するモードの切り替えと、横幅のリサイズ機能だ。使い勝手に直接関わる機能なので取り上げておきたい。そして今回は前回の逆で、日本語の文章を英語に翻訳する例を紹介する。

連載「Copilot in Windowsを使ってみよう」のこれまでの回はこちらを参照

新機能:重ねるモードと横幅のリサイズ

最近のアップデートでCopilot in Windowsに新しい機能が追加された。便利な変更が追加されたのでこのタイミングで取り上げておきたい。

これまでCopilot in Windowsのダイアログはスクリーンの右端に固定幅で表示されていた。このダイアログが表示されるとダイアログに重なるウィンドウは強制的に移動されたり、リサイズされたりしていた。これが不便だという声があり、Copilot in Windowsのダイアログが既存のウィンドウに重なるように表示され、下のウィンドウを強制的に移動させないようになった。

Copilot in Windowsの右上にスクリーンショットに示したようなアイコンが表示されていると思う。

  • Copilot in Windowsのダイアログ

    Copilot in Windowsのダイアログ

このアイコンをクリックするとモードが切り替わり、他のウィンドウの上に重ねて表示されるようになる。

また、Copilot in Windowsの横幅が変更できるようになった。これまでは固定幅で表示されていたが、扱いやすいサイズにリサイズすることができるようになっている。先ほど取り上げた重ねるモードと組み合わせると、必要なときに大きく表示させても既存のウィンドウの場所を移動させることがない。

  • 横幅を変更できるようになったCopilot in Windows

    横幅を変更できるようになったCopilot in Windows

横幅を最大化すると、例えば次のようになる。

  • 横幅を最大化したCopilot in Windowsのサンプル

    横幅を最大化したCopilot in Windowsのサンプル

Copilot in Windowsを多用するようになるとこれまでの横幅では窮屈だった。これでCopilot in Windowsをより扱いやすくなる。

もちろん、Copilot in Windowsと他のウィンドウが常にどちらも表示された状態の方が扱いやすいという場合には、モードを従来のままに設定すれば良い。それでもある程度までは横幅を広げることができるので、これまでよりはカスタマイズが効くようになっている。直接使い勝手に関わる変更なので、実際に試して扱いやすい設定を探してもらえればと思う。

英訳にも便利なCopilot

現在は日本語を英語に翻訳するサービスがいくつもあり、文字数制限はあるものの無償で使えるものもある。日本語を英語に翻訳する必要がある場合にはすでになんらかのサービスを使っているとは思うが、Copilot in Windowsはそうした選択肢の1つになりうるものだ。

Copilot in Windowsが実際にどの機能を使って日本語を英語に翻訳しているかは情報が公開されていないので分からない。しかし、既存の無償の翻訳サービスと比べても十分な機能を提供しているのは間違いなく、Windowsの標準機能として使えるという点が強みだ。

ワープロアプリ、スプレットシートアプリ、プレゼンアプリ、エディター、メーラ、SNSアプリなど、今後さまざまなアプリが標準で生成AIなどを利用した自動翻訳機能を搭載する可能性はある。しかし現状ではCopilot in Windowsを使うというのが現実的、かつ、シンプルな方法と言える。

【よりバランスよく】で英訳

会話スタイルを「よりバランスよく」に設定して、次のように「次の日本語を英文に翻訳してください。」という指示に続けて翻訳してほしい日本語を貼り付ける。スクリーンショットが示すように、「よりバランスよく」での入力文字数は2,000文字が上限だ。

  • 日本語を英文に翻訳するように指示(よりバランスよく)

    日本語を英文に翻訳するように指示(よりバランスよく)

次のように翻訳結果が表示される。

  • 翻訳された英文の表示 その1

    翻訳された英文の表示 その1

  • 翻訳された英文の表示 その2

    翻訳された英文の表示 その2

【より創造的に】で英訳

今度は会話スタイルを「より創造的に」に設定して、同じように翻訳を行ってみる。「より創造的に」に設定するとプロンプトに入力できる文字数上限が4,000文字へ増えるので、先ほどよりも長い文章を翻訳することができる。

  • 日本語を英文に翻訳するように指示(より創造的に)

    日本語を英文に翻訳するように指示(より創造的に)

翻訳結果は次のようになる。

  • 翻訳された英文の表示 その1

    翻訳された英文の表示 その1

  • 翻訳された英文の表示 その2

    翻訳された英文の表示 その2

こちらのケースでも詳細情報に翻訳サービスを提供しているWebサイトが掲載されている。どのように翻訳しているかは分からないが、こうしたサービスを利用して翻訳を行っている可能性がある。

【より厳密に】で英訳

会話スタイルを「より厳密に」に設定して同じように翻訳を行ってみる。こちらもプロンプトに入力できる文字数の上限は4,000文字だ。

  • 日本語を英文に翻訳するように指示(より厳密に)

    日本語を英文に翻訳するように指示(より厳密に)

翻訳結果は次のようになる。

  • 翻訳された英文の表示 その1

    翻訳された英文の表示 その1

  • 翻訳された英文の表示 その2

    翻訳された英文の表示 その2

英文を日本語に翻訳するケースでは「より厳密に」を設定した場合には詳細情報が表示されなかった。しかし、日本語を英文に翻訳したケースでは詳細情報に翻訳サービスを提供しているWebサイトが掲載されている。

生成AIを使った翻訳は毎回同じになるとは限らない

生成AI技術は何層もの確率的なレイヤーがあり、同じ入力だったとしても必ずしも同じ文章が表示されるとは限らない。むしろ、同じ質問をしても毎回違った文章が返ってくることがほとんどだということは多くのユーザーが経験しているところだと思う。

生成AIの翻訳であっても元の文章が曖昧でいくつかの意味に取れるような書き方をしていると、翻訳結果は異なる内容になることがある。そういった場合には元の文章を変更してからもう一度翻訳してみるとよい。または、翻訳結果の言い回しが微妙に異なるニュアンスになっている場合には、繰り返し翻訳を指示したり、別の言い回しで翻訳するように指示したりすることで目的とする文章を得やすくなる。

日本語への翻訳や、日本語からの翻訳が必要となる業務はそれなりに限られてくると思うが、この機能はCopilot in Windowsの機能を示す上で興味深いものなので取り上げた。生成AIはとにかく大量の文章を理解する能力に長けている。この特徴を理解すればCopilotに振るべき作業も自ずと見えてくる。

付録: ショートカットキー

ショートカットキー 内容
「Windows」+「C」 Copilot in Windowsの表示・非表示を切り替え

付録: 対応バージョン

OS バージョン
Windows 11 Windows 11, version 22H2以降
Windows 10 Windows 10, version 22H2以降のProおよびHome

参考