Google ChromeOSはGoogleが開発しているオペレーティングシステムだ。使われている技術の多くにGoogle Chrome由来の技術が使われているし、当然ながらWebブラウザとしてはGoogle Chromeが使われるようになっている。しかし、Google Chrome以外のWebブラウザが使えないわけではない。Google Chrome以外のブラウザを使うことはできる。
そこで、今回はChromebookでにおいてFirefoxを使うことを考えてみたい。→連載「Chromebookはビジネスでどこまで使えるか?」のこれまでの回はこちらを参照。
ブラウザ市場で影響力が大きなGoogle Chrome
Google Chromeは世界で最も多く使われているWebブラウザだ。デスクトップ/ノートPC、スマートフォン、タブレットデバイスにわたり、最も多く使われているWebブラウザであり、その影響力は絶大だ。
実のところ、Google ChromeはGoogle Chromeのシェアよりもその影響力は大きな状態にある。それには、次のような背景がある。
GoogleはGoogle Chromeの技術のほとんどをChromiumというオープンソース・ソフトウェアとして公開している。そして、Google Chrome以外のWebブラウザの多くがChromiumを基盤技術として取り込んでいる。つまり、名称は異なるが、Google Chromeの兄弟のようなWebブラウザがいくつもある状態なのだ。
例えば、デスクトップ/ノートPCで第2位のシェアを持っているMicrosoft Edge (2022年11月時点のStatCounter調査)は、その基盤技術にChromiumを採用している。Chromeの基盤技術を使い、それをMicrosoft風にまとめなおしたWebブラウザが現在のMicrosoft Edgeだ。こうした仕組みのWebブラウザがほかにもある。
逆に、Chromeの基盤技術との関連性が低いWebブラウザには、Mozilla FirefoxやApple Safariなどがある。
Chromeだけじゃダメないのか?
Google ChromeはそのほとんどをChromiumとしてオープンソース・ソフトウェアとして公開しているのだから、WebブラウザとしてはGoogle Chromeだけあればよいのではないかと考えるかもしれない。だが、それはそれで不健全な状態になりやすい。
例えば、Googleは広告やトラッキングに関しては比較的行動が広告提供者寄りの姿勢を見せている。収益源としての広告という位置づけがあることから、広告をブロックする技術の開発および投入には比較的慎重な姿勢を見せている。
一方、Mozilla Firefoxはプライバシやトラッキングという面では、ユーザーを尊重して機能を実装する傾向が強い。どちらがよい悪いという話ではなく、特定の問題に対し選択肢が存在し、ユーザーが「選べる」状況にあることが好ましい。こうした視点からいくと、Chrome以外にもFirefoxやSafariといった思想の異なるWebブラウザが存在する方が全体として健全な状態といえよう。
選択肢があり続けること、そして機能の違い
Webブラウザ上に、最近インターネットで調べた商品や購入した商品がやたらと広告に表示されることは多くのユーザーが経験していることだろう。広告事業者は広告の効果を上げるためにさまざまな手法でユーザーをトラッキングしており、「何に興味を持っているか」「どんな買い物をしたのか」といったことを把握している。それが本段落の最初に述べた状況を生み出している。
こうしたトラッキングを問題視するユーザーもおり、そうしたユーザーには強力なトラッキング防止技術やプライバシ技術を搭載したWebブラウザがお勧めだ。Firefoxはこれらの機能を備えているので、Webブラウザの広告とにうんざりしている場合は有効な手段となりうる。
主要なWebブラウザはほとんど同じような機能を提供しており、拡張機能まで入れたら、その差はほんとうに少なくなるが、それでも各Webブラウザ固有の機能がある。そういった機能を使うためにChrome以外のWebブラウザをインストールして使うこともある。
Mozilla Firefoxをインストールする
そんなわけで、今回はGoogle Chrome以外のWebブラウザとしてMozilla Firefoxをインストールする方法を取り上げる。ChromebookでChromeとは異なる実装系のWebブラウザとしては、Firefoxが第1候補に挙がりやすいと思う。
インストール方法は簡単だ。Google PlayストアにMozilla Firefoxが登録されているので、ここからインストールするだけでよい。
「開く」を押せばFirefoxが起動してくる。アプリランチャーからFirefoxのアイコンをクリックして起動してもよい。
Firefoxの最初のセットアップ
インストールするFirefoxのバージョンによって挙動は変わるが、本稿執筆時点では、次のようにインストール後の最初の起動で設定を行うページが表示される。設定する内容は次のとおり。
- テーマ: ライトテーマ、ダークテーマ、システムのテーマに同期
- ツールバーの位置:画面上部、画面下部
- プライバシー保護:標準、厳格
- アカウントでのログインと同期
起動したあとの使い方はGoogle Chromeと同じだ。
デスクトップやスマホのFirefoxと同期
デスクトップやスマートフォンなどでFirefoxを常用しているなら、アカウントでログインすることでデータの同期を行える。FirefoxをメインのWebブラウザとして使っているなら、起動後にでもログインを行って同期設定を有効にしておくと便利だ。
Chromeと併用するのも手
使ってみるとわかると思うが、ChromebookではGoogle Chromeが使いやすい。Chrome以外のWebブラウザの場合、「動作が安定しない」「スマートフォンと同じモードとして機能してしまい、表示に違和感がある(パソコンのレイアウトを期待しているのにスマホ向けのレイアウトを表示されるなど)」といったこともある。
したがって、ChromebookでFirefoxがあまりにも使いにくと思ったら、それはChromeOSのアプリにおける独特の動きである可能性がある。その場合はGoogle Chromeに切り替えよう。ChromeOSのChromeはよくできており、やはり使い勝手はよいものだ。