クールーでの2泊3日の打ち上げ取材ツアーのあと、単独行動に移った筆者。向かった先は仏領ギアナ最大の街であるカイエンヌだ。身の安全を考えると、基本的にこのような場で単独行動は避けた方が良いのだが、筆者は昔から団体行動が苦手で、つい2泊延ばしてしまった。心細さとワクワク感、これが一人旅の醍醐味だろう。
筆者がカイエンヌのホテルに到着したのは午後3時半ごろ。事前の情報で、治安はあまり良くないと聞いていたので、かなり身構えてタクシーを降りたのだが、たしかにクールーより全体的にカオスな感じがあり、注意が必要な印象は受けた。
筆者は初めての土地に来たとき、ホテルのフロント等で、現地の人に治安状況を聞くようにしている。今回もフロントで確認したところ、カイエンヌ市内を東西に流れる小川の大陸側は避けた方が良いとのことだったので、それを行動の指針とした。実際、ホテルに来る途中の道で、そのあたりは怪しそうな感じはしていたので、無駄な冒険は避けよう。
チェックインし、部屋で少し休んでから、まだ日も高いので、少し市内を散策。念のため、カメラは外に出さず、ケータイで撮影していたのだが、筆者の感覚では、確かに海側のエリアでは、治安はそれほど悪くなかった。商店を経営しているアジア系の住民も多く、筆者のような小汚い日本人が歩いていても、ジロジロ見られないのは有り難い。
もちろん、今回の筆者は特に危険な目に遭うようなこともなかったが(ヤバいのは何人かいたが当然無視した)、ある程度運もあるので、今後来る人は十分に注意するようにして欲しい。治安はそれほど悪く無いとは言え、それは外国の中ではという話しで、そもそも日本とは違う。夜遅くに外出しない、路地裏に入らない、などの常識は前提である。
翌日は、午前中はホテルで原稿を書いていたので、入稿してから、昼頃より本格的に観光を開始。といっても、車もないため、歩ける範囲でということになるのだが、それでもいろいろなものを見ることができた。なお前日の状況から、このエリアでは問題無いと判断し、今回はカメラを持って出た。
面白かったのは、大きな公園のそばにある博物館だ。入館料は3ユーロと安かったのだが、動物の剥製や、昆虫の標本などのほか、歴史に関する資料もあり、仏領ギアナについて一通り学んだような気になる。ちなみに展示の説明はフランス語のみなので、筆者は内容をまったく理解できない。フランス語も勉強しておくともっと楽しめそうだ。
そこのスタッフが、窓の外に見える丘を指さし、「あそこから市内を一望できるよ」と教えてくれたので、博物館のあとはそちらに移動してみることに。ちょうど昼でかなり暑く、プチ登山で汗だくになってしまったが、確かに眺めは素晴らしい。来た甲斐はあった。
暑かったので一旦ホテルに戻り、夕方、少し涼しくなってから、今度は海岸まで散策に。ホテルから海岸までは1kmほど。海岸は公園のようになっていて、大勢の人がスポーツを楽しんだり、子供と遊んでいたり、釣りをしていたり、現地の人たちの憩いの場にもなっているようだった。
筆者は基本的に貧乏旅行スタイルなので、カイエンヌ滞在中の食事は、アジア系の店でハンバーガーやサンドイッチを買ってきて、ホテルの部屋でいただいていた。一度くらいはレストランで食べても良かったのだが、どれも十分美味しかったので満足である。
当初はやや不安もあったカイエンヌの滞在であったが、案外居心地が良く、のんびり楽しく過ごすことができた。そうそう気軽に来られる場所ではないことだけが残念なものの、アリアン6ロケットの取材などでぜひまた訪れたいところだ。
飛行機の時間は夕方だったのだが、ホテルを昼前にチェックアウトして、呼んでもらったタクシーで空港へ。タクシーはちゃんとメーターが付いていて、少し道が渋滞していたものの、ほぼ40ユーロで到着した。
そして飛行機はパリに向け離陸。以前、ケニアで食中毒にあい、入院したことがある筆者にとっては、健康上のトラブルが1つの気がかりではあったが、何の問題もなかったことは何よりだった。マラリアは潜伏期間が1週間以上あるためまだ確定はできないものの、どうせ発症するとしたら日本に帰国後なのでまあ問題はないだろう。