Top500の1位になったBlueGene/Lシステムの構成

2004年11月にTop500の1位になったBlueGene/Lシステムは64ラックのシステムであり、8台のラックの列が8列並んでいた。

なお、ラックの前面側は斜めのダクトが付けられており、前面床側から冷却用の空気を取り入れ、斜めのダクトでラックの上側にも冷気を分配して、ラック全体に低温の空気が行き渡る構造になっていた。

BlueGeneのプロセサチップは、図10.3のようになっている。図の左側に2個のPowerPC 440 CPUが見える。2個のCPUはL2 Prefetch Bufferを経由して共通のL3キャッシュと4MBの組み込みDRAMに繋がっている。さらに組み込みDRAMに加えて256/512MBのDRAMが付いている。

  • BlueGene/L

    図10.3 BlueGene/Lのデュアルコアチップのブロックダイアグラム (出所:IBM J. RES. & DEV. VOL. 49 NO. 2/3 MARCH/MAY 2005)

そして、図の下辺の中央にはチップ間を接続するTorusとCollective Networkのネットワークコントローラが描かれている。Torus Networkは3次元で、それぞれにin-outがあるので、合計で6つのポートが設けられている。

BlueGene/Lは2004年11月にLINPACK性能70.72TFlopsを達成し、地球シミュレータを抜いてTop500で1位となり、2008年6月にRoadrunnerにトップの座を奪われるまで7期連続で1位の座を占めた。これはASCI Redと並ぶTop500の長期連続1位記録である。

なお、BlueGeneアーキテクチャのスパコンはその後も開発が続けられ、2007年11月にはBlueGene/P、2012年6月にBlueGene/Qが作られた。

BlueGene/Pは、テクノロジの進歩を利用したシステムで、チップは4計算コアを集積し、これらの4コアはキャッシュコヒーレントに接続されるようになった。

2008年6月にはアルゴンヌ国立研究所の40ラック(163840コア)のIntrepidシステムが450.3TFlopsでTop500の4位となっている。なお、この時には、ローレンスリバモア国立研究所のBlueGene/Lが478.2TFlopsで2位となっている。

引き続いてIBMは2011年11月にBlueGene/Qシステムを発表した。BlueGene/Qの計算チップは18コアを集積しているが、1コアは不良救済のための予備コア、もう1コアは富岳プロセサのアシスタントコアの位置づけのコアで、計算コアは16コアである。

ローレンスリバモア国立研究所に設置された1,572,864計算コアと64TBのメモリを持つBlueGene/QはSquoiaシステムと呼ばれ、2012年6月にピーク演算性能20PFlops、LINPACK性能は17.1732PFlopsで京コンピュータを抜いてTop500で1位となり、再びTop500首位の座をBlueGeneアーキテクチャに取り戻した。