今回は、2025年12月23日~2026年1月12日に発表されたAI関連の注目すべきトピックを紹介する。同期間、MiniMax社がオープンソースAIモデルの「MiniMax M2.1」をリリースし、DeepSeekはLLMの新学習手法「mHC」を発表。また、OpenAIは健康とウェルネスに特化した「ChatGPTヘルスケア」の提供を開始し、Googleはエージェント型コマースのための新プロトコル「UCP」を発表した。

それぞれ詳しく見ていこう。

オープンソースのAIモデル「MiniMax M2.1」リリース

2025年12月23日、中国のAIスタートアップ企業であるMiniMaxは、オープンソースAIモデルの「MiniMax M2.1」をリリースした。

同モデルは前バージョンの「M2」をベースに開発現場における複雑なタスク処理能力を大幅に向上させることを目指して強化したもので、Rust、Java、Golang、C++、TypeScriptなど幅広い言語で業界トップレベルの性能を実現している。これにより、システム開発からアプリケーション層まで、一貫したコード生成とツール活用が可能になった。

単なるコーディング能力の向上にとどまらず、Webおよびモバイルアプリケーションのデザイン理解や、インタラクションの構築、3Dシーン生成のような視覚表現面の性能も大きく進化したとのこと。さらに、以前のモデルで弱点とされていたAndroidやiOS向けのネイティブアプリ開発でもパフォーマンスが改善した。複合命令制約を扱う「Interleaved Thinking」といった高度な思考プロセスも導入され、実務での汎用性が高まっている。

一部のベンチマークではGemini 3 ProやClaude 4.5 SonnetといったプロプライエタリなAIモデルを上回る評価を獲得しており、開発者や企業がAI活用の幅を広げるうえでの新たな選択肢となっている。

  • MiniMax M2.1と主要モデルのベンチマーク比較 出典:MiniMax

    MiniMax M2.1と主要モデルのベンチマーク比較 出典:MiniMax

DeepSeekが安定性と効率を大幅に高めるLLMの新学習手法「mHC」発表

2025年12月31日、中国のAIスタートアップ企業DeepSeekの研究チームが、「Manifold-Constrained Hyper-Connections」(mHC)と呼ばれるAIモデルの新しい学習手法を発表した。

mHCは、大規模言語モデル(LLM)の学習における不安定性や高い計算負荷の課題を解決するために設計されており、従来の残差接続やHyper-Connectionsと同等の表現力を保ちながら、学習の安定性と効率を大幅に高められるという。

この手法の特徴は、モデル内部の接続構造を「多様体(manifold)」という数学的枠組みで制約する点にある。これによって、接続の層を重ねても信号や勾配の過度な変化を抑制できる。より深いネットワークでも学習がスムーズに進むため、モデルサイズを大きくしても安定した学習が可能になるという。

最大270億パラメータ規模のモデルを使った検証では、従来の手法と比べて一貫した性能向上が確認されたとのこと。この技術が実用化されれば、小規模な研究機関や開発チームにも高性能AI開発の門戸が広がる可能性があるとして期待されている。

  • 残差接続、Hyper-Connections、mHCの概念の比較 出典:DeepSeek

    残差接続、Hyper-Connections、mHCの概念の比較 出典:DeepSeek

OpenAI、健康とウェルネスに特化したAIチャット「ChatGPTヘルスケア」発表

2026年1月7日、健康とウェルネスに特化したChatGPTの新機能 「ChatGPTヘルスケア」 が発表された。これはChatGPT内に設けられる専用の健康スペースで、医療記録やApple Health、MyFitnessPalなどのウェルネスアプリと安全に連携し、個人の健康データに基づいた応答を得ることができる。

ヘルスケア内の会話やファイルは暗号化され、専用の隔離された領域で管理される。ユーザーが入力した健康データはモデルの学習や他のチャットの回答には使用されない。ユーザーは自分の医療記録や活動データを接続することで、検査結果の解釈や診察前の準備、食事・運動の相談、保険プランの比較など、日常的な健康管理に役立つ情報を受け取ることができる。

現在、CHatGPTヘルスケアは一部ユーザー向けに提供が開始されており、今後WebやiOSでの利用拡大が予定されている。ただし、この機能は「医療行為の代替ではなく、あくまでも利用者の理解と準備を支援するもの」とOpenAIは強調している。

Google、エージェント型コマース用の新プロトコル「UCP」発表

2026年1月11日、Googleは次世代のエージェント型コマースを見据えた新しいオープンソース標準「Universal Commerce Protocol(UCP)」 を発表した。これは、異なる企業やプラットフォーム間で、AIエージェントが商品の発見から購入、決済までの一連のショッピング体験をシームレスに連携して完結できるようにするための共通プロトコルである。

UCPでは、共通の言語とAPIにより、AIプラットフォーム、企業、決済プロバイダー間の相互運用性を高め、開発の負担を軽減しながら安全なエージェント型ショッピング体験の実現を目指している。AP2、A2A、MCPといった既存プロトコルとも互換性があり、業界全体で標準化された方法によるチェックアウトや注文管理を提供するという。セキュリティ面では、すべての支払い承認はユーザーの同意に基いて暗号化され、決済情報もトークン化することで、ユーザーのプライバシーを保護する。

この新プロトコルはGoogle単独ではなく、Shopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmartといった主要な小売業者と共同で開発されており、American Express、Mastercard、Visaをはじめとする多くの決済プロバイダーや企業によって承認されているとのこと。UCPは今後、Google検索のAIモードやGeminiアプリなどで活用される予定となっている。また、開発者や企業も標準化された方法で自社のサービスや商品をAI主導のコマース体験に組み込めるようになる。

  • 新プロトコル「UCP」の概要 出典:Google

    新プロトコル「UCP」の概要 出典:Google