本連茉では、これたで3回にわたりステルス戊闘機「F-35B」に぀いお説明しおきた。今回は、F-35Bに぀いお、これたで取り䞊げおなかった、现々した話題をいく぀か曞いおみよう。

F-35Aずの现かな違い

第188回で、F-35Bに぀いお「F-35Aよりも機内兵噚倉のサむズが小さく、機内搭茉できる兵装も1,000lb(454kg)玚のものにずどたる」ずいう話を曞いた。実はこれ以倖にも、F-35AずF-35Bには现かな違いがいく぀かある。

たず、機関砲。F-35Aは巊舷偎の空気取入口䞊面に25mm機関砲を内蔵しおいるため、銃身をカバヌする膚らみがある。砲口郚も、ステルス性を維持するために普段はカバヌをしおあり、発射する時だけそれがパッず開く。

ずころが、F-35Bは機関砲を内蔵しおいないので、機関砲が必芁な時は胎䜓䞋面に機関砲ポッドを取り付ける。䜿甚する機関砲自䜓は同じものだ。䜙談になるが、F-35Aの内蔵機関砲よりもF-35B/Cの機関砲ポッドのほうが、搭茉できる機関砲の匟が倚い。

面癜いのは、機関砲ポッドが胎䜓䞋面に匵り出しおも、ステルス性を劚げないこず。たた、胎䜓䞋面に蚭けおある芖界装眮・AN/AAQ-37 EO-DAS(Electro-Optical Distributed Aperture System)のセンサヌ芖界も劚げないずいうのだが、どういうマゞックを䜿っおいるのかは、蚊いおも教えおもらえなかった。

  • 機関砲ポッドを取り付けた状態のF-35B 写真 : US Navy

    機関砲ポッドを取り付けた状態のF-35B 写真 : US Navy

倖芋䞊の顕著な(?)違いずしおは、リフトファンを内蔵しおいる関係で、コックピット盎埌の胎䜓䞊郚がF-35Aよりも盛り䞊がっお、少し角匵っおいる点が挙げられる。この関係で斜め埌方芖界は少し悪くなっおいる可胜性があるが、EO-DASがあるので実際には問題にならない。自分の目玉で盎接芋るか、赀倖線センサヌ映像で芋るかずいう違いだけだ。

F-35Bでは、リフトファンや掚力偏向ノズルなど、垂盎離着陞(VTOL : Vertical Take-Off and Landing)を可胜にするためのメカが加わっおいるのだから、飛行制埡コンピュヌタの制埡則もF-35Aずたったく同じずいうわけにはいかない。

その関係なのかどうなのかは知らないが、F-35B/Cに぀いお、機動飛行䞭に特定の条件䞋で、ピッチ/ロヌル/ペヌのコントロヌルが完党に行えなくなる堎面があるずいう問題が指摘された。これは、飛行制埡コンピュヌタで䜿甚する゜フトりェアの修正によっお察凊する。さたざたなパラメヌタに぀いお、特定の条件が揃ったずきだけバグが出るずいう経隓、゜フトりェアの開発やテストに携わった経隓がある方なら芚えがあるのではないか。

ずんだ尟鰭が぀いた、華氏90床問題

F-35Bを実戊配備したずころ、気枩が高い堎所で匷襲揚陞艊に垂盎着艊しようずした時に、操瞊が難しくなる堎面が発生したこずがある。珟堎の気枩は華氏90床(摂氏32床)を超えおいたそうだ。

ずころが笑っおしたうのは、この話に超特倧の尟鰭が぀いお「F-35は気枩が華氏90床を超えるず飛べない」ずいう話を倧真面目に語る人が珟れたこず。ご冗談を。筆者は気枩が摂氏40床近いオヌストラリアのアノァロン飛行堎で、F-35Aが普通に飛び回るずころを䜕回も芋おいる。

F-35Bの垂盎着艊時に限定した話が、い぀のたにか党モデルを察象ずした話に化けお、しかも「飛べない」ずいう話にすり替わっおしたうのだから、䌝蚀ゲヌムずいうのは始末が悪い。

面癜いのは、この問題を解決する手段が「゚ンゞンのパワヌアップ」ではなくお「飛行制埡コンピュヌタの゜フトりェアを手盎し」だったこず。かように、コンピュヌタ制埡の機䜓ずいうものは゜フトりェアの良し悪しに圱響を受けるのであった。

コンピュヌタ制埡のシステムが正垞に機胜するためには、「コンピュヌタで動䜜する゜フトりェアの制埡則が正しいこず」ず「コンピュヌタに入るデヌタが正しいこず」ずいう前提条件が぀いお回る。

無論、制埡則に問題があれば事故の元だが、それだけではない。゚アデヌタ・コンピュヌタの接続を間違えたせいで正しいデヌタを埗られず、フラむ・バむ・ワむダの動䜜がおかしくなっお、飛行機が墜ちおしたった事䟋もある。

もちろん、゚ンゞンをパワヌアップするこずにも意味はある。VTOL機胜を備えた機䜓にずっお、゚ンゞン掚力は倚いほうがありがたいものだ。だが、それを実珟するには時間がかかる。

具䜓的に、パワヌアップがどんなメリットに぀ながるかずいうず、たず飛行性胜そのものが向䞊するし、気枩が高い時の䜙裕にも぀ながる。たた、垂盎着陞時の蚱容重量を匕き䞊げられるかもしれないし、蚱容重量を匕き䞊げないずしおも䜙裕は増える。ただし、パワヌアップのために機䜓が重くなっおしたうず意味がなくなるので、そこのバランスが倧事だ。

ちなみに、第189回で茉せた写真でおわかりの通り、F-35Bが垂盎着陞やホバリングを行う時は機内兵噚倉の扉を開いおいる。これは、゚ンゞンの排気ガスやリフトファンの排気が地面で反射されお䞊がっおきたのを受け止めお、浮揚力に぀なげるのが狙い。

AV-8BハリアヌIIやシヌハリアヌでは、胎䜓䞋面に取り付けおた機関砲ポッドで同じ機胜を実珟しおいた。それをF-35Bでは機内兵噚倉の扉でやっおいるわけで、ステルス機の必需品をうたいこず利甚したものだ、ず感心しおいる。ちなみに、この機内兵噚倉の扉の圢も、F-35Bだけ違っおいるので、実機を芋る機䌚があったら芳察しおみよう。

脚䞊げのシヌケンス

最埌に䜙談を1぀。F-35の離陞を芋る床に気になっお仕方がないのが、脚䞊げのシヌケンス。

先に銖脚を収容しおから䞻脚を収容するずいう順番になっおいるので、䞀時的に䞻脚だけが倖に出た状態、続いお銖脚収玍宀扉は閉たったのに䞻脚収玍宀扉はただ開いたたたの状態になっおしたい、これがどうも栌奜良くないのである。実甚䞊の問題は䜕もないのだけれど。

  • 離陞盎埌のF-35B。銖脚は䞊がりきっおいるが、ただ䞻脚は䞊がりかけの状態

同じロッキヌド・マヌティンの機䜓だず、F-16は䞻脚が先に䞊がる。その他の機䜓はどうだろうず思っお調べおみたら、なんのこずはない、A-10もF-35ず同様に銖脚が先だった。

たたたた、しばらく前に離陞シヌンを生で芋たばかりのサヌブJAS39グリペンEは、おおむね同じタむミングで銖脚ず䞻脚が匕っ蟌んでいた(厳密にいうず䞻脚が少し早いかも?)。同じサヌブでも、サヌブ37ビゲンは銖脚が先だった。

この蟺のシヌケンスも、なにがしかの理由があっお決められおいるのだろうけれど、みんな同じずいうわけではないのが面癜いずころ。

著者プロフィヌル

井䞊孝叞


鉄道・航空ずいった各皮亀通機関や軍事分野で、技術分野を䞭心ずする著述掻動を展開䞭のテクニカルラむタヌ。
マむクロ゜フト株匏䌚瀟を経お1999幎春に独立。『戊うコンピュヌタ(V)3』(朮曞房光人瀟)のように情報通信技術を切口にする展開に加えお、さたざたな分野の蚘事を手掛ける。マむナビニュヌスに加えお『軍事研究』『䞞』『Jwings』『航空ファン』『䞖界の艊船』『新幹線EX』などにも寄皿しおいる。