ドキュメントのバージョンを読んで開く
「QuarkXPress 6」のときに新環境に移行したユーザーならば、使用フォントがCID以降のものなので、互換性に大きく悩む必要はない。問題は今でもはびこる諸悪の根源ともいうべき「QuarkXPress 3.3」+OCF環境にある。正直なところ、このような環境を未だに使っているユーザーに対しては、その姿勢をちょっと疑いたくもなってしまう。日本のDTP業界の発展の妨げになっているからだ。
さて、「QuarkXPress 8」の話に戻ろう。今回のバージョンではOpenTypeFontに対応すべくテキストエンジンが変更されている。そのため、過去のデータはどうなるの? と、いう疑問を持つユーザーも多いだろう。
そこで、筆者が10年近く前に書いて、今も販売されている、弊社刊の「QuarkXPressの仕事術」の頃の組版データを引っ張りだしてきた。このころは3.3+OCF環境で組版されており、このデータが問題なく開けるかどうかが、筆者自身興味深いところであった。
ちなみにQuarkXPress 8ではドキュメントのヘッダにあるバージョンを読み、ドキュメント表示の動作を変える機能が備わっているという。それがうまく機能しているのだろうか? 非常に気になるところだ。
リフローはあるがレイアウトや組版自体はほぼ問題なく開ける
さっそく古いドキュメントを開いてみたのが図1である。全体的に見渡した場合、一部、フォントの違いによるテキストのリフローが見られるが、本文組等は基本的には変化していない。実はこの事は非常に重要で、この機能がうまく働いていなかったら、「過去の資産を使う事ができない=環境を最新のものにできない」という悪循環に陥ってしまうからだ。
図1 左端のノンブルの文字がリフローしているほかは、基本的にはほぼ問題なく組版が再現されているのがわかる |
図2 マスターページに関してもほぼ正確に再現されている。これなら少しの手間で過去の資産を使う事ができそうだ |
もちろん、きれいに組まれたQuarkXPressのデータなら、「InDesign」でもあまり手直しをせずに利用できる。それに比べても、こちらの方が手直しをする箇所が少ないのは確か。
筆者としては、このバージョンが3.3や4.1のファイルをサポートする最終バージョンであると認識しており、この機会を逃したユーザーは旧環境と一緒に自滅していくしかないと考えている。もし、旧環境のユーザー今後もこの業界で生き残りたいのならば、今回が環境移行の最後の機会と認識した方が良いだろう。