今回は「Power Query エディター」を開いた状態のまま新しいクエリを取得できる「新しいソース」の使い方を紹介していこう。さらに、クエリの出力方法(Excelに読み込む方法)を変更する操作手順についても紹介する。簡単な内容だが、覚えておくと役に立つはずだ。

  • 「新しいソース」の使い方 & クエリの出力方法の変更

「新しいソース」を使ったクエリの追加

「クエリのマージ」のように“複数のクエリ”を使って処理を進めていくときは、それぞれのデータ表をクエリとして事前に取得しておく必要がある。とはいえ、この作業を忘れてしまう場合もあるだろう。そこで今回は、「Power Query エディター」を開いた状態のまま「新しいクエリ」を取得する方法を紹介していこう。

また、これに関連する話として、既存のクエリの出力方法(Excelに読み込む方法)を変更するときの操作手順も紹介する。

まずは、例として使用するデータ表から紹介していこう。以下の図は、ある24時間ジムにおける「4月1日の利用状況」を記録したものだ。本連載の第46〜48回で紹介した例と同じデータ表となる。

  • 4月1日の利用状況を記録したExcelファイル

このデータ表を「Power Query エディター」に取得すると、以下の図のようになる。現時点では「ID」の情報しかないため、「誰がジムを利用したのか?」を把握できない。そこで「クエリのマージ」を使って「氏名」の情報を追加することにした。

  • Power Query エディターに取得したデータ表

とりあえず、クエリ名をわかりやすい名前に変更しておこう。ここでは「4月1日の記録」というクエリ名に変更した。

  • クエリ名の変更

「クエリのマージ」を実行するには、現在のクエリのほかに「会員情報をまとめたデータ表」もクエリとして取得しておく必要がある。そのためには、いちど「Power Query エディター」を終了してExcelに戻らなければならないが、それは少し面倒だ。

このような場合は、「Power Query エディター」から新しいクエリを取得するとよい。「ホーム」タブの右端にある「新しいソース」をクリックし、「ファイル」→「Excelブック」を選択する。

  • 「新しいソース」を使ったクエリの追加(1)

ファイルの選択画面が表示されるので、新たに取得するExcelファイルを選択し、「インポート」ボタンをクリックする。

  • 「新しいソース」を使ったクエリの追加(2)

以降の操作手順は、普通にクエリを取得する場合と同じ。データ表が記録されているワークシートを選択し、「OK」ボタンをクリックする。

  • 「新しいソース」を使ったクエリの追加(3)

指定したデータ表が「新しいクエリ」として取得される。現時点では、取得元のワークシート名(Sheet1)がそのままクエリ名になっている。

  • 「新しいソース」を使ったクエリの追加(4)

こちらも、わかりやすいクエリ名に変更しておこう。今回の例では「会員情報」というクエリ名に変更した。これで「クエリのマージ」を実行するための準備が整ったことになる。

  • クエリ名の変更

このように、「Power Query エディター」を開いた状態のまま「新しいクエリ」を取得することも可能である。たいした話ではないが、作業手順の自由度を高めるためにも、「新しいソース」というコマンドがあることを覚えておくとよいだろう。

「クエリのマージ」によるデータ表の結合

以降は、本連載で過去に紹介した内容になるが(第46〜50回参照)、念のため「クエリのマージ」の実行手順についても簡単に触れておこう。「4月1日の記録」のクエリを選択し、「クエリのマージ」をクリックする。

  • 「クエリのマージ」の開始

続いて、クエリの結合方法を以下の図のように指定する。それぞれの「ID」を照合列に指定し、「左外部」でクエリを結合する。

  • 「クエリのマージ」の設定

「OK」ボタンをクリックすると、「会員情報」のデータがTableとして追加される。あとは、必要なデータを展開するだけだ。

  • 結合された「会員情報」のデータ

今回は「氏名」のデータだけを展開し、以下の図のように列の並び順を変更した。

  • 「氏名」のデータを展開した様子

なお、展開時にデータの並び順が変更されてしまっているが、今回の内容に直接関係する話ではないので、そのまま出力することにする。「閉じて読み込む」のアイコンをクリックする。

  • 「閉じて読み込む」を実行

結果は以下の図の通り。クエリ名(4月1日の記録)のワークシートが作成され、そこにデータ表が出力されているのを確認できるはずだ。これで「4月1日に誰が利用したのか?」を確認できるようになる。

  • Excelに出力されたデータ表

データの出力方法を変更するには?

これまでに示した手順で操作を進めていった場合、「4月1日の記録」だけでなく、「会員情報」というワークシートも作成されていることに気付くと思う。ここには「Power Query エディター」から取得した「会員情報」のデータ表がそのまま出力されている。

  • Excelに出力された「会員情報」のクエリ

このデータ表は「求めている結果」ではなく、「処理の過程で利用したもの」となる。よって、本来は「接続専用」として取得しておくべきクエリといえる。

このように必要のないデータ表まで出力されてしまった場合は、クエリの出力方法(Excelに読み込む方法)を後から変更することも可能だ。「会員情報」のクエリを右クリックし、「読み込み先」を選択する。

  • 「読み込み先」の変更(1)

クエリの出力方法を指定する画面が表示されるので、「接続の作成のみ」を選択し、「OK」ボタンをクリックする。

  • 「読み込み先」の変更(2)

すると、このクエリから出力したデータ表(テーブル)が削除されることを確認する画面が表示される。「OK」ボタンをクリックすると……

  • 「読み込み先」の変更(3)

データ表が削除され、「会員情報」のクエリが接続専用に変更される。ただし、以前の出力先であった「会員情報」のワークシートはそのまま残ってしまう。

  • 出力方法(読み込み先)が変更されたクエリ

白紙のワークシートを残しておいても意味がないので、ここまでの作業が済んだ時点で速やかに削除しておくとよいだろう。

  • 不要になったワークシートの削除

このように、いちど作成したクエリの出力方法(Excelへの読み込み方法)を後から変更することも可能である。「接続専用」として保持すべきクエリを、間違ってExcelに出力してしまった場合の対処法として覚えておくとよい。

そのほか、データ表の出力先を「新規ワークシート」ではなく、「既存のワークシート」に変更するときにも、先ほど示した手順が活用できる。

ここまで、「Power Query エディター」から新しいクエリを取得する方法と、クエリの出力先を変更する方法を紹介した。こういった機能も用意されていることを知っておくと、それだけ操作手順の自由度が広がる。ぜひ、覚えておいてほしい。