今回は、PowerPointに用意されている「アニメーション」という機能について解説していこう。この機能を使うと、「スライド内の要素を順番にアニメーションで表示していく」などの演出を実現できるようになる。発表を効果的に見せられる場合もあるので、よく使い方を学んでおこう。

アニメーションとは?

アニメーションは、スライドショーの実行時に「スライド内の要素」をアニメーションとともに表示したり、消去したりできる機能となる。まずは一つの例として、「スライドイン」のアニメーションで要素(段落)を表示していく方法を紹介しておこう。

スライドショーを実行し、アニメーションを指定したスライドまで進むと、最初は「スライドのタイトル」だけが表示される。

  • アニメーションの例-1(スライドイン)

この状態でマウスをクリックすると、「1番目の段落」が「下から上へ移動するアニメーション」で表示される。

  • アニメーションの例-2(スライドイン)

さらにマウスをクリックすると、「2番目の段落」が「下から上へ移動するアニメーション」で表示される。

  • アニメーションの例-3(スライドイン)

このように、スライド内の要素(段落)を順番にアニメーションで表示していくことも可能である。「口頭で説明している部分に注目してもらう」という意味では、「単なる演出として」だけでなく、「発表を効果的に進めるテクニック」としても活用できるだろう。 なお、PowerPointに用意されているアニメーションは、「表示」、「強調」、「終了」、「アニメーションの軌跡」といった4つのカテゴリに分類されている。それぞれ「要素の表示/非表示」などが異なるので、各カテゴリの動作を十分に把握しておく必要がある。

  • アニメーションの一覧

たとえば、先ほど紹介した「スライドイン」のアニメーションは「開始」のカテゴリに分類されるもので、初めは表示されていなかった要素(段落)をアニメーションとともに表示する、という動作になる。

各カテゴリの動作を簡単にまとめると、以下のようになる。

◆開始
アニメーションとともに要素を表示する
 アニメーション前:非表示
 アニメーション後:表示

◆強調
アニメーションで要素を強調する
 アニメーション前:表示
 アニメーション後:表示

◆終了
アニメーションとともに要素を消去する
 アニメーション前:表示
 アニメーション後:非表示

◆アニメーションの軌跡
アニメーションで要素の位置を移動する
 アニメーション前:表示
 アニメーション後:表示

アニメーションの指定手順

それでは、アニメーションを指定するときの具体的な操作手順を説明していこう。といっても、これは特に難しいものではない。初心者の方でも十分に対応できるレベルだ。ここでは、冒頭に示した「スライドイン」のアニメーションを指定する場合を例に、操作手順を解説していこう。

まずは「1番目にアニメーション表示させる段落」を選択する。続いて、「アニメーション」タブを選択し、下図に示したボタンをクリックする。

  • 段落の選択と「アニメーションの一覧」の表示

「アニメーションの一覧」が表示されるので、この中からアニメーションを選択する。今回の例では「スライドイン」のアニメショーンを選択すればよい。

  • アニメーションの指定

以上で「1番目のアニメーション」の指定は完了となる。続いて、「2番目のアニメーション」を指定していこう。「2番目にアニメーション表示させる段落」を選択し、「スライドイン」のアニメーションを指定する。

  • 2番目のアニメーションの指定(段落の選択)

  • 2番目のアニメーションの指定(アニメーションの指定)

同様の手順で、3番目、4番目、・・・のアニメーションを指定していくと、スライド全体のアニメーションを指定できる。

ちなみに「アニメーション」タブを選択しているときは、「アニメーションの順番」を示す「1」、「2」、「3」、・・・のアイコンがスライド上に表示される仕組みになっている。これを目安にアニメーションの指定を進めていくと状況を把握しやすくなるだろう

  • アニメーションの順番を示すアイコン

アニメーションの動作確認

続いては、指定したアニメーションの動作を確認する方法を紹介しておこう。この作業は[F5]キーを押してスライドショーを開始し、マウスをクリックしていくと実行できる。もしくは、前回の連載で紹介した「閲覧表示」を使って、PowerPointのウィンドウ内でスライドショーの動作を確認してもよい。

  • 「閲覧表示」を使った動作確認

アニメーションの変更と解除

指定したアニメーションの変更や解除を行いたい場合もあるだろう。この場合は、最初に「アニメーションの順番」を示すアイコンをクリックし、操作対象とするアニメーションを選択しておく必要がある。

  • アニメーション番号の選択

続いて、上図に示したボタンをクリックし、一覧からアニメーションを指定しなおすと、アニメーションの種類を変更できる。

  • アニメーションの変更

ただし、異なるカテゴリのアニメーションを指定すると、「表示/非表示」の動作が変化してしまうことに注意しなければならない。

たとえば、「非表示」→「表示」のアニメーションを指定するときは、「開始」カテゴリの中からアニメーションを選択する必要がある。今回の連載で紹介した「スライドイン」のほかにもユニークなアニメーションがいくつか用意されているので、実際に試してみながら動作を確認しておくとよいだろう。

なお、この一覧で「なし」を選択すると、指定したアニメーションを解除することができる。「アニメーションなし」の通常の表示に戻す方法として覚えておこう。

  • アニメーションの解除

そのほか、「Shift」キーを押しながら「1」、「2」、「3」などのアイコンをクリックしていくことで、複数のアニメーションを同時に選択することも可能となっている。こちらも、あわせて覚えておくと役に立つだろう。

アニメーションのカスタマイズ

前回の連載で紹介した「画面切り替え」と同様に、アニメーションの動作もカスタマイズすることが可能だ。

アニメーションさせる方向などを変更したいときは、「1」、「2」、「3」などのアイコンをクリックしてアニメーションを選択してから「効果のオプション」を指定すればよい。

  • 効果のオプション

また、「継続時間」の数値(秒数)を変更することで、「アニメーションの速さ」をカスタマイズすることも可能となっている。

  • 「継続時間」(スピード)の指定

そのほか、「開始」や「遅延」といった項目も用意されているが、これを使いこなすには、それなりの理解力が求められる。よって、これらについては、以降の連載で詳しく説明していこう。

  • 「開始」と「遅延」の指定