スペースワンは3月5日11時10分、カイロスロケット3号機の打ち上げを実施したものの、第1段の飛行中に異常が発生。ロケット自身がミッションの達成を困難と判断し、飛行を中断、打ち上げは失敗した。同ロケットの打ち上げ失敗はこれで3機連続。悲願の初成功は、4号機以降に持ち越しとなった。
飛行を中断したのは第1段の燃焼中で、打ち上げの68.8秒後だった。そのときの高度は約29km。計画では、打ち上げ2分20秒後に第1段を分離する予定だったので、その半分くらいしか飛行できなかったことになる。機体は破壊され、海上に落下したとみられるが、現時点で人命・財産への被害は確認されていないという。
カイロスの前号機は、やはり第1段の飛行中である打ち上げ86秒後に異常が発生。しかし、姿勢を大きく乱しながらも飛行を継続し、フェアリング分離と第2段燃焼開始まで達成していた。
同日15時より開催された記者会見において、同社の豊田正和社長は「前回よりも後退しているように見えるかもしれないが、確実にノウハウ・経験を蓄積しており、前進できたと考えている」とコメント。「必要な改善を行い、次の飛行に繋げ、宇宙輸送サービスの実現に向けて、着実に前進したい」と、今回も前向きな姿勢を崩さなかった。
「自律飛行安全システムの片系に異常発生の可能性」
今回、3号機の飛行中に何が起きたのか。現時点ではまだ調査中であり、分かっていることは多くないものの、同社の関野展弘副社長・開発本部長は、冗長構成になっている自律飛行安全システムの片系に異常が発生した可能性がある、との認識を示した。
カイロスの大きな特徴が、この自律飛行安全システムだ。機体や飛行経路などに異常が発生し、ミッションの達成が不可能になったとき、ロケットは機体を破壊するなどして、飛行を中断する必要がある。カイロスは、これを地上からの指令ではなく、ロケット自ら判断して行うようになっており、日本では初めて搭載した。
異常が発生したときに、確実に飛行を中断させる重要な機能であるため、カイロスには同じものが2系統搭載されている(冗長化)。ただ、通常の機能の冗長化の場合、片系が壊れても残った片系でミッションを継続できる、というように使うのだが、自律飛行安全システムは「安全を守るための砦」(同氏)。片系のみで飛行すると、万が一こちらも壊れてしまったら、もう飛行を中断できなくなってしまうため、片系に異常が発生した時点で、もう片側が作動して直ちに飛行を中断する設計になっているという。
現時点で分かっている範囲では、機体に大きな異常はなく、経路の逸脱もなかった。さらに、「自律飛行安全システムの片系に問題があったのではないかと思われるようなデータもある」そうだ。関野氏は、これ以上の情報については言及を避けたものの、3号機に搭載した自律飛行安全システムは、2号機とまったく同じで変更はないとのこと。
なお、打ち上げ時の映像を確認すると、大きく爆発する前に、2回の小さな爆発があったように見えた。これについて、詳細は不明なものの、カイロスは固体3段のロケットで、それぞれを破壊するようになっているとのこと。小さい上段側から破壊したのであれば、その様子が映っていた可能性がある。
スペースワンにとって、初号機からの3機連続失敗というのは、間違いなく大きな痛手だ。今回、延期が多すぎるという課題も改めて明らかになっており、目標とする高頻度打ち上げのために、改善は不可欠。まずは今回の原因究明と対策を行い、早期の4号機打ち上げをめざすことになるだろうが、解決すべき課題は多い。







