ジャパン・メディカル・カンパニーは11月4日、2023年の研究公募から支援してきた、富山大学附属病院の猪又智実氏・吉田丈俊氏らとの共同研究成果が、2026年8月21日『The Journal of Craniofacial Surgery』に掲載されたことを発表した。

研究チームは15~39歳の救急受診者242人の頭蓋形状をCT画像から解析し、129人(53.3%)が斜頭症の基準に該当することを報告。また、同じ242人でも、短頭症に分類される人数は、適用する基準によって4人と175人に分かれることを報告した。

成長後の頭蓋の実態と、評価の「ものさし」の重要性を示し、乳児期の診療と保護者への説明を考えるための知見を加えた研究とした。

論文名:Computed Tomography-Based Evaluation of Positional Cranial Deformities in Emergency Department Patients Aged 15 to 39 Years in Japan
日本語訳:日本の15~39歳の救急外来受診者における位置的頭蓋変形のCTによる評価(ジャパン・メディカル・カンパニー訳)
掲載誌:The Journal of Craniofacial Surgery/掲載日:2026年8月21日
著者:Satomi Inomata、Yasuhiro Kawahara、Shuhei Tsuritani、Mariko Doai、Aki Kido、Riko Kato、Kyo Noguchi、Taketoshi Yoshida
所属:富山大学附属病院 周産母子センター新生児部門・放射線部門、富山大学 放射線医学領域
論文DOI:10.1097/SCS.0000000000013294
論文の抄録・書誌情報(PubMed)

共同研究は保護者の問いから始まった

富山大学附属病院では、2022年からジャパン・メディカル・カンパニー製の頭蓋形状矯正ヘルメットを用いた乳児の治療を行っている。頭の形を心配して受診する家族に、現在の状態と成長後の見通しをどう説明するのかという、日々の診療と結び付いた問いが研究の背景にあるという。

2023年、富山大学附属病院 周産母子センター長・新生児部門 教授の吉田丈俊氏がジャパン・メディカル・カンパニーの研究公募へ「日本の小児における頭蓋変形の疫学調査」を応募し、審査を経て研究支援が始まった。

研究は15~39歳の頭蓋形状の解析へ展開し、2024年3月27日には富山大学附属病院との共同研究開始を公表している。

ジャパン・メディカル・カンパニーは共同研究資金を通じて支援し、CT画像の計測および解析と論文の執筆は富山大学の研究チームが担当。診療現場で生まれた問いから始まった取り組みが、今回の国際論文へつながったとのことだ。

242人のCT画像から成長後の頭蓋形状

今回研究チームが着目したのは、頭蓋の成長がおおむね完了し、形状が比較的安定する15~39歳の頭蓋だ。乳児期の診療に役立つ背景情報を増やすため、成長後の頭の形状を定量的に調査した。

研究対象となったのは、2014年1月~2023年12月に富山大学附属病院の救急外来で、外傷などの診療上の理由から頭部CT検査を受けた日本人。470件の検査から画像条件や除外基準などに基づいて242人を解析し、頭蓋内に異常が認められなかった画像を用いた。

CT画像の頭の向きと測定断面をそろえ、放射線科医2人が独立して計測。左右差を示す「頭蓋非対称指数(CVAI:Cranial Vault Asymmetry Index)」と、頭の幅と長さの比を示す「頭蓋指数(C:Cephalic IndexI)」を使い、頭の形を比較できる数値として捉えた。

53.3%が斜頭症の基準に該当

CVAIが3.5%以上を斜頭症として分類すると、242人中129人(53.3%)が該当していた。内訳は軽度83人、中等度42人、重度4人で、中等度以上は計46人、解析対象全体の19.0%だった。

  • 15~39歳の救急受診者242人の頭蓋形状。斜頭症基準に該