ENEOSホールディングスは10月27日、米国の化学メーカーTPC Groupを傘下に持つTPC Holdingsの買収が、米国時間の10月26日付で完了したと発表した。TPC Holdingsは同社の機能材セグメントに属する連結子会社となった。

買収はENEOSホールディングスの100%子会社である米国法人を通じて実施した。買収に向けた合併契約は2026年8月7日に締結されており、今回その買収手続きが完了したことを発表したもの。取得価額は7億5,800万米ドルの見込みで、ネット有利子負債などの調整項目を反映したうえで最終的に確定する。

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北米C4ケミカル事業の基盤を獲得

TPC Holdingsは米テキサス州ヒューストンに本拠を置き、TPC Groupなどの事業子会社を保有する持株会社。主要子会社のTPC Groupは、ブタジエンなどのC4留分の分離・精製や誘導品の製造・販売を手がけている。

TPC Holdingsおよび同社のグループ会社は、ブタジエン・ラフィネート・1-ブテン・ポリブテンなどの主要製品で北米トップシェアを持つ。ENEOSグループは今回の買収によって北米の事業基盤を獲得するとともに、グループ全体のブタジエン生産能力が世界トップ3規模となる。

このうち、ブタジエンは合成ゴムなどの原料となる。ENEOSグループは低燃費タイヤ向けの溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(S-SBR)をはじめとする高機能エラストマー事業を展開しており、主要原料であるブタジエンの事業基盤強化によって原料調達力や市場変動への対応力を高める考えだ。

素材事業の海外展開を強化

今回の買収は、ENEOSグループの第4次中期経営計画に掲げる「ポートフォリオ再編」の一環。国内の素材市場では人口減少による需要縮小など競争環境の変化が起きている一方、米国は安価なシェールガス由来原料を背景に素材産業の競争力が高く、今後も需要拡大が見込まれる市場と位置付けている。

ENEOSグループは、早期の収益貢献が期待できる事業に経営資源を重点配分する方針で、基盤・素材事業を重点分野と位置付けている。今回の買収では北米のC4ケミカル事業と既存のマテリアル事業の連携強化を図る。自社が持つ操業ノウハウとTPC Holdingsの事業基盤を組み合わせ、C4ケミカルから高機能エラストマーまでのサプライチェーン全体の競争力向上を目指す。

なお、TPC Groupの2025年12月期の連結売上高は15億1,100万米ドル、連結営業利益は2,500万米ドル、親会社株主に帰属する当期純損益は3,400万米ドルの赤字だった。ENEOSホールディングスは買収による連結業績への影響を精査中で、業績予想の修正など公表すべき事項が生じた場合は速やかに開示するとしている。

編集部コメント

TPC Groupが手掛ける「C4ケミカル」は、炭素原子を4個持つ炭化水素から作られる化学品の総称。代表的なものがブタジエンで、タイヤなどに使われる合成ゴムの主要原料となる。ENEOSグループのENEOSマテリアルが製造する合成ゴムのうち、溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SSBR)は低燃費タイヤに、ポリブタジエンゴム(BR)はゴルフボールの芯などに使われている。