ENEOSホールディングスは10月23日、道路舗装大手のNIPPOを完全子会社化すると発表した。

ENEOSグループでは、石油精製・販売事業を担うENEOSが原油精製の過程で生産されるアスファルトを製造・販売しており、NIPPOはアスファルトを原料とする舗装用混合材料の製造から道路舗装工事までを手がけている。完全子会社化後は、アスファルト製造から道路舗装までのサプライチェーンを一体的に運営し、競争力の強化を図る。

再上場方針から転換、グループ内でのシナジー創出を重視

NIPPOはかつてENEOSホールディングスの連結子会社として東証1部などに上場していたが、ENEOSホールディングスとゴールドマン・サックスによる共同出資体制のもとで2021年に非公開化が決定され、2022年に上場廃止。ENEOSホールディングスとゴールドマン・サックス側が共同保有するロードマップ・ホールディングスの100%子会社となっていた。当時は、親子上場を解消することによってガバナンス体制の強化を図り、外部パートナーの知見やネットワークを利用して企業価値を高めたうえで、将来的な再上場を目指す方針だった。

その後、ENEOSグループを取り巻く事業環境や成長戦略が変化。脱炭素化の進展が当初の想定より緩やかになる可能性も踏まえ、既存の基盤事業の収益力強化や、早期に収益貢献が期待できる事業の獲得を重視するようになった。

こうした変化を受けて、当初は十分に具体化していなかったNIPPOとの相乗効果を生み出す機会が明確になったとENEOSホールディングスは説明している。製油所の安定稼働には、原油精製の過程で生産されるアスファルトを継続的に製造することが重要となる。一方、NIPPOにとっても、アスファルトを安定的かつ競争力のある条件で調達することは事業競争力につながる。近年は輸入アスファルトとの競争が激しくなっており、両社がサプライチェーン全体の視点で事業を運営する重要性が高まっているという。

ENEOSホールディングスは、NIPPOを完全子会社化して両社の経営資源を機動的かつ一体的に活用することがグループ全体の中長期的な企業価値向上に資すると判断し、今回の株式取得を決めた。

道路舗装事業の強化に加え、東南アジアでの成長も目指す

ロードマップ・ホールディングスの出資比率は、ENEOSホールディングスが35%、ゴールドマン・サックス側(ゴールドマン・サックス・グループが間接的に保有する特別目的会社2社)が65%(注1)。今回のNIPPO完全子会社化は、米ゴールドマン・サックス側が保有するロードマップ・ホールディングスの株式を取得する形で行われる。株式の譲渡は2026年11月中に行われる予定。

注1:議決権比率はENEOSホールディングスが50.1%、ゴールドマン・サックス側が49.9%。

ENEOSホールディングスによると、NIPPOの2025年度実績を基準とした年間の利益貢献は、完全子会社化によって親会社所有者に帰属する当期利益が107億円から279億円へ172億円増加する見込み。NIPPOはすでに連結子会社であるため、営業利益への貢献額412億円は変わらない。

NIPPOの完全子会社化後は、アスファルトの製造から舗装用混合材料の製造、道路舗装までのサプライチェーン全体を最適化し、基盤事業の競争力を強化する。経営上の意思決定を迅速化し、研究開発をはじめとする両社の経営資源を相互に利用することで、事業領域の拡大も進める。

NIPPOが持つ土壌改良や建築などの知見を利用した、ENEOSグループの遊休地活用も検討する。

海外では、ENEOSグループが東南アジアを中心に石油精製・販売事業のグローバル化を進めている。今後も道路インフラ整備の需要拡大が見込まれる同地域で、NIPPOの海外事業基盤との連携を通じて需要を取り込み、海外事業の成長につなげる考えだ。