文科省支援事業に採択
熊本県立大学は4月7日、理事長・学長記者会見を開き、「半導体学部(仮称)」を2027年4月1日に新設する計画に関する説明を行った。入学定員は1学年60人。
すでに文部科学省(文科省)への設置認可申請を2026年3月5日付で提出し、3月11日には文科省の「大学・高専機能強化支援事業」に選定されるなど、国の支援を受けながら半導体人材の育成を本格化させる。
半導体学部(仮称)は2027年4月の開設を予定
新設されるのは「半導体学部 半導体学科(仮称)」で、既存の「文学部」、「環境共生学部」、「総合管理学部」に続く4番目の学部となる。
開設時期は2027年4月1日を予定し、入学定員は60人/学年、教員体制は16人としている。授与する学位の名称は「学士(半導体学)」とする計画だ。
学部の設置に伴い、大学全体の定員は従来通りを維持する形で、総合管理学部の定員をこれまでの280人から220人に縮小する形で調整を行う。これにより、学部再編後の学部構成は、文学部、環境共生学部、総合管理学部、半導体学部(仮称)の4学部体制となる。
「半導体学」を教育・研究の対象に設定
半導体学部(仮称)では、半導体の知識と技術にとどまらず、ビジネスや環境問題、法制度といった関連分野を一体として扱う「半導体学」を教育・研究の対象に据える。AI、情報分野から回路、エレクトロニクス、物性、製造、そして社会制度までを横断的に学ぶことで、新しい時代の半導体を切り拓く知識と技術を身に着け、あらゆる産業や社会経済を根幹で差敢えている半導体の力で社会課題の解決に貢献できる人材の育成を目指すとしている。
3つの履修モデルで専門性を深化
カリキュラム面では、学生が自身の関心や将来のキャリアを見据えて履修モデルを選択し、専門を深めていくことを目的に3つの履修モデルを用意するよする。
1つ目は「AI・応用情報」で、AIに使われる半導体とその活用に関する知識・技術を身に付ける履修モデルとなる。2つ目は「マイクロエレクトロニクス」で、回路やデバイス技術など半導体のエレクトロニクス分野に関する知識や技術を備えた人材の養成を目指す履修モデルとなる。そして3つ目は「スマートマテリアル」で、半導体の材料物性やデバイス製造工程、製造装置に関する知識・技術を修得する履修モデルとなる。
開設までの今後のスケジュール
なお、今後の流れとしては、文科省からの審査意見伝達が2026年5月末ごろに行われる予定で、その意見に対する補正申請書を提出。最速で2026年8月末にも設置の認可が下りる見通しだという。
入学者選抜(入試)については、特別選抜を2026年12月、一般選抜を2027年2~3月に実施するとしている。
施設面では、月出キャンパス内に新たな学部棟を整備するが、開設から2年目までは既存施設を活用し、3年目となる2029年度から全学年が新施設で学ぶ体制へ移行する予定だという。
熊本が半導体人材育成の拠点へ
TSMCの進出をはじめ、熊本県は国内でも有数の半導体集積地として存在感を高めている。同大の半導体学部(仮称)は、こうした地域特性を背景に、半導体人材育成の中核拠点となることを目指す取り組みと言える。
同大は、すでに理事長には2024年4月1日付で、東京大学で日本の半導体研究などをけん引してきた実績を有する黒田忠広氏が就任済みだが、半導体学部(仮称)の学部長には、慶應義塾大学名誉教授で東京大学上席研究員の天野英晴氏が就任する予定のほか、学科長には東北大学元教授でIEEEフェローなどの称号も有する丹羽正昭氏が就任する予定など、国内外から専門家を招聘する予定で、半導体人材教育という点では不足はない体制が構築されることとなる。
基礎から応用、さらには社会的側面までを扱う「半導体学」を掲げる同学部が、地域産業とどのように連携し、どのような人材を輩出していくのか。その動向が注目される。

