がん治療向けウイルスベース免疫治療の設計および開発を手掛けるバイオテクノロジー企業であるTransgeneと、NECの創薬事業においてAIを活用した最先端の研究と臨床開発を担うNEC Bioは4月3日、切除後HPV陰性頭頸部がんの術後補助療法における個別化ネオアンチゲンがんワクチンTG4050の臨床開発を加速するためのライセンス契約を締結したことを発表した。
個別化がんワクチン「TG4050」とは?AIでネオアンチゲンを選定
TG4050は、NEC BioのAIを活用した予測プラットフォームを用いて選定された腫瘍特異的遺伝子変異(ネオアンチゲン、注3)を組み込んだMVAウイルスベクター(MVA-Modified Vaccine Ankara)を基盤とした個別化免疫療法。
現在、頭頸部がんの患者を対象に、手術および補助療法後の再発予防と無病生存期間の延長を目的として、評価が進められている。
TG4050は、患者固有の腫瘍を標的とするネオアンチゲンを用いて、がんに対する患者の免疫応答を誘導・強化し、免疫システムを教育するように設計されている。
ネオアンチゲンは、NEC Bio独自のAIをベースとしたネオアンチゲン予測プラットフォームを用いて予測し選定される。
このシステムは、高度な機械学習を用いて、強力な免疫応答を誘導する可能性が最も高いネオアンチゲンを特定するという。
なぜ個別化がんワクチンが注目されているのか?
個別化がんワクチンは、患者ごとに異なる腫瘍の遺伝子変異(ネオアンチゲン)を標的とする新しい免疫療法として注目されている。
従来のがん治療では、手術や化学療法、放射線治療に加え、免疫チェックポイント阻害薬などが用いられてきたが、すべての患者に十分な効果が得られるわけではないという課題がある。
これに対し個別化がんワクチンは、患者ごとの腫瘍特性に基づいて設計されるため、より高い精度で免疫応答を誘導できる可能性があるとされる。
近年は、AIやゲノム解析技術の進展により、ネオアンチゲンの特定や選定の精度が向上しており、臨床開発の加速につながっている。
EC BioとTransgeneのライセンス契約、開発・収益分配の内容は?
今回のライセンス契約に基づきTransgeneは、切除後HPV陰性頭頸部がんの術後補助療法におけるTG4050のさらなる開発に向け、NEC BioのAIベースのネオアンチゲン予測プラットフォームへのアクセス権を獲得するとともに、同プログラムのさらなる臨床開発、商業化および将来的な第三者との提携の可能性に向けた権利を獲得する。
なおNEC Bioは、引き続きネオアンチゲン予測プラットフォームの完全な所有権および運用管理権を保持し、Transgeneによるさらなる臨床開発活動を支援していく方針。
NEC Bioは、契約締結後に技術アクセス料として、250万ユーロ相当をTransgene株式で受領し、さらに250万ユーロを現金で、2028年初頭までに複数回に分けて受領する。
加えて、別途マイルストーンに応じた支払いが設定されており、その一部はTransgene株式で支払われるとのこと。
さらにNEC Bioは、開発進捗に応じた支払いを受け取ることに加え、Transgeneの利益またはライセンス収入に対する二桁台の割合を含む追加の対価を受領する権利を有する。
