東北大学は、酸化物系全固体電池の製造プロセスの簡略化と高性能化に寄与するという新たな手法を3月24日に発表。リチウム金属とガーネット型酸化物固体電解質(LLZO)を使い、室温かつ短時間で低抵抗な界面を形成できることを示している。

  • 室温で数秒間の超音波接合により形成された、リチウムと固体電解質の界面断面像 出所:東北大学ニュースリリース

    室温で数秒間の超音波接合により形成された、リチウムと固体電解質の界面断面像 出所:東北大学ニュースリリース

金属接合に広く用いられている超音波接合法を応用し、室温かつ数秒という短時間で、リチウム金属とLLZOの界面形成に成功。同大学では「界面形成の新たな選択肢を示すことで、全固体電池の実用化を後押しする成果だ」と説明している。

この研究成果は、東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の程建鋒准教授と、同大学 金属材料研究所の加藤秀実教授、同大学大学院 工学研究科の福田幹久大学院生らの研究チームによるもの。新手法の詳細は、学術誌「Small Structures」に米国時間3月19日付で掲載されている。

全固体リチウム金属電池は、安全性の高さやエネルギー密度の観点から、次世代電池として注目を集めている。

中でもガーネット型酸化物固体電解質であるLLZO(Li7La3Zr2O12)は有力な材料とされるが、リチウム金属との界面接触不良や、表面に形成される絶縁性炭酸リチウム層(Li2CO3)によって高い界面抵抗が生じることが、実用化の大きな課題とされてきた。

研究チームは今回、リチウム金属とLLZOの密着界面形成に、超音波接合技術を応用。超音波振動で表面の絶縁層を破壊すると同時に、加圧下でリチウム金属が塑性変形し、硬質のLLZO表面に密着することを明らかにした。

超音波接合は、高周波振動と圧力を同時に加えることで、材料表面の酸化物や不純物層を破壊しながら金属同士を接合する技術。自動車部品や電池タブの接合など、産業分野では既に使われている技術だという。

今回は超音波接合のみで界面抵抗を約225Ω・平方センチメートルまで低減し、さらに薄いAu(金)の層を併用することで約1.5Ω・平方センチメートルを達成。従来必要だった中間層(溶融リチウム)の導入や、高温処理を用いる必要もないという。

研究チームは今後、界面の微細構造や接合メカニズムを詳細に解析し、界面近傍のナノスケール構造や化学状態をより精密に評価。接合強度や長期安定性との関係を明らかにしていく予定だ。また、固体電解質表面の粗さや結晶粒界の状態が、接合特性に与える影響も体系的に検討し、「材料の微細構造を最適化し、安定した再現性の高い界面形成手法の確立をめざす」としている。

さらに、この手法を他の酸化物系固体電解質へ展開し、超音波接合を固体電解質とリチウム金属の一般的な界面形成技術として応用できるかについても検証。酸化物系全固体電池の設計自由度を高め、実用化に向けた技術基盤の構築につなげていく考えだ。