ナトリウムイオン二次電池で中国最大手のVEKEN(维科技术)が、日本市場に本格参入。電力負荷を平準化する電力系統や工場用だけでなく、家庭用蓄電池の需要も開拓する。
すでにリチウムイオン2次電池(LIB:Lithium Ion Battery)などが浸透している領域だが、度重なる火災事故やリチウム資源の高騰といったリスクを抑えられるのが、ナトリウムイオン二次電池(SIB:Sodium Ion Battery)の最大のメリット。
VEKEN(浙江省宁波市)の販売代理店を務める大昭産業(兵庫県尼崎市)は、「まずは1〜2年内に10ギガワット(GW)の販売をめざしたい」(開発営業部長の山口賢氏)と話している。
VEKENは日本市場への参入にあたり、電気製品の安全性に関わる電気安全環境研究所(JET)の認証を取得したばかり。都内で開催された展示会「BATTERY JAPAN【春】第20回 国際二次電池展」(会期:3月17日~19日)に初出展し、セルや蓄電装置を披露したところだ。
利点あるが普及遅れるSIB、位置付けは「LIBの補完」
ナトリウムイオン二次電池(SIB)の歴史は長いが、LIBにくらべてエネルギー密度が半分程度とあって、普及が遅れている。
しかしここにきて注目されているのが、安全性や経済性、それに使い勝手の良さである。エネルギー密度は小さくても火災などの深刻な事態が抑えられ、4,000回以上のサイクル寿命をもち、マイナス40度でも安定給電できる特性があってLiBよりも使用範囲を広げられる。さらにレアメタルフリーのため、安定して生産できる利点もある。
VEKENはSIBについて「LIBを補完するもの」と位置づけ、定置用蓄電とエントリークラスの電気自動車(EV)向け需要を狙う。中国にある3工場の生産能力は、角形セルが2ギガワット時(GWh)、円筒形セルが1GWh。寒冷地の内モンゴルの発電所にも10/40メガワット時(MWh)の設置実績がある。
まずはAIデータセンター向け蓄電池から導入拡大へ
これから焦点をあてるのはAIデータセンター向けの蓄電池であり、米国では販売実績が上がっている。急成長する生成AIデータセンターでは、学習や推論時に電力負荷が大きく変化する特性があるため、電力系統に与える影響が大きい。そこでピーク負荷にミリ秒単位で対応することで、系統の信頼性を保っている。
SIBは従来の鉛蓄電池に比べて、初期投資を78%削減できるのも強み。VEKENのナトリウム電池は、正極を層状酸化物からポリアニオン正極に替えたことで、結晶構造が堅固になって熱安定性が増し、6,000〜10,000サイクルを可能としている。
データセンターは日本でも急増していて、SIBの潜在需要は米国同様に期待できる。「LIB価格が安くなっていても、SIBはユーザーの選択肢になる」(同)と話している。

