川崎重工業は、水素液化プラント向けの「遠心式水素圧縮機」の実証設備を播磨工場(兵庫・加古郡)に建設し、純度100%水素ガスによる実証運転を2026年1月に開始。水素利用における供給コスト低減の課題の解決に向け、水素液化プロセスの高効率化をめざす。
水素液化プラント向けで世界初の試みとなるこの実証運転は、遠心式水素圧縮機「KM Comp-H2」の性能と安全性の総合検証を目的として実施。純度100%水素環境での性能評価や、液化装置模擬条件における部分負荷特性の評価、長期間連続運転での信頼性評価などを行う。なお実運用においては、水素以外のガスを微量に含む水素にも対応できるとしている。
試験機は処理流量約35,000m3/hrという能力をもち、圧縮比は約3(圧縮機の吸い込み圧力と吐出圧力の比)。実証地面積は150平方メートル。主な特長は以下の通り。
高圧縮・省スペース
超高速回転が可能な、新開発の遠心式圧縮機を採用。既存装置よりも大容量の水素ガスを、限られたスペースで高圧縮できるようになり、既存装置と比べて設置面積を約7分の1に削減可能
省エネ性向上
新開発の高速回転環境における中間冷却技術と、高効率インペラの採用により、同様の技術を非採用の装置と比べて消費電力を年間約3~4%削減可能
多用途展開
水素液化プラントだけでなく、水素供給パイプラインや地下貯蔵設備のほか、製油所・製鉄所・アンモニアプラントなど、幅広い用途に使用可能
水素エネルギーの普及には供給コストの低減が欠かせない。なかでも水素液化プラントの大容量化がニーズが高まっているが、川崎重工によれば「大容量の冷却用水素ガスを限られたスペースで高圧縮できる装置は市場になかった」という。今回の実証装置は、こうした課題を解決する“世界初の次世代型遠心式圧縮機”であり、水素液化プロセスの効率を飛躍的に高めることが期待されるとしている。
同社はこの遠心式水素圧縮機による水素エネルギーの利活用拡大をめざし、同社グループのタービンやエンジン、運搬船、タンクといった多様な水素製品と連携することで水素サプライチェーンを構築。世界的なカーボンニュートラル社会の実現に寄与するとしている。


