人間が太刀打ちできない危険生物たちの必殺技を知る展示会
地球上に棲む生物の中には、獲物を攻撃するためや自身の身を守るために驚異的な身体能力、いわゆる「必殺技」を得たものが数多く存在している。
また、生物の中には人間が太刀打ちできないほどの能力を持つ「危険な生物(危険生物)」も多々存在している。そうした危険生物の必殺技に焦点を当て、科学的な視点から解き明かすことを目指した特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」が東京・上野の国立科学博物館(科博)にて、2026年3月14日より開幕する。
展示構成は危険生物研究所の研究成果を学ぶという仕組み
約3年にわたって準備を進めてきたと総合監修を務める国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹の川田伸一郎氏は、準備期間を振り返り、「危険生物というのは、いろいろな観点で良く調べられている。学術的な監修として、そういう数多くの論文や研究報告を見ながら、展示が適切な内容なのか否かなどを吟味しながら進めてきた。数々の論文が出ているのを目の当たりにして、ここまで危険生物というのは研究されているものなのかと感心した」と、危険生物に対する研究対象としての注目の高さを強調。
また、「ゾウを考えても、あの大きさで、しかも人間には出せないものすごいパワーを持っている。その仕組みはどうなってるのか、ということだけでも長年にわたって研究されてきた。例えばゾウの鼻だけでも、実は何百年という長さで研究が行われてきた経緯がある」と、危険生物の研究の奥深さを説明しつつ、「自分が子供のころのワクワク感を思い出した」ことを踏まえ、「危険生物に大好きなワクワク感を持つような子供たちが来て、見てもらって、この動物はこんなことが調べられていて、こういう能力を発揮できているんだなというようなところから、動物学への入り繰りみたいなのを開いてもらえたらとても嬉しい」と、今回のイベントを機に、来場した子供たちに動物に対してもっと興味を持ってもらって、それが将来のキャリアにつながるなどのきっかけになればとしていた。
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同展の監修者たち。左から国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹の中江雅典氏、日本蛇族学術研究所 主任研究員の堺淳氏、総合監修を務めた国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹の川田伸一郎氏、九州大学 総合研究博物館 准教授の丸山宗利氏、国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹の田島木綿子氏。このほか、当日参加はできなかったが国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ研究主幹の西海功氏、沖縄美ら島財団 総合研究所 動物研究室 主査研究員の冨田武照氏も2名も監修者に名を連ねている。そのほか、名古屋大学 大学院生命農学研究科 天然物ケミカルバイオロジー研究室 教授の北将樹氏、埼玉医科大学病院 麻酔科の高橋守氏、中部大学 応用生物学部 環境生物科学科 講師の武井史郎氏、新江ノ島水族館の山本岳氏が監修協力者として参画しているという
そうした監修者たちの思いもあり、展示会内容の構成も「危険生物研究所」という架空の研究所のラボ(研究室)をイメージしたものとなっており、それぞれのコーナーも「ラボ+番号+危険生物の武器の型名」という組み合わせとなっている。
全部で8つのラボがあり、名称と順番は以下の通りで、ラボ1~4がエリアA「肉弾攻撃系危険生物」、ラボ5~8がエリアB「特殊攻撃系危険生物」に分けられている。
- ラボ1 パワーファイター型
- ラボ2 キラーバイト型
- ラボ3 武装型
- ラボ4 大群型
- ラボ5 猛毒型
- ラボ6 化学攻撃型
- ラボ7 電撃型
- ラボ8 吸血型
巨大生物からミクロな寄生生物まで多様な危険生物たち
ラボ1のパワーファイター型は主に大型生物たち。特に毒や鋭い牙を持っているわけではないが、その巨体から放たれる圧倒的なパワーはそれだけで脅威となる。そのため、日本人の中には危険なイメージを持つ人は少ないという印象を受けるキリンやゾウといった草食動物たちの生態も紹介されており、それを知れば、そうした大型動物が危険生物であるということが理解できるだろう。
ラボ2はキラーバイト型。いわゆる牙で噛みつく動物たちである。ライオンやオオカミといったイメージがあるが、それ意外にも陸上生物の見ならず、水生生物なども紹介されており、いかに多くの生き物が牙を武器としているかがわかる内容となっている。
ラボ3は武装型。ツノを持つ生き物たちがわかりやすいが、生き物の武装はツノだけではないことを実際に会場に行って確かめていただければと思う。
ラボ4は大群型。単体ではそこまで脅威ではないが、群れになると脅威となる生き物たちが紹介されている。中でも同展主催の1者であるTBSの番組「クレイジージャーニー」の取材中に遭遇・撮影されたサスライアリの「女王アリ」の標本の1つが初めて日本で展示される点は注目である。
ラボ5は猛毒型。多くの生物が毒を持っていて、その強さもマチマチであるが、昆虫、爬虫類、海生無脊椎動物、哺乳類までさまざまな生物の毒を知ることができる内容となっている。
ラボ6は化学攻撃型。物理的に直接相手の身体に傷をつけるのではなく、化学反応のような特殊な状態攻撃を使いこなす動物たちの必殺技を知ることができる内容となっている。
ラボ7は電撃型。主に水中に生息する身体から電気を発する生き物を中心に紹介。中には電圧はそこまで高くないが、実は感電すると人間であっても命の危険が生じるような生物も紹介されているので、説明文をじっくりと読んで確かめていただきたい。
ラボ8は吸血型。いわゆる生き物の血を吸うものたちである。また、紹介されている生き物たちの特性を調べてみると、実は単に血を吸うだけで終わらない場合もあることがお分かりになると思うが、どういった仕組みなのかは、実際にその目で確かめていただければと思う。
第2会場は「生体研究ゾーン」
8つのラボで構成される第1会場を抜けると、特設ショップ併設の第2会場が待っている。そちらは特設エリア「生体研究ゾーン」という位置づけ。実際に東京湾に棲んでいる生きたままの海の危険生物たちを見ることができる「Don't touch pool」や、生きた(猛毒を持っているで知られる)サシハリアリ(パラポネラ)たちの営巣風景などを目の前で見ることができる。また、同じく特設エリア「応用研究ゾーン」も併設。こちらはバイオミメティクス(生物模倣技術)を活用し、人類がさまざまな産業分野に生物の能力を応用していることを知ることができる内容となっている。
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「Don't touch pool」。東京湾に生息するいろいろな危険生物たちの生きたままの状態を見ることができる。なおDon't touchというだけあって、水族館にあるようなタッチプールのように上が開いていて触れるわけではない
超危険生物ランキング投票を実施
会期中、指定されたQRコードを読み取ると、展示されている生き物の中から、超危険生物と思う1種を選択して投票することができる「超危険生物ランキング」の投票を行うことができる。第2会場では、そのためのQRコード(会場入り口で配布されている会場マップにも記載されている)が設置されているほか、投票結果が映し出されたモニターもあるので、来場者がどの生き物が超危険生物と思ったのかを一目で見ることもできるようになっている。
また、特設ショップでは各種オリジナルグッズの販売が行われている。細部までこだわったぬいぐるみたちのほか、人気アーティストの長場雄さん、高木耕一郎さんの2名による描きおろしアートワーク、ユニークなメッセージとイラストのステッカーで人気の「B-SIDE LABEL」のステッカーなどが販売される。
なお、特別展でおなじみの音声ガイドは同展アンバサダーでもある麒麟の川島明さんが担当。川島さんは注目の動物として「キリン」を挙げていたほか、展示内容に関して「アトラクション感があって、奥に行くほど没入できる。(研究所という設定を踏まえ)来場の際には白衣を着てきても良いのではないかと思った」とその出来栄えに太鼓判を押していた。
特別展「超危険生物展 科学で挑む生き物の本気」の開催概要は以下の通り。
会場:国立科学博物館(東京・上野) 地球館地下1階 特別展示室
会期:2026年3月14日(土)~2026年6月14日(日)
開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)。4月25日~5月6日までは18時まで開館
休館日:月曜日、5月7日(ただし3月30日、4月27日、5月4日、6月8日は開館)
入場料:一般・大学生2300円、小・中・高校生600円、未就学児は無料
会場内は基本的に撮影可能だが、一部写真撮影禁止の展示物ならびに映像がある点に注意。またフラッシュ撮影、三脚、一脚、自撮り棒の使用および動画撮影は禁止


















