Renesas 365の一般提供が開始
ルネサス エレクトロニクスは3月11日、Altiumの技術をベースとしてデバイス選定、モデルベースのシステム開発、デバイスライフサイクルマネジメント、初期コンセプト検証を単一の統合クラウド環境上で実現するエンドツーエンド電子機器開発プラットフォーム「Renesas 365, Powered by Altium」の一般提供を開始したことを発表した。
ソフト、データシート、アプリケーションノートなどをクラウド上で一元管理
Renesas 365は約1年前の2025年3月にコンセプトが発表され、2026年初頭の提供開始予定がアナウンスされていた開発プラットフォーム。組み込みソフトウェア、データシート、アプリケーションノートなど、これまで個別に扱われてきた情報やツールを、クラウド上で一元化したプラットフォームに統合することで組み込みシステムの開発におけるシステム、ハードウェア、ソフトウェアの各設計ワークフローをまたぐ形での連続性の確保を可能とするほか、モデルベースによるデバイスおよびシステムの調査・選定などといったシステム全体を俯瞰した設計判断の難しさを低減することを可能とする。
また、設計制約やリソース管理、エラー解決を支援するAIを活用したインテリジェントなガイダンスを搭載しているほか、モデルベースによる評価・最適化技術により、従来のようにデータシートを個別に確認するのではなく、ピン配置、周辺機能、タイミング、消費電力、さらにはシステムを構成する機能ブロックとの適合性といった観点から、システム全体の設計要件に基づく形でマイコン候補をガイド付きで提示するなど、インテリジェントな設計環境として機能するという。
第一弾としてRAファミリが対応
第一弾として今回、同社はArmベースの32ビットマイコン「RAファミリ」の550品種以上を、ソフトウェアや開発ツール一式とともにRenesas 365に統合。システムレベルのインテリジェントな支援を活用することで、設計の収束を加速し、下流工程からの手戻りを最小限に抑えるとともに、市場投入までの時間を短縮できるようになるため、従来の開発手法と比べて、より堅牢で効率的、かつコスト効率の高い組み込み設計が可能になるとのことで、例えば従来手法においてエンジニアが1時間程度を要していたデータシートや開発ツール要件の調査・確認作業であれば数分で完了できるようになるとしている。
また、RAマイコン向けに最適化されたセンシングや電源管理などの機能設計や、開発に必要なコンパイラ環境に加えて、統合開発環境e2 studioやFlexible Software Package(FSP)、設計コンテキストに連動したドキュメント類まで含む、統合設計ワークフローを活用できるようになるとのことで、現在e2 studioで進めているプロジェクトであっても、Renesas 365と連携させることで、すぐにプラットフォームを利用開始することができるとするほか、新規プロジェクトの立ち上げの場合、システムレベルでの部品およびソリューションの探索をガイド付きで進めることができ、対応デバイスの選定や実現可能性の評価を効率的に行うことができるようになるとする。
さらに、オープンで拡張性の高いプラットフォームとしたことで、ユーザーはサードパーティ製の部品やセンサ、パートナー製ツールを、システム設計に直接取り込むことができるとのことで、設計チームは複数の選択肢を比較検討しながら、複数ベンダーを組み合わせたアーキテクチャも含めて検討することが可能となり、システム全体を見据えて最適なソリューションを柔軟に設計することができるようになるとしている。
なお、同社では今後の方向性として、完成したサブシステムを、Renesas 365上で維持・管理できるコンポーネントとしてモデル化できるようにする予定としており、この取り組みの一環として、より多くの自社製品への対応を拡大するとともに、サードパーティ製デバイスを含むコンポーネントエコシステムを拡充していくとするほか、周辺機能の構成、電源管理、ソフトウェアといったサブシステム要素については、Renesas 365上で自動的に定義・維持・管理され、互換性が検証された形で利用できるようになり、これらカスタマイズ可能なビルディングブロックの活用により、ユーザーは製品の市場投入までの時間を短縮し、エンジニアリング工数を削減するとともに、最先端の技術をより容易に取り入れることが可能になるとしている。
