カシオ計算機は3月4日、トリマティスおよび公立千歳科学技術大学とともに、内閣府が主導する「経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)」の研究開発構想に参画したと発表した。2025年12月より海中無線通信技術の共同開発を開始しており、カシオは複数の水中ロボットを個体識別できるカメラ可視光通信の開発を担う。
高精度位置測位システム「picalico」で利用される可視光通信技術
今回の共同開発では、大型船舶の船底点検や海底ケーブルをはじめとする海中インフラの維持管理など、海中作業の飛躍的な無人化・効率化を可能とする海中無線通信技術の確立を目指す。自在に動く水中ロボット同士や基地となる水中ステーションが作業に必要な通信を行うための技術で、高速かつ大容量のデータ送信と情報セキュリティーの確保を可能とするレーザー通信、複数同時に通信するマルチアクセス通信、およびそれらを実現する制御技術の開発に取り組むとしている。
カシオが担当するカメラ可視光通信は、イメージセンサー通信、またはOCC(光カメラ通信)とも呼ばれる技術。LEDの点滅や光の強弱をカメラで読み取りID情報として認識することで、複数の水中ロボットやステーションを個体識別し、それぞれの位置関係を把握できる仕組みを実現するという。
同社は独自の変復調アルゴリズムを用いた可視光通信技術を開発しており、高精度位置測位システム「picalico(ピカリコ)」として実用化している。同システムは工場の自動搬送機やフォークリフトの作業動線分析などに活用されているほか、JAXAとの共同研究では月面探査車の位置推定技術としての応用検証も進められている。
三者は「OCC(光カメラ通信)アシスト適応型マルチアクセス水中光ワイヤレス通信技術」を研究開発課題として応募し、採択された。K Programは2022年に成立した「経済安全保障推進法」に基づき創設されたプログラムで、先端的な重要技術の研究開発および成果活用を推進するもの。科学技術振興機構(JST)と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が連携して研究開発の進捗管理や評価を行う。
