AMDは3月2日(米国時間)、「MWC 2026」の開催に併せる形で「Open AI Telco」に参加する事を発表した。そこで事前発表資料を基に、同社の参加の意図などを読み取っていきたいと思う。
3GPPが推進するRANへのAIの組み込み
もともと5Gの頃から、RAN(Radio Area Network)にAIを組み込むという取り組みはいろいろと考案されていた。Photo01は3GPPの「AI/ML for NG-RAN & 5G-Advanced towards 6G(https://www.3gpp.org/technologies/ai-ml-ngran)」からの抜粋だが、3GPPは2025年にRel-19の作業を完了、現在は5G-Advanced向けのRel-20の作業が行われている訳だが、2023年に作業が完了したRel-18の中に、すでに「AI/ML for NG-RAN」という項目が入っている(これそのものはRel-17での結果を基に規定されたものである)。
その構図がPhoto01で、5G Network Interfaceにおけるデータ収集、およびSignalingのサポートにAI/MLを組み込みましょうという話である(Photo01)。
NVIDIAも独自の取り組みを推進
こうした通信システムにAIを導入しようという試みは他にもあり、2025年6月のGTC Parisで公開されたAI-Native Telcoは、NVIDIAが世界各社の通信事業者と組む形で、各国の通信事業者がそれぞれの国向けのソブリンAIインフラを提供するほか、Networkの各段階にさまざまな形でのAIを組み込んでゆく(Photo02)事を発表している。
NVIDIAに頼らずにAIを活用した通信システム構築を目指すOpen AI Telco
今回のOpen AI Telcoは、恐らくはこのNVIDIAのAI-Native Telcoへのカウンターパートという事になるだろう。つまりNVIDIAのソリューションを使わずに、AI Nativeな通信システムを構築するための標準化組織ということだ。
リリースによればGSMAが主導する「Open Telco AI」という新しいInitiativeに、AT&TやTensorWaveなどとともに参画するとしている。このInitiativeに対してAMDは、「AMD Enterprise AI Suite」を通して同社のInstinct GPUとROCm(Radeon Open Compute)を通信向けの学習および推論で利用できるようにするほか、2月26日に発表されたEPYC 8005を持続可能なEdge Platformとして提供するとしている。
このEPYC 8005では、以下のことが実現できるとしている。
- vRAMワークロード、あるいは計算負荷の高いL1処理を実行できる高い計算密度
- NEBS基準のプラットフォームを提供する事で、広範な動作環境のサポート
- 通信事業者のビジネス優先順位に合わせてスケールできる商用vRAMのサポート
AI-Native Telcoに比べるとやや立ち上がりが遅れている感も無くはないOpen AI Telcoではあるが、ここからの巻き返しがどこまで可能かが今後の焦点になりそうである。

