パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2月4日、2025年度第3四半期(3Q)の決算を公表し、同日にオンラインで説明会を開催した。

営業利益は前年同期比104.9%減の赤字に

同社では家電・空調・電材の「くらし事業」、ICTなどの「コネクト」、情報通信機器といった「インダストリー」、車載電池、蓄電システムをはじめとした「エナジー」のセグメントを持つ。第3四半期の売上高は前年同期比4.1%減の2兆633億円、営業利益は104.9%減の72億円、純利益は117.1%減の171億円の赤字だが、調整後営業利益は同5.9%増の1591億円となった。

  • パナソニック ホールディングスの第3四半期における連結業績

    パナソニック ホールディングスの第3四半期における連結業績

調整後営業利益に関しては、くらし事業、コネクト、インダストリーの増益がオートモーティブの非連結化影響をカバーして全体では増益も、営業利益と純利益は現在、進行中のグループ経営改革の構造改革費用の計上により、減益となっている。

パナソニック ホールディングス 取締役 執行役員 グループCFOの和仁古明氏は、決算のポイントについて「減収減益であり、コネクト、インダストリー、エナジーは増収だったが、くらし事業の減収、オートモーティブの非連結化影響で減少した。主な増減要因はインダストリーやエナジーによる生成AI関連、コネクトのアビオニクス・プロセスオートメーションは増加したものの、エナジーの車載電池、くらし事業の家電・エアコンなどが減少した」と振り返った。

  • パナソニック ホールディングス 取締役 執行役員 グループCFOの和仁古明氏

    パナソニック ホールディングス 取締役 執行役員 グループCFOの和仁古明氏

主要セグメントの業績動向 - 苦戦するくらし事業

次はセグメント別の売上高の増減要因を見ていこう。くらし事業は電材が国内において好調で増収した一方で、家電は国内でシェアが向上して堅調ではあったが海外需要の低迷で減収した。空調は環境配慮型ヒートポンプ式温水暖房システムのA2W(Air to Water)が増収もルームエアコンの海外需要低迷により減収、冷凍・冷蔵ショーケースなどを提供するコールドチェーンソリューションズは北米で減収し、全体として減収となった。

コネクトでは生成AIサーバを含めたICT需要を捉えたプロセスオートメーションなど、強い受注が続く、アビオニクス、ブルーヨンダーの増販で増収、インダストリーも生成AIサーバ、コンデンサや多層基板材料といった情報通信関連製品の需要拡大の継続で増収となった。

エナジーは車載電池がEV(電気自動車)市況の悪化に伴う北米工場の減販などで減収したが、産業・民生ではデータセンター向け蓄電システムが好調で増収。そのほか、エンターテイメント&コミュニケーションは市況悪化の影響を受けて減収し、ハウジングは水回りやエレベーター、クロスセル商材が好調で増収した。

  • セグメント別の売上高の増減要因

    セグメント別の売上高の増減要因

続いては、セグメント別の調整後営業利益の増減要因についてだ。くらし事業は国内で堅調な電材と本部コスト削減などで、家電の海外需要減とコールドチェーンの北米における悪化をカバーし、空調は前年並みとなり、全体では増益。

コネクトはブルーヨンダーの戦略投資の増加があるものの、アビオニクスやプロセスオートメーションを中心とした増販益でカバーし、増益となっている。インダストリーは売上高の増収要因と同様に生成AIサーバ、情報通信関連製品の増販益に加え、価格改定や合理化技術などで増益した。

エナジーは車載電池が北米における減販損、IRA(Inflation Reduction Act:インフレ抑制法)補助金の減少、関税の影響などで減益、産業・民生はデータセンター向け蓄電システムの増販益で増益となった。

  • セグメント別の調整後営業利益の増減要因

    セグメント別の調整後営業利益の増減要因

連結業績見通しを下方修正 - エナジーとインダストリーは好材料か

このような決算をふまえた連結業績見通しは、売上高7兆7000億円、調整後営業利益4700億円は2025年10月30日に発表した見通しから変更はない。しかし、営業利益・税引き前利益は構造改革費用の積み増しによる、そのほか損益の悪化で営業利益が300億円減の2900億円、純利益は同200億円減の2400億円にそれぞれ下方修正している。

  • 2025年度の連結業績見通し

    2025年度の連結業績見通し

また、通期の構造改革費用は改革規模の拡大で、前回から300億円増の1800億円の見通しとなっており、これに伴い効果金額も50億円増の420億円を見込む。なお、2026年度までの2年間の累計効果見通しは120億円増の1450億円とし、積み増しを図るという。人員の適正化や拠点の統廃合、間接機能の集約・効率化などを進めていく。なお、当初じゃ早期退職希望者を1万人規模としていたが、説明会では1万2000人に拡大する見通しだという。

セグメント別ではくらし事業が痛手を受けている。実際、くらし事業の通期売上高は前回から530億円減の3兆4820億円としている。グループ会社であるくらしアプライアンス、空質空調、コールドチェーンソリューションズはいずれも下方修正、電材のエレクトリックワークス(EW)は上方修正となっており、EWが孤軍奮闘している状況だ。

  • 2025年度のセグメント別見通し

    2025年度のセグメント別見通し

くらし事業では2026年1月から新セグメントとして、くらしアプライアンス(エンターテイメント&コミュニケーション含む)は「スマートライフ」、空質空調とコールドチェーンソリューションズは「HVAC&CC」にそれぞれ移行し、エレクトリックワークスは現状のままとなる。

  • くらし事業に関する新セグメント

    くらし事業に関する新セグメント

ただ、ポジティブな要素も存在する。それはエナジーとインダストリーだ。車載電池は北米市場の悪化を受けて不調ではあったが、第3四半期を底に緩やかな回復を想定。また、産業・民生におけるデータセンター向け蓄電システムは、2028年度に売上高を2025年度比3000億円増の8000億円への上積みを計画している。

セルは国内の車載電池工場においてライン切り替えを進めており、2025年度第1四半期から順次、データセンター向けの生産稼働を開始する。また、将来に向けてカンザス工場の能力活用を検討している。モジュールはメキシコでの新工場建設を決定していることに加え、新ソリューションの開発を急ピッチで進めている。

  • エナジーではデータセンター向け蓄電システムが好調だという

    エナジーではデータセンター向け蓄電システムが好調だという

インダストリーでは、従来は導電性高電子コンデンサと多層基板材料に、各種の新デバイスを合わせて2030年度に売上高1000億円を計画していたが、導電性高電子コンデンサと多層基板材料のみでの到達が視野に入っているという。2030年までに多層基板材料全体の生産能力を2倍に拡大し、導電性高電子コンデンサは既存ラインを増強していく考えだ。

  • インダストリーは生成AI関連が堅調に推移しているようだ

    インダストリーは生成AI関連が堅調に推移しているようだ

パナソニックHDの第3四半期は、くらし事業の不振や構造改革費用の増加が業績を圧迫し、同社が抱える課題を改めて浮き彫りにした。一方で、エナジーやインダストリーといった成長領域では、データセンター向け蓄電システムや先端素材の需要拡大を背景に、将来へ向けた確かな手応えも見えてきている。

大規模な人員最適化や拠点再編など、グループ全体の構造改革はまだ途上にあるものの、競争力の再構築に向けた布石は打たれつつある。多面的な事業ポートフォリオをどう磨き直し、変化の激しい市場環境に適応していくのか。同社の次の一手が、今後の成長シナリオを左右することになりそうだ。