信頼揺らぐ定例更新:2026年1月パッチチューズデー

Microsoftは毎月第2火曜日に同社製品をアップデートするための累積更新プログラムを配信している。この定例更新プログラムは「パッチチューズデー」と呼ばれており、セキュリティアップデートを含むことから、基本的には迅速に適用することが望まれている。

しかしながら、Microsoftはこのところパッチチューズデーとともに不具合を引き起こすケースが増えていた。もともと累積更新プログラムは問題の修正・セキュリティアップデート・機能追加などを行う反面、少々の問題も引き起こすことがあった。しかし、ここ最近、問題が増加する傾向が見られる。そして2026年1月の更新プログラムは、最近の中では問題が多かった(参考「2026 年 1 月のセキュリティ更新プログラム (月例)」)。

  • 2026 年 1 月のセキュリティ更新プログラム (月例)

    2026 年 1 月のセキュリティ更新プログラム (月例)

本稿では2026年1月の累積更新プログラムに関する問題点を整理する。不具合は五月雨式にメディアに取り上げられ、Microsoftの対応も逐次的だった。状況を整理することで、2026年1月の騒動を把握しておこう。

2026年1月アップデートで何が壊れたのか:報告された問題点まとめ

2026年1月の累積更新プログラム「KB5074109」では、次のような問題が報告された。

  • リモート接続(Windows App/リモートデスクトップ)における認証失敗
  • クラウド保存先(OneDrive等)を扱うアプリのハングアップ・エラー
  • Secure Launch対応デバイスのシャットダウン/休止状態失敗
  • 旧式モデムの機能喪失(ドライバー削除)
  • 一部環境での「起動不能(UNMOUNTABLE_BOOT_VOLUMEエラー)」

上記のうち、1〜3項は、Microsoftが「既知の問題(Known issues)」として更新履歴(KB記事)と告知ページで明示し、定例外(OOB: Out-of-band)アップデートで段階的に対処している。5.についてもMicrosoftが「限定的な報告がある」として調査中である旨が報じられているが、詳細な一次情報はMicrosoft 365管理センター側の告知に限られている。

以下、各問題の概要と対応状況を紹介しよう。

リモート接続(Windows Appなど)で資格情報プロンプトが失敗し、AVD/Windows 365に接続できない

2026年1月の更新適用後、Windowsクライアント側で「Windows App」を用いたリモートデスクトップ接続時に資格情報プロンプトが失敗し、サインインできない事象が発生した。影響先としてAzure Virtual DesktopおよびWindows 365が明示されている。Windows 11(23H2/24H2/25H2)だけでなく、Windows 10側の更新履歴でも同趣旨の「既知の問題」として掲載されている。

この問題に対してMicrosoftは、2026年1月17日配信のOOB更新(KB5077744など)で「修正済み」としている。

クラウド保存先(OneDrive/Dropboxなど)への保存・読み込みでアプリが固まる/エラー、Outlookがハングして再起動が必要になる

2026年1月の更新後、「クラウドベース・ストレージ (OneDriveやDropboxなど)に置いたファイルを開く/保存する」操作で、アプリが無応答になったり予期せぬエラーが発生したりする事象が、Windows 11(23H2/24H2/25H2)で共通して記載された。特に、OutlookでPSTをOneDrive上に置く構成では、Outlookがハングして再度開けず、プロセス終了や再起動が必要になる、送信済みアイテムが欠落したように見える/メールが再ダウンロードされる、といった具体症状までKBに明記された。

Microsoftはこの問題に対し、2026年1月24日配信のOOB更新(例:Windows 11 24H2/25H2向けKB5078127、Windows 11 23H2向けKB5078132など)で解決策を提供したと告知している。

Secure Launch対応デバイスがシャットダウン/休止状態に入れず再起動する

Windows 11 23H2向けの2026年1月13日更新(KB5073455)では、Secure Launch機能を利用可能なPCで、シャットダウンまたは休止状態に入ろうとすると「再起動する」既知の問題が明示された。

Microsoftは、2026年1月17日配信のOOB更新(KB5077797)で「一部のSecure Launchデバイスに対して対処した」旨、KB5073455側の記述および告知ページで示している。また、VSM(Virtual Secure Mode)有効なSecure Launch対応PCについては「将来の更新で対処する」として継続課題としている。

レガシーモデムが動作不能になる(ドライバー削除であり「バグではない」という扱い)

Windows 11 24H2/25H2向けKB5074109、Windows 11 23H2向けKB5073455の「改善点(Improvements)」に、特定のモデムドライバー(agrsm64.sys、agrsm.sys、smserl64.sys、smserial.sys)を削除し、当該ドライバーに依存するモデムハードウェアはWindows上で動作しなくなる、と明記された。

この問題は、ユーザー側では「更新でモデムが壊れた」と受け止められたが、報道ではMicrosoft文書に記載されている「意図した変更」として扱われ、「不具合ではない」という整理で伝えられた。

一部デバイスで起動不能(UNMOUNTABLEBOOTVOLUME、いわゆるブラックスクリーン/ブートループ)

2026年1月に更新(KB5074109)適用後に、停止コード「UNMOUNTABLE_BOOT_VOLUME」で起動不能になる、という深刻な報告が複数メディアで取り上げられた。Microsoftの「限定的な報告を受けて調査中」とする声明が引用されており、影響は物理デバイスでの報告が中心で仮想環境では未報告といったことも伝えられている。

さらに一部報道では、原因として「2025年12月のセキュリティ更新のインストール失敗→ロールバックにより“不適切な状態”が残った端末で、2026年1月更新を適用すると起動不能に至る可能性がある」というMicrosoft側の説明が引用されている。

ただし、この起動不能問題について、Microsoftが誰でも閲覧できる形で詳細をまとめた公開KB(Known issues節)を同水準で提示しているかは確認が難しい。少なくとも、一次情報が「Microsoft 365管理センター/Release health系の告知(認可が必要)」になっている可能性がある点に留意が必要だ。

Microsoftが言及しているWebページ(一次情報)

ここまで紹介してきた不具合情報は掲載場所が分散している。そこで、以下に関連情報が掲載されたWebページを示す。

2026年1月Microsoft累積更新の特徴 は「同時多発する運用障害」

2026年1月の累積更新プログラムは、単一の不具合というより「更新直後に顕在化する運用上の障害が複数同時多発した」点が特徴だ。Microsoftが明確に既知の問題として扱ったのは、リモート接続の認証失敗、クラウド保存関連のアプリ無応答、Secure Launch絡みの電源状態遷移失敗であり、いずれもOOB更新で順次対処している。

起動不能(UNMOUNTABLE_BOOT_VOLUME)は影響が致命的であるにもかかわらず、一次情報が公開KBの既知の問題欄で同程度に明文化されているかは判然としない。少なくとも、報道では「限定的な報告として調査中」とするMicrosoftの文言が引用されている。

また、モデムドライバー削除が「不具合」ではなく「仕様変更」としてKB本文に記載するという対応を取ったMicrosoftにも注意が必要になった。古い周辺機器や業務用途の残存環境では、更新適用前の棚卸しと影響評価が従来以上に重要になることを意味している。古い機材を使用している場合は、今後同様の「仕様変更」という名称でドライバー削除が発生する可能性を考慮にいれなければならない。