がんと診断された人が5年後に生きている割合「5年生存率」の部位別数値を厚生労働省が公表し、前立腺や甲状腺などが90%を上回った一方、膵臓(すいぞう)が約12%と部位ごとに大きな差があることが判明した。これまでも国立がん研究センターが集計結果を定期的に公表してきたが、全ての患者を登録する「全国がん登録」のデータを基にした初の集計として注目される。
調査と集計の対象は、2016年に新たにがんと診断された15歳以上の男女。男女総数のがん部位別の数値では、前立腺92.1%、甲状腺91.9%、皮膚91.1%、乳房88.0%、子宮75.5%、喉頭75.2%が70%を超える高さだった。男性、女性それぞれ患者数が最も多い、前立腺がん、乳がんの生存率が高い結果となった。
一方、膵臓11.8%、胆のう・胆管23.0%は低く、患者数が多い肺も37.7%とまだ低い数値だった。このほか、大腸67.8%、悪性リンパ腫64.4%、胃64.0%、卵巣58.6%、白血病43.4%などだった。
15歳未満の小児がんでは、白血病などが82.2%、神経芽腫などが78.5%、中枢神経系などが60.8%などだった。
国は2016年から全国でがんと診断された全員を登録する制度を開始し、協力病院に限られていた「地域がん登録」から移行した。がん登録推進法に基づいて、全ての病院に患者情報の登録を義務付けている。
国立がん研究センターの「最新がん統計」によると、2021年に新たに診断されたがんは男性55万5918例、女性43万2982例。男女総数では大腸、肺、胃、乳房、前立腺の順に多い。男性では前立腺、大腸、肺、胃、肝臓の順、女性は乳房、大腸、肺、胃、子宮の順だった。死亡数の部位別では男女総数で肺、大腸、膵臓、胃、肝臓の順だった。
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男女とも約2人に1人を数える。また、がんで死亡する確率は男性が約4人に1人、女性が約6人に1人。平均寿命が延びるとがんに罹患する確率も高まり、今やがんは「一般的な病気」になっている。
国は2023年3月に「第4期がん対策推進基本計画」を決め、「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す」を掲げた。「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」が3本柱。がん医療分野では、がん遺伝子変異などを明らかにして一人一人の体質や病状に合せた「がんゲノム医療」や、膵臓がんなどの生存率が依然低い「難治がん」対策を重視している。
今回、全国登録集計により公表されたがん5年生存率は、治療の評価や診断後の経過を予測するめどを考える上で参考になる。その一方、生存率は個々の患者の「余命」を決めるものではない。余命は最善を尽くす治療と患者本人の闘病や家族ら周囲の人たちの支援の仕方により大きく異なると認識することが大切だ。
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