1月21日~23日に東京ビッグサイトで「ネプコンジャパン」が開催されている。今年は40周年という節目の年でもあり、電子機器や半導体、パワーデバイスの部品・材料、製造・実装・検査装置などを提供する1850社が出展している。本稿では、三菱電機のブースを紹介する。
「トレンチ型SiC-MOSFETチップ」 - EV・再エネ向け高効率化に対応
まず、今回の展示内容の目玉は2026年1月14日に発表し、同21日からサンプル提供を開始したパワー半導体「トレンチ型SiC-MOSFETチップ」だ。
昨今では、EV(電気自動車)のトラクションインバーターや太陽光発電といった再生可能エネルギー用電源システムなど、パワーエレクトロニクス機器は性能や品質の向上に向けて要求仕様が高度化しており、機器に使用されるパワー半導体をチップとして組み込む要望が増えているという。
そうしたことから、同社ではさまざまなパワーエレクトロニクス機器へのパワー半導体チップの組み込みニーズに対応するため、トレンチ型SiC-MOSFETチップを4種類ラインアップ。
新製品は既存のトレンチ型SiC-MOSFETチップと同様、同社の独自構造を採用したトレンチ型SiC-MOSFETにより「プレーナー型SiC-MOSFET」と比較して電力損失を約50%低減した。
また、独自のゲート酸化膜製法などの製造プロセス技術で電力損失やオン抵抗などの変動を抑制し、長期間使用時における品質の安定性を実現している。
リレー用途向けSiC MOSFETパワーモジュール「J3シリーズ」の小型・高効率化
続いては、こちらもサンプル提供中の「J3シリーズ リレースイッチ用 SiC MOSFET パワーモジュール」。同社は2024年1月にEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)用モーターなどのインバーター駆動に用いるxEV用パワー半導体モジュールとして、小型化を実現したSiC MOSFETやRC IGBT(Si:シリコン)素子搭載の「J3-T-PM」を開発した。
J3-T-PMは、冷却器とのはんだ接合を可能としており、熱抵抗を従来品比で約30%低減したことで約40%のモジュール小型化を実現。また、小型化によりJ3-T-PM内部のインダクタンスを従来品比30%低減するなど高速スイッチングに対応し、複数のT-PMの並列使用においても、さらなるインダクタンス低減を可能としている。
こうした技術要素を持つJ3シリーズ リレースイッチ用 SiC MOSFET パワーモジュールは、J3-T-PMと同一のフットプリントのため、メインで使用するインバーターモジュールに近接した配置ができるという。
低損失と高出力密度を両立し、従来のSiデバイスでは難しかった高速スイッチングと低オン抵抗を同時に実現することで、電力損失を大幅に低減し、高効率なリレー動作を可能としている。
「Compact DIPIPMシリーズ」
最後は、パワー半導体モジュール「DIPIPM」の新シリーズで昨年9月にサンプル提供を開始した「Compact DIPIPMシリーズ」だ。
同シリーズは、パッケージエアコンやヒートポンプ暖房・給湯システムなどの民生機器や産業機器向けとして、定格電流30A/定格電圧600V品「PSS30SF1F6」と定格電流50A/定格電圧600V品「PSS50SF1F6」の2製品をサンプル提供している。
IGBTとダイオードを1チップ化した「Reverse Conducting-IGBT(RC-IGBT)」を搭載し、小型DIPIPMと比較して約47%の底面積を削減しているほか、従来製品と端子からヒートシンクまでの絶縁距離が同等であり、置き換えを容易に行うことも可能。
また、北米や北欧などの寒冷地でヒートポンプ式空調の普及拡大が進んでいることから、低温でも安定動作する構成部品というニーズへ対応として、連続動作温度の下限値マイナス40℃を実現したという。
小型化・高効率化・信頼性向上を軸に進化を続ける三菱電機のパワー半導体技術は、次世代のパワーエレクトロニクス機器の性能向上を大きく後押しする存在となりそうだ。


