中国のレアアース輸出規制が深刻化するなか、電気自動車をはじめとする“xEV”の中枢である「eアクスル」(eAxle)の開発方針で、日・中の違いが明確になってきた。レアアースの安定調達が課題となっている日本では、アステモ(Astemo)がレアアースフリーのモーターを開発し、eアクスルへの組み込みを計画している。一方、中国のBYDはeアクスルの高機能化をさらに進め、業界唯一の“9 in 1”も視野に独走する見通しだ。
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド(PHV)といったxEV車の性能を左右するのが、モーターやインバーターなどの基幹部品を一体化したeアクスルだ。
ネオジムやディスプロシウム、サマリウムといったレアアース(希土類元素)は、モーターの出力向上や熱対策の肝になるが、アステモはレアアースをまったく使わなくても磁力低下とコストを抑えられる技術を開発。2025年に都内で開催された「Japan Mobility Show 2025」(JMS 2025)において、デモを行った。レアアースフリーのフェライト磁石を使う同期リラクタンスモーターと、磁束が通りやすい多層フラックス構造という、ふたつの技術を開発したことで、ネオジムモーター並みの最大出力180kWを実現している。
アステモの技術では、サイズの大型化も抑えられている。ネオジムを使わないと磁力が1/3に低下することから、同じ性能を得るには磁石サイズを3倍にする必要がある。しかしふたつの新技術によって、モーターの長さを30%増やすだけで済む。またディスプロシウムを使わないぶん、熱対策も工夫していて、ポンプで油を発熱部まわりに循環させる油冷方式を採っている。
アステモはモーター、インバーター、ギアを一体化した3 in 1のeアクスルを保有しているが、2030年をめどにレアアースフリー化を考えている。電動バイクにも適用していく。
一方で、レアアース調達不安のないBYDは、eアクスルの高機能化を限界まで進めようとしている。PHV用としては世界初となる7 in 1「パワートレイン・ドメイン・コントローラー」を開発した。
これは、直流/直流(降圧)コンバーターやオンボードチャージャー、車両制御装置なども統合したもので、小型化と軽量化を同時に実現。車内に散在する電子制御装置(ECU)もドメインコントローラーを使って集約したことで、ワイヤハーネスを削減し、軽量化につなげている。
このような高度の集約化を可能にしたのは、電池をはじめモーターやギアなどのユニットを社内で生産していることが大きいとされる。各ユニットを外部から調達していてはマッチングが難しく、コストも高くなる。BYDは9 in 1へと、さらなるユニットの統合拡大に取り組んでいるところだ。
国内では、トヨタグループや日産が5 in 1などに取り組んでいるが、BYDは大型EVバスにも6 in 1のeアクスルを搭載するなど先行している。集約するユニットを増やせば、修理が難しくなるという懸念もあるが、コストと電費の低減は大きなメリットといえる。
国内自動車大手からは、さまざまなレアアース対策が進んでいて将来は大きな問題にならない、との楽観論も聞こえるが、足下では生産中止に追い込まれた車種もある。改めてアステモの新技術の重要性が注目される。

