中国税関当局は通関業者に対して、NVIDIAのAIチップ「H200」の中国国内への持ち込みを許可しないと通告したようだ。また、中国政府当局は、国内テクノロジー企業を召集し、必要な場合を除いて同社製のチップを購入しないよう明確に指示したという。

通関拒否と企業への購入制限通達

H200は現在の米中関係における最大の火種の1つになっており、中国企業からの需要は強いものの、中国政府が国内チップ産業の発展のために全面禁止を望んでいるのか、規制の内容を検討しているのか、それとも米国との交渉で譲歩を引き出すための駆け引き材料にしているのか、その意図は依然不透明となっている。

同チップは、ドナルド・トランプ政権から一定の条件付きで対中輸出が正式に承認されたが、米国内でも論争の的となっている。多くの対中強硬派は、中国軍の能力を一気に底上げし、AI分野における米国の優位性を削ぐと懸念している。

中国当局は今回の指示について理由を示しておらず、これが正式な禁止措置なのか、あるいは一時的な措置なのかについても明言していないとのこと。Reutersは1月7日に中国政府がNVIDIA「H200」チップの発注停止を要請していると報じていた。

中国政府が一部のテクノロジー企業に対し、大学との共同研究など「特別な状況」でのみH200購入を承認すると通達したという。R&D(研究開発)目的や大学は例外扱いにする方向で議論が進んでいるようだ。

H200をめぐる中国政府の思惑は不透明、意図は読み切れない

米国は2022年以降、中国のAI・高度技術開発を抑制する目的で、高性能チップの対中輸出規制を導入してきた。2025年、トランプ政権は性能の低い「H20」チップの輸出を一度禁止し、その後に許可したが、中国側は同8月に事実上その販売を阻止。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、中国市場における同社のAIチップシェアが「ゼロになった」と述べていた。

中国もHuawei(ファーウェイ)の「Ascend 910C」のようなAIプロセッサを開発しているものの、H200は高度なAIモデルの大規模トレーニングにおいて、効率的だと見なされている。中国のテック企業は2万7000ドル/個のH200を200万個以上発注しており、この数量はNVIDIAの保有在庫70万個を大きく上回るという。

ただし、H200の中国向け販売でより大きな利益を得るのが米国側なのか中国側なのかについては議論が分かれている。中国市場への再参入はNVIDIAに巨額の利益をもたらし、また米政府もチップ販売に対して、25%の手数料を徴収することで多額の収益を得ることになる。

ホワイトハウスのAI担当トップであるデビッド・サックス氏らは、こうしたチップを輸出することは、中国企業がNVIDIAの先端設計に追いつこうとする努力を弱める効果もあると主張している。

CFR(Council on Foreign Relations think tank:外交問題評議会)の中国・新興技術担当シニアフェローであるChris McGuire(クリス・マグワイア)氏は「中国は米国がAIチップを中国に販売したがっていると考えている。そのため、ライセンス承認と引き換えに米国から譲歩を引き出す交渉力があると見ている」と述べている。1月14日付のReutersが報じている。