宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月9日、国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在搭乗員として、新たに諏訪理宇宙飛行士を指名した。諏訪飛行士にとって、これが初の宇宙飛行となる。滞在時期は2027年頃の予定で、日本実験棟「きぼう」を含むISSの各施設の維持・保全のほか、科学実験ミッションを実施することになる。
諏訪理氏は現在49歳。プリンストン大学大学院地球科学研究科を2007年6月に修了し、2008年1月には青年海外協力隊にてルワンダに派遣された経験を持つ。その後、国際連合・世界気象機関や世界銀行を経て、2023年7月にJAXAに入構。日本人宇宙飛行士候補者として基礎訓練を参加・修了し、JAXAは2024年10月に諏訪氏を宇宙飛行士として認定していた。
今回のISS長期滞在は、国際調整を踏まえて決定したもの。ISSに長期滞在する日本人宇宙飛行士は、諏訪飛行士が8人目となる。
1月9日に開催された記者会見の中で、諏訪飛行士は「私は予定通りにいけば、2027年にISSに行くことになる。ISS運用は2030年までなので、具体的に後ろが見えている、そんな時期だと思う。これまで出してきた科学的な成果に、最後に磨きをかける時期が来ていると思うし、その次を睨んで地球低軌道の商業利用へどうつなぐのか、どう民間需要を作るのか、そういった話も出てくるだろう。その後の月や火星に向けた、次世代の有人宇宙開発にどうつなげていくのか、といったことも、きっと意識しながらミッションをやっていく必要がある、という風に考える」と話した。
諏訪理宇宙飛行士の抱負
国際宇宙ステーション(ISS)での有人滞在が始まった2000年11月、私はまだ大学院生でした。どこかでそのニュースを耳にし、宇宙への淡い憧れを抱きつつも、自分には遠い世界の出来事のように感じていたことを覚えています。
あれから25年。世界情勢も宇宙開発の状況も大きく変わりました。その間、ISSは発展を続け、持続的に多くの成果を生み出してきました。先輩の宇宙飛行士の皆さんが活躍し、確実に襷をつないでくださったおかげで、私たちにとって宇宙での長期滞在が日常となる世界が拓かれつつあります。
今回、ISSでの長期滞在ミッションに挑戦する機会をいただいたことに、喜びと使命感を抱くとともに、国際協力のもとISSが積み重ねてきた歴史の重みを深く感じています。そして、その歴史の先には、月・火星、さらには新たな地球低軌道の時代が広がっています。私に課された大切な役割は、ポストISS時代を見据えながら、この襷を途切れさせることなく、しっかりと未来へつないでいくことだと思っています。これから始まる長期滞在に向けた訓練に、全力で、そして楽しみながら挑んでいきたいと思います。そして、皆さまに宇宙開発の可能性やワクワクを少しでも多くお届けできれば幸いです。
日ごろからISS計画や運用をはじめとする宇宙開発を支え、応援してくださる多くの皆さまに心から感謝申し上げます。今後とも変わらぬ応援をいただけましたら幸いです。
山川宏理事長の談話
この度、国際宇宙ステーション(ISS)参加各極による国際調整を踏まえ、諏訪理宇宙飛行士をISS長期滞在搭乗員に指名したことをご報告でき、大変喜ばしく思っております。
諏訪宇宙飛行士は、2023年に宇宙飛行士候補者として選抜されて以来、基礎訓練および国際パートナーとの協働訓練を着実に積み重ね、2024年に宇宙飛行士として正式認定を受けました。さらにNASAでの維持・向上訓練に加え、極限環境でのチーム行動やリーダーシップを鍛えるESAのCAVES訓練にも参加し、長期滞在に必要な技能や資質を高めてまいりました。
JAXAは、ISSでの日本人宇宙飛行士の長期滞在で培った有人宇宙技術を基盤として、有人与圧ローバーをはじめとする国際宇宙探査に資する技術実証、国際協力の強化、民間との連携拡大を進めています。また、2030年以降の地球低軌道における民間主体となる活動の活発化を見据え、新たな有人活動の形を築くための取り組みも加速しています。
諏訪宇宙飛行士にとって初めてとなるISS長期滞在ミッションが、社会に貢献する多くの成果をもたらし、月探査を通じた人類のフロンティア拡大へと発展することを期待しております。
この度の諏訪宇宙飛行士のISS長期滞在の決定にあたり、内外の関係者の皆様から賜りましたご協力に対し、心より感謝申し上げます。
