クマによる人身被害を未然に防ぐために、国産AIロボットを活用して人里近くをパトロールさせたり、追い払ったりするというプロジェクト「KUMAKARA MAMORU」を、東京大学発スタートアップのHighlandersが開始した。
同プロジェクトでは、防衛・インフラ分野などの極限環境で実証を重ねてきたという国産AI四足歩行ロボットを活用。深刻化しているクマの市街地出没問題に対し、こうしたロボットが人の代わりに里山の境界を守るという、新たな社会インフラの形を提案している。
使用するロボットには「HLO PRO」というプロダクトIDを付けている。主な仕様は、外形寸法/重量が440×880×570mm(幅×奥行き×高さ)/60kg、稼働速度は秒速2mで、LiDARや深度カメラ、IEEE 802.11b/g/n準拠の無線LAN機能などを装備する。
同ロボットが担う役割として、Highlandersでは以下の3つを挙げている。
不整地での遠隔操作パトロール
急斜面や瓦礫、藪を乗り越える「強化学習ベースの自律歩行」により、従来の車両やドローンでは進入できなかった人里近くの密林エリア(バッファゾーン)へ深く入り込む。
30kgのペイロードによる「重量装備」での追い払い
総重量60kgの巨体と高トルクな関節により、ドローンなどには搭載できない「大型スピーカー」や「強力フラッシュライト」といった重量装備(最大30kg)を搭載可能。視覚と聴覚の両面から、クマに強い忌避行動を促し、人里から山林へと誘導する。
AI×サーマルカメラによる早期検知
国産AIロボットに搭載された赤外線サーマルカメラが、夜間や藪の中でもクマを検知。AIが熱源を解析し、管理者へ映像と位置情報を即時共有することで、遭遇事故を未然に防ぐ。
Highlandersは「単なる(クマの)駆除ではなく、ロボットの力で、人と野生動物の適切な距離感を回復すること」をめざすと説明。人里と山林の境界に展開したロボットを活用して、クマの接近をAIで検知・判断・威嚇することで、「ここから先は人の生活圏である」という認識をクマに学習させ、 住民の安全確保と、現場を支える人々の負担軽減を同時に実現する、としている。
今後は、実際の里山環境での実証実験を本格化し、ロボットによる介入がクマの行動にどの程度の抑止効果をもたらすか検証を進める。最も効果的な威嚇手法や運用モデルを確立し、自治体や地域団体と連携しながら、ロボットを活用したクマ対策の全国展開をめざすとのこと。

