住宅設備機器を手がけるタカラスタンダードが、宇宙関連事業に参入する。ホーローの新たな可能性を追求するための「宇宙プロジェクト」を始動し、将来的に“月の砂”を材料に使って月面基地の建材や内装材へ活用することを検討。目標として、2030年までに用途開発を完了し、2035年までの事業収益化をめざす。

  • ホーローの熱真空試験の様子

    ホーローの熱真空試験の様子

ホーローは、鉄やアルミなど金属の表面に、ガラス質の釉薬(ゆうやく)を吹き付け、高温で焼き付けて作られる素材で、金属の強さとガラスの美しさといったそれぞれの長所を最大限に活かせることを特徴とする。

システムキッチン・バスを中心とした住宅設備機器メーカーであるタカラスタンダードは、ホーロー技術を110年以上にわたり磨き続けてきた実績をもつ。2025年1月には「ビジネスディベロップメント本部」を新設。独自の技術アセットを生かして、住宅設備機器事業に次ぐ新たな事業の創出をめざしており、そのひとつとして宇宙関連事業を位置づけている。

タカラスタンダードのホーローは、耐久性・耐腐食性・清掃性などを高め、過酷な環境下でも性能発揮するとアピールしており、これまでにも宇宙空間の真空と厳しい温度環境を再現した「熱真空試験」や、ロケット打ち上げ時の振動がもたらす損傷や耐久性、信頼性を評価する「振動試験」を行ってきた。その結果、同社のホーローは宇宙環境でも問題なく活用できる可能性が高いことが分かったという。

また、月面でのホーローの活用を見据え、釉薬であるガラスフリットの代替材料として「レゴリス」(月の砂)が使える可能性を示唆。レゴリスは主にガラス質の微小粒子で構成される素材で、これを月面で調達して、ホーローの耐熱性・耐久性を生かした月面基地の建材として使ったり、月面住居での衛生面・清掃性を生かした宇宙モジュールの内装や水回りなどに活かしたりすることをめざす。

  • レゴリスホーローのイメージ

    レゴリスホーローのイメージ

同社は今後、国内外の研究機関や関連企業との連携も視野に入れ、ホーローの新たな可能性を追求。同社のビジネスディベロップメント本部と研究開発本部による「宇宙プロジェクト」を始動した。

具体的には、現行のホーローが宇宙環境で適用できる性能を持つことを確かめるため、放射線試験などの追加の環境試験の実施を予定。また、月の砂を用いてのホーロー生産や、通常は高温の焼成炉で焼き付けるホーロー製造工程において、太陽光などの熱線を利用できるかどうかといった、新たな原材料や製造方法の検討を進める。