ラピダス(Rapidus)の小池淳義社長は12月19日、「SEMICON Japan 2025」においてふたつのトピックを披露した。「NVIDIAのジェンスン・ファンCEOに負けない」と力強く掲げたのは、600mm角のインターポーザー(中間基板)で、世界初のものだ。もうひとつは未来の工場をイメージしたビデオで、無人の生産ラインを人とヒト型ロボットが共働で管理しているというもの。

  • 世界初600mm角基板を抱えてみせる、ラピダス(Rapidus)の小池淳義社長

    世界初600mm角基板を抱えてみせる、ラピダス(Rapidus)の小池淳義社長

大型試作基板を鍛えた両腕で掲げる小池社長

小池社長はチップレットのサイズが大きくなるにつれ、インタポーザーが重要と認識していた。従来の口径300mmシリコンウエハーからは4個しかとれないとあって、生産性が劣る。そこで49個のチップレットが得られる600mm角のインターポーザーにすることを決めた。ゼロからの開発になったが、日本IBMで実装技術を担当した実績のある、折井靖光専務執行役員エンジニアリングセンター長が陣頭指揮を執り、試作にこぎつけた。

セイコーエプソン千歳事業所内に整備中の研究開発委拠点「ラピダス・チップレット・ソリューションズ」(RCS)で仕上がったばかりのインターポーザーをステージに持ち込んだ小池社長は、「これです」と両手に掲げて、満席の会場に披露した。日頃からアメフトで鍛えているが、この日のために腕立て伏せを100回続けてきたそうだ。ガラスキャリアと保護用のシャーシに載った金色のインターポーザーには実チップで「600」と描かれている。

米国で1月に開催された「CES 2025」で、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOはモックアップで新製品のプレゼンを行ったが、ラピダスは実物を披露したことから、「負けていない」というわけだ。

世界初の前/後工程融合に挑戦。2039年の工場構想も

ラピダスにはもうひとつの世界初がある。前工程と後工程をひとつの工場でつくるのが世界初という。最大テーマである2nm(ナノメートル)プロセスロジック半導体は通常6カ月、緊急体制でも6週間かかるとされるが、ラピダスは12日と18時間で実現することができた。社名の通りスピードを強みとしている。

日本は40nmプロセスまでは世界で戦っていたが、その後のプロセス開発はハードルの高さから手を引いた。しかし2nmプロセスには「GAA」という新たなトランジスター技術が導入されるため、同社社員は「スタートラインは同じ」とみている。コスト面から多重露光/エッチングは避ける方向である。

これとは別に、小池社長が「びっくりしますよ」と切り出したのは、2039年の工場の姿。SF映画のようなデモビデオに映る工場は2階建てで、1階と2階の間には透明な床があり、階下から上の階が透けてみえる。1階は無人工場で、2階では人とヒト型ロボットが一緒に歩きながら計器や製造ラインを見つつ、なにやらコミュニケーションしているようにみえる。静かで無機質な雰囲気が伝わってきた。

2027年の量産に向けて作業に拍車をかけているラピダス、早くも14年後のビジョンを公開することで、成功に向けた思いを訴求している。