Rapidusは12月17日、同社が提唱する「RUMS(Rapid and Unified Manufacturing Service)」を推進するために重要となるコンセプト「Raads」を具現化する半導体設計支援ツール群を開発し、2026年度より順次リリースすることを発表した。
この発表に際しRapidusは、同日から19日まで開催中の「SEMICON Japan 2025」の会場となっている東京ビッグサイト内にて、メディア向け説明会を実施。同社 最高技術責任者(CTO)の石丸一成氏とエンジニアリングセンター 設計技術統括部ディレクターの鶴崎宏亀氏が登壇し、新ツール群の提供計画やその役割について説明した。
蓄積したノウハウとAIで“2nm設計の民主化”へ
世界最先端のロジック半導体の開発・製造を目指すRapidusは、設計・ウェハ工程・3Dパッケージなどのサイクルタイム短縮サービスの開発・提供による新産業創出に取り組んでいる。また同社は、12月17日~19日に開催されている「SEMICON Japan 2025」にてブースを出展。北海道千歳市にて4月にパイロットラインの稼働を開始した「IIM-1」(IIMはInnovative Integration for Manufacturingの略語)の進捗状況や、同施設にて試作された2nm GAA(ゲートオールアラウンド)ウェハなどについて紹介している。
Rapidusが目指すのは、圧倒的なスピードでの先端ロジック半導体の開発・製造による他ファウンドリ企業との差別化。前工程のウェハ製造に限らず、後工程、および設計段階へのソリューション提供によって、世界最短のTurn Around Time(TAT)を目指すとしており、AIやセンサを活用した設計と製造の同時最適化を図るなど、サイクルタイムの短縮に日々取り組んでいる。
そして同社は今般、かねてより設計支援ソリューションとして“Raads”というコンセプトを紹介してきた。これは“Rapidus AI-Assisted Design Solution”の頭文字をとったもので、設計者が作成した論理設計を実際の製造に繋げるプロセスを効率化するAIツールや、論理設計を物理設計へと変換するツール群、製造データと照らし合わせ最適化するツールなど、さまざまな工程を効率化させ短時間で高精度な設計を実現させるソリューションだとする。
しかしRapidusは今回、Raadsを“Rapidus AI-Agentic Design Solution”へと進化させていくことを発表。半導体設計者をアシストするだけでなく、最先端半導体デバイス設計のAIエージェントとして活用できるツール群を目指すと明かし、その具体的なツールとして開発に着手しているという「Raads Generator」「Raads Predictor」について、鶴崎氏より説明された。
同氏によれば、オープンソース上に構築されたこれら2つのツールは、2nmプロセスのプロセスデザインキット(PDK)や評価用のスタンダード、設計用の部品などを組み込んだパッケージの形で提供されるとのこと。Raads Generatorは、大規模言語モデル(LLM)ベースのEDAツールで、設計者が半導体の仕様を自然言語で入力することで、2nm製造プロセスに最適化されたRTL設計データが生成されるという。一方のRaads Predictorは、デザインアイデアや求めるスペックをRTLソースコードで書き出し、SDC(Synopsys Design Constraints)とともにインプットすることで、Rapidusで製造した場合のシリコンのPPA(Power Performance Area)を予測できるため、ロジック設計者であっても最終的な物理設計を加味したデザインを構築でき、設計作業の効率化が期待できるとした。
またその他にも、LLMを活用して設計者をアシストし、課題に対する解決策を導出する「Raads Navigator」「Raads Indicator」と、設計期間の短縮に寄与する「Raads Manager」「Raads Compiler」「Raads Optimizer」、計5つのソリューションについても、2026年度内をめどに順次提供を開始していく計画だという。なお追加予定の5ツールについては、CadenceやSynopsysといったEDAベンダーのプラットフォーム上で提供されるとのことだ。
Rapidusの生産拠点であるIIM-1では、すべての製造工程で枚葉プロセスが導入されており、2025年6月までには200台以上の枚葉式半導体製造装置が新しい搬送システムによって接続され、そこで試作された2nm GAAトランジスタの動作も確認されている。そして今回の発表は、今回開発されたツール群を活用し、IIMの2nmプロセスに対応したPDKの開発を進めることで、顧客による設計ができる環境を整えていくとし、Raadsの活用によって設計期間を50%、設計コストを30%削減するとしている。



