現在、世界でDRAMを製造できるメーカーは指折り数えられる程度となっているが、その中でSamsung Electronics、SK hynix、そしてMicron Technologyが3大サプライヤとなっている。

そのうちの1社であるMicronの日本法人であるマイクロンメモリ ジャパンが2025年12月17日~19日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている「SEMICON Japan 2025」に出展している。

  • マイクロンブース

    SEMICON Japan 2025のマイクロンブースの様子

日本が担う先端DRAMの開発・製造

同社は主にDRAMとNANDを手掛けているメモリメーカーだが、そのうちDRAMについては日本が先端の開発・製造を担う役割を有している。というのも同社は2013年にエルピーダメモリを買収し、その資産を引き継いだ背景がある。元々エルピーダが広島に有していたDRAM生産工場は、現在も拡張が続けられ、同社の2025年12月時点の最新世代となるEUVリソグラフィプロセスを適用した1γ nmプロセスの量産も担っているほか、そうした先端プロセスを活用したDRAM製品、例えばHBM3Eのプロセス開発は最初から広島工場にて進められるなど、日本が担う部分が大きい。

また、旧エルピーダ時代から存在する神奈川県橋本の拠点(さらに大元はNEC)では、LPDDRなどのLPDRAMの設計を担っており、日本が同社の先端DRAMの方向性を左右する存在となっていると言える。

日本で設計・製造されたDRAM製品を展示

そんな日本での開発・製造に注力する同社ブースでは、1γ nmプロセスを採用したLPDDR5Xの300mmウェハや、12層構成のHBM3E、HBM4チップなどの展示が行われている。HBM3Eは2025年初頭より生産開始済み。HBM4については現在サンプル出荷中で、2026年より量産に入る予定で、現時点でHBM4を作れるのは同社の工場としては広島工場のみだという。

  • LPDDR5X
  • LPDDR5X
  • 1γ nmプロセスを採用して広島工場で製造されたLPDDR5Xウェハ

  • HBM3E 12Hi

    HBM3E 12Hi(12層HBM3E)の実チップ。当然ながら、目を凝らしても肉眼で12層が積層されている様子は見ることは不可能

  • HBM4

    HBM4 12Hi(12層HBM4)の実チップ。2025年12月時点ではMicronとしては広島工場でしか製造していない

そのほか、NAND製品も含める形で、「データセンター」、「クライアントとモバイル」、「自動車と産業」といった注力セグメント向け製品も展示されており、ブース担当者は「最近はHBMに注目が行きがちだが、色々な製品の開発・製造を行っていることを知ってもらいたい」と語っていた。

  • 各セグメントに向けた製品の展示
  • 各セグメントに向けた製品の展示
  • 各セグメントに向けた製品の展示。NANDに関してはシンガポール工場などで製造が行われている

また、同社は現在、半導体人材確保と地域貢献を目指した広島を中心とした地元住民との交流活動なども積極的に行っており、今年度すでに数千人規模の交流を果たしたとのことで、そうした交流や地域に向けた取り組みなども動画で紹介されていた。

次世代技術の開発も日本が推進

ブースに居たマイクロンメモリ ジャパンのDRAM開発部門 シニアバイスプレジデントである白竹茂氏によると、「1γ nmプロセスは、2月にDDR5 DRAMのサンプル提供をアナウンスして以降も順調に開発が進んでおり、量産立ち上がりも順調で歩留まりも高い」と、1γ nmプロセスには技術的な問題はなく、製品としても順調に提供が進んでいくことが期待されることを強調。併せて「すでに次の世代のDRAMに向けた開発も進めている」とする。ただし、同氏が語った次のDRAM世代は同社が示しているロードマップから読み取ると1δ nmとなると思われるが、その先の「ε nm」世代が10nmプロセス世代なのか1桁世代プロセスになるのかは、当然だが、まだ言えない状況にあるとしていた。

  • マイクロンメモリ ジャパンのDRAM開発部門 シニアバイスプレジデントである白竹茂氏

    右がマイクロンメモリ ジャパンのDRAM開発部門 シニアバイスプレジデントである白竹茂氏。左はマイクロンメモリ ジャパンの代表取締役である野坂耕太氏

GPUの出荷増に併せて増えるAI分野におけるDRAMの出荷量

また、白竹氏は「5年先を見据えた研究開発を進めている」と同社のDRAM開発体制を説明する。

この取り組みは帯域幅、容量、消費電力すべてに結び付いてくる。この中で消費電力や帯域幅はプロセスの微細化(アーキテクチャ含む)が中心となるが、容量については積層技術も主要因になってくる。

DRAMの積層と言うと、HBMが8層や12層構成で話題になりやすいが、実はLPDDRも1パッケージの中にDRAMダイを4層や8層に積層する形で提供されている(8DP=1パッケージ内に8個のダイが積層されているという意味)。同社が提唱するAIサーバ向けメモリ「SOCAMM」に至っては、現状のNVIDIA Blackwell Ultra世代向けに1モジュールあたり4パッケージ構成で、1パッケージあたり8DP(8ダイをワイヤボンディングで積層。HBMはTSVで積層)をサイドバイサイドで合計16ダイ使用して提供(最大4モジュール)しているが、次世代のCPU「Vera」(開発コード名)では、8モジュールまで拡大される模様であり(GPU側の開発コード名はRubin)、そうなればより多くのDRAMダイが消費されることとなる。

さらに将来的には32個のダイを1パッケージに収めることも視野に入れているとのことで、「HBMの16層化についても技術的には見えてきた」ということと併せると、AI向けGPU出荷されればされるほど同社のDRAM製品も出荷数が増していくことが期待されるという。

白竹氏は日本法人の位置づけを「Micronの中でもユニーク」と語る。開発、設計、製造を1国の中で担えるというのは非常にグローバルの同社にとっても、日本法人にとっても強みであると言え、今後もその優位性を伸ばしていくために「これからも日本でしっかりと開発を行っていく」(同)ことを強調していた。