今週末12月14日、三大流星群のひとつ「ふたご座流星群」のピークがやってくる。条件が良ければ1時間あたり50個程度と、夜空を見上げるだけでかなり多くの流星が楽しめる注目の天体ショーだ。
今年(2025年)は全国的に強風や荒天の予報で、気象条件はかなり悪い。とはいえせっかくの機会なので、流星群のライブ配信情報や「スマートフォンでも撮れるの?」という素朴な疑問への答え、「そもそも流星群とはなにか」といった基礎知識をここで一挙紹介したい。
2025年のふたご座流星群、見ごろは14日夜
今年のふたご座流星群について国立天文台では、12月14日17時頃に出現ピーク(極大)を迎えると予想している。今回は月明かりの影響が小さく、12月13日夜〜14日明け方までと、14日夜〜15日明け方までの2夜にわたり、普段よりもかなり多くの流星が見られるとのこと。最も多く流れ星が見られる、いわゆる“極大夜”は後者となる。
一例として、東京付近の空の暗い場所で観察したときに見られる、1時間あたりの流星の数は以下のように予想している(実際に観測できる数は、観測地点や天候、視力や熟練度によっても大きく変わる)。
- 14日0時〜4時頃:40〜45個程度
- 14日21時頃:30個程度
- 14日23時〜15日2時頃:50個程度
- 15日明け方まで:35〜45個程度
流星は、ふたご座あたりにある“放射点”を中心に四方八方に出現する。今回は放射点のすぐ近くに木星が明るく輝いているはずなので、すぐに見つけられるだろう。
流星はどの方角にも現れるので、空の広い範囲を見渡すようにしながら、最低でも15分ほどは観察を続けるとよい。なお、スマートフォンやタブレットなどの明かりは暗闇に慣れた目を刺激するだけでなく、周囲で観察している人の迷惑にもなってしまうので、観察中のモバイル機器操作は避けたい。厳寒の折、防寒対策をしっかりしておくことは言わずもがなである。
週末は荒天予報だが、ライブ配信で楽しめる……かも?
今年は12月15日まで全国的に荒天の予報が出されており、ふたご座流星群を落ち着いて屋外で楽しむのは残念ながら難しそうだ。ふたご座流星群の様子を天文ソフト「ステラナビゲータ」でシミュレーションした動画がアストロアーツの公式YouTubeチャンネルに掲載されているので、それを見て楽しむのもアリだろう。
2025年 ふたご座流星群のシミュレーション(南の空の見え方)
ウェザーニュースでは、今年のふたご座流星群のライブ配信を12月14日21時から2時間にわたり行うことを予告している。各地点のライブカメラ映像から火球レベルの流れ星を探すということで、ひとつでも雲のない夜空を映してくれるライブカメラが現れることに期待したい。出演は、星空案内人の山岸愛梨キャスターと戸北美月キャスター。
【天体ライブ】ふたご座流星群2025 三大流星群のひとつが極大 中継&解説特別番組 12月14日(日)21:00〜23:00 Geminid Meteor Shower〈ウェザーニュースLiVE〉
ほかにも、全国各地の天文台に設置されたライブカメラで流星群のライブ配信を行っている可能性もあるので、ぜひチェックしてみてほしい。
なお余談だが、PC版のGoogle検索ページで「流星」や「流星群」といったキーワードを含めて検索すると、画面が一瞬だけ暗くなって星が流れるという粋な試みが楽しめる(ただし検索ワードの組み合わせ次第では、このエフェクトが表れないこともあるようだ)。
スマホでもOK? 天体ショーの撮影で気を付けたいこと
昨今のスマホカメラはかなり性能が底上げされており、iPhoneやGalaxyシリーズなら「ナイトモード」、Google Pixelシリーズでは「天体撮影モード」を使うことで、十分にキレイな星空写真を手軽に撮れる。ただ、流れ星がどこに出現するかを予測することは難しく、スマートフォンで撮れるかというと、「映り込めばラッキー、くらいの心積もりでいてほしい」としか言いようがない。
それでも準備を念入りに行うことで、ある程度は撮影チャンスを逃さないよう工夫することはできる。撮影機材を問わず、ほとんどの天体ショーの撮影において大事なことは以下の通りだ。
- 明るい時間帯のうちにロケハンを行う
- 明かりが映り込まない場所を選び、三脚などでしっかり固定する
- 適切な撮影モードや撮影用のアプリを選んでおく
- バッテリーをフル充電しておく(スマホは機内モードにして電力消費を抑える)
- レンズを必ずキレイに拭いておく
- シャッター操作のブレを押さえるため、必要であればセルフタイマーを活用する
- 地上の様子を入れ込むなど、構図を工夫する
もしスマホで撮影しようとするのであれば、静止画モードにこだわらずあえて動画を回しっぱなしにしておく、といった方法論も考えられる。
たとえば、極大夜にタイムラプス動画でひたすら夜空を撮っておきながら、自分の目でも流れ星を観察して見つけられた時間を記録しておき、あとで撮影データの中から流星が映り込んでいる箇所を見つけてスクリーンショットを撮る、というやり方もアリかもしれない。
趣味レベルで楽しむのであれば、いろいろ撮り方を試して自分に合った方法を探すのもよさそうだ。
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iPhone 15 Pro Maxで冬の代表的な星座を撮ってみた作例。この画像は、オリジナルファイル(TIFF形式)をPixelmator Proを用いて加工したものだ。撮影データは以下の通り:Apple iPhone 15 Pro Max / 24mm(クロップ処理済み) / F1.78 / 3.4秒 / ISO 3200
流星群の“母”をたずねて 2030年の探査計画に注目
そもそも流星とは、宇宙空間にあるチリの粒(サイズは直径1mmから数cm程度)が地球の大気に突入し、高温になって気化するときに、大気や気化したチリの成分が光を放つ現象のことだ。地上からはあたかも“夜空の星が光の尾を引きながら流れる”ように見えるため、流星と呼ぶ。
こうしたチリの大気圏突入はいつでも起こりうるものの、人の目に触れるチャンスはかなり限られる。しかし、こうしたチリの粒を大量に放出している彗星の通り道(軌道)と地球の軌道が交差していて、地球がそこにさしかかると、チリの粒の集団がまとまって地球の大気に飛び込んでくる。流星群はこうして起こるのだ。
地上からは、星空の一点から特定の流星群に属している流星が放射状に飛び出すように見える。流星が飛び出す中心が放射点で、その放射点がある星座の名前をとって「○○座流星群」と呼称する。ちなみに、毎年特定の時期に特定の流星群が出現するのは、チリの粒の集団はそれを放出した彗星の軌道上に密集していて、その軌道を地球が横切る日時は毎年ほぼ決まっているためだという。
ふたご座流星群の場合、流星になるチリを残した母天体は、軌道の類似性から「フェートン」(3200 Phaethon)とされている。ファエトンとも呼ばれるこの天体は、1.43年の公転周期を持つ近地球⼩惑星のひとつだが、過去には彗星のようにチリを活発に放出したことがあると見られている。実際、近⽇点付近では増光し、短い尾も観測されているとのこと。
フェートンからふたご座流星群が形成されたメカニズムの研究が進められており、日本でも深宇宙探査技術実証機「DESTINY+」でフェートンに近づいてフライバイ探査を行う計画が予定されている。フライバイ探査は2030年度となる予定で、ほかにも2029年に地球静止軌道の内側を通過すると予想される小惑星Apophisをはじめ、複数の小天体のフライバイを検討している。
なお、DESTINY+は当初、小型ロケット「イプシロンS」で2025年度に打ち上げる予定だったが、第2段モータの地上燃焼試験失敗の影響を受けて計画を変更し、「H3」ロケットで2028年度に打ち上げることが決まっている。DESTINY+チームにとっては、地球周回軌道上で加速してらせん状に軌道高度を上げるフェーズが消失するなど、非常に大きな変更になってしまったが、5年後のフェートンへのフライバイ探査が成功することを願ってやまない。


