ソフトバンクは12月11日、企業のさまざまな業務を支援する法人向けAIエージェントプラットフォームサービス「AGENTIC STAR(エージェンティック・スター)」の提供を開始した。同日にはオンラインで説明会を開催した。

AGENTIC STARの概要

AGENTIC STARは、業務ゴールを理解して担当者と連携しながら、タスクを自律的に進めるAIエージェントをSaaS(Software as a Service)で提供し、構築・運用も可能にするプラットフォーム。

  • 「AGENTIC STAR」の概要

    「AGENTIC STAR」の概要

ソフトバンク 法人統括 AX事業本部 本部長の上原郁磨氏は「マルチエージェントを提供するサービスとなる。昨今、メールなど仕事のための仕事に60%以上の時間を費やしているとされる。これらを解決するものとしてAIが有効であるとされているが、生成AIでは一問一答型の指示待ちになり、御用聞きのようなものだった。一方、AIエージェントは人間が目的を伝えれば、どのように処理、収集、作成すべきかを自律的に計画を立てることから、主体性を持つAI。今回、提供する汎用型のAIエージェントは定型業務、非定形業務どちらにも価値を提供していく。これにより、コスト削減のみならず、顧客体験の向上や売上拡大にも活用できるようにする」と話す。

  • ソフトバンク 法人統括 AX事業本部 本部長の上原郁磨氏

    ソフトバンク 法人統括 AX事業本部 本部長の上原郁磨氏

部門や既存システムを横断した形でAIエージェントを統合的に管理することができ、高度な思考が求められる戦略立案や資料作成などの時間を削減して、人とAIが成果を生み出す新しい業務スタイルの実現を後押しするという。

また、AIが既存システムと安全に連携するための公開仕様の1つであるMCP(Model Context Protocol)に対応。これにより、社内システムや複数のAIエージェントとの統合が容易になり、業務プロセスの自動化や高度化を加速し、変化の激しいビジネス環境における持続的な競争優位の確立をサポートするとのこと。

タスクを自律的に遂行するAIエージェントを、あらかじめ構築された形でSaaSとして利用でき、AIエージェントはユーザーの指示や指示の背景にある意図を解釈し、達成すべき業務ゴールを自動で設定して、必要なタスクを自律的に進める。

パスワード入力や最終確認など人の対応が必要な場面では、担当者に確認や入力を依頼しながら処理を進めることもできる。例えば、検索エンジンなどを用いてインターネット上の業界動向を収集・要約・分析し、その結果をプレゼン資料や提案シナリオにまとめるなど一連の業務を支援。検索キーワードで情報を探索し、その結果を整理して構造化することで、担当者の作業負荷を軽減するという。

AGENTIC STARの特徴

主な特徴として「専用仮想環境と多層防御による高度なセキュリティ」「シームレスなMCP連携」「80種類以上のツール」「長期記憶による知見の蓄積と活用」の4つを挙げている。専用仮想環境と長期記憶は特許申請中だ。

仮想環境設計とセキュリティについては、チャット単位ごとに独立した仮想環境上でAIエージェントが動作することで、AIエージェントの処理が他のシステムやデータに影響を与えたり、本来アクセス権限のないシステムや外部サービスにアクセスしたりすることを防ぎ、安全な実行環境を確保するとしている。

また、企業利用を想定した多層防御と監視・制御(ガードレール:不適切な利用を防ぐ仕組み)により、安全で透明性の高い運用が可能。管理者がアクセス権限に応じた制御やログ管理を行うことで、安心して業務に導入できるという。

  • 特許出願中の専用仮想環境

    特許出願中の専用仮想環境

シームレスなMCP連携は、社内の業務システムとの双方向データ連携を可能とし、認証やデータ取得、イベントトリガーなどの処理を簡素化し、迅速なシステム統合を支援する。

  • MCP連携の概要

    MCP連携の概要

80種類以上のツールでは、人と同じように多岐にわたるタスクを実行できるように、AIエージェントが使えるツールを用意。これにより、Web検索、文書、表計算、プレゼン資料、画像・動画、アプリケーション開発など、多様な成果物を単一のプラットフォームからシームレスに生成を可能としている。

長期記憶に関しては、過去のやりとりや社内資料などを企業ごとの長期記憶として蓄積し、AIエージェントが参照できる。使えば使うほど、部門や担当者の傾向をふまえた提案やアクションが可能になり、日々の業務から生まれるノウハウを整理・共有することで、継続的な業務改善と社内の知見の蓄積を可能としている。

  • 長期記憶の概要

    長期記憶の概要

AGENTIC STARの提供モデルと今後の展開

モデルはSaaSモデル、カスタマイズモデル、外部接続モデル、開発基盤提供モデルとなり、用途やシステム環境に応じて選べる複数のサービス提供モデルを用意し、外部接続モデルと開発基盤提供モデルの提供は2026年3月に開始を予定。

  • 提供モデルの一覧

    提供モデルの一覧

SaaSモデルはブラウザから利用でき、Web画面からの操作やコマンドを入力して操作するCLI(Command Line Interface)、AIエージェント機能、セキュリティ機能、管理機能を有する。

  • SaaSモデルの仕組み

    SaaSモデルの仕組み

カスタマイズモデルは顧客の社内システムなど、インフラ上にAIエージェント機能や管理機能などを構築して利用するほか、外部接続モデルは既存の業務システムやアプリケーションにAPI/MCP連携でAIエージェント機能を組み込める。

開発基盤提供モデルは、クラウドサービスを大規模に提供する事業者が手がけるクラウド上のアプリ提供サイトから、AIエージェントの実行環境やSDK(Software Development Kit)を提供する。

  • 開発基盤提供モデルの仕組み

    開発基盤提供モデルの仕組み

最後に上野氏は「当社のプラットフォーム構想として、マルチAI戦略に取り組んでいる。多様なLLM(大規模言語モデル)やエージェントの企業と連携して、サービスを提供することを目指しAGENTIC STARを名付けた。さまざまな企業のサービスと組み合わせて提供し、現在も準備を進めている」と述べていた。

AGENTIC STARは業種・業界を問わず、国内外の中小企業から大企業までをターゲットとし、SIerへの提供も想定。価格は公表していないが、中小企業が活用できる価格帯としており、初期費用なしで利用できる。