NVIDIAとSynopsys(シノプシス)は12月1日、戦略的パートナーシップを拡大すると発表した。現在、半導体業界から航空宇宙、自動車、産業分野に至るまで、R&Dチームはワークフローの複雑化、開発コストの増大、市場投入までの時間短縮という課題に直面している。今回のパートナーシップでNVIDIAのAIとアクセラレーテッドコンピューティングの強みと、Synopsysのエンジニアリングソリューションを統合し、R&Dチームが高精度かつ高速、低コストでインテリジェント製品の設計・シミュレーション・検証ができる能力を提供する。さらに、NVIDIAはSynopsysの普通株式を1株あたり414.79ドルで購入し、総額20億ドル(12月2日時点の日本円換算で約3118億円)を投資した。

パートナーシップの概要

複数年にわたるパートナーシップでは、NVIDIA CUDA-XライブラリとAI-Physics技術を活用し、Synopsysはチップ設計、物理検証、分子シミュレーション、電磁解析、光学シミュレーションなど、計算負荷の高い幅広いアプリケーションをさらに高速化・最適化する。

また、両社はSynopsysの半導体設計プロセスを自動化するためのAI技術「Synopsys AgentEngineer」と、NVIDIAのエージェント型AI技術スタック(NVIDIA NIMマイクロサービス、NVIDIA NeMo Agent Toolkitソフトウェア、NVIDIA Nemotronモデルを含む)を統合し、EDA(半導体設計ソフト)やシミュレーション・解析ワークフローにおける自律設計機能を実現するという。

さらに、半導体、ロボティクス、航空宇宙、自動車、エネルギー、産業、ヘルスケアなどの分野で、高精度かつ高度なデジタルツインを活用した次世代の仮想設計、テスト、検証を可能にするため、両社は協力。これらのソリューションは3Dデザインツールやアセットを統合し、仮想空間でのコラボレーションやシミュレーションを可能にするプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」、物理AI開発のプラットフォーム「NVIDIA Cosmos」などの技術を利用。

加えて、GPUアクセラレーテッドエンジニアリングソリューションへのクラウドアクセスを可能にし、あらゆる規模のエンジニアリングチームが利用できるようにする。

そのほか、市場採用を促進するため、両社はオンプレミスおよびクラウド対応ソリューションを幅広くエンジニアリングチームに届けるための共同市場展開イニシアチブを策定。これらの取り組みは、Synopsysの数千人規模の直販・チャネルパートナーのグローバルネットワークを活用し、同社の広範な顧客基盤とシミュレーションソリューションに組み込まれた、Omniverseのライセンス・販売・サポートに関する既存の契約を基盤としている。

両社のコメント

NVIDIA創業者兼CEOのJensen Huang(ジェンスン・フアン)氏は「CUDA GPUアクセラレーテッドコンピューティングは設計を革命的に変えている。原子からトランジスタ、チップからシステム全体に至るまで、前例のない速度とスケールでシミュレーションを可能にし、コンピュータ内に完全機能のデジタルツインを構築する。Synopsysとのパートナーシップは、NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングとAIの力を活用し、エンジニアリングと設計を再構築する。これにより、エンジニアは未来を形作る革新的な製品を創造できる」とコメント。

一報、Synopsys社長兼CEO Sassine Ghazi氏は「次世代のインテリジェントシステム開発における複雑性とコストは、電子工学と物理学をより深く統合し、AI機能とコンピューティングによって加速されたエンジニアリングソリューションを必要とする。AIを活用した包括的なシステム設計ソリューションを提供できる企業は、SynopsysとNVIDIA以外にない。両社は協力してエンジニアリングを再構築し、世界中のイノベーターがより効率的に革新を実現できるようにする」と述べている。