SCSKは10月23日、同社が提供するデジタルオファリングサービス「PROACTIVE」の詳細や事例を中心に紹介する「SCSKビジネスサミット2025」を開催。「経営と業務を変えるAI×データ活用」をテーマに掲げたイベントの開幕に際して行われた基調講演では、来るAI時代で重要となる“データのクオリティ”や、今後の企業価値を左右する“非財務指標”について触れながら、PROACTIVEが発揮する価値をアピールした。
“半歩先の未来”を見据えたPROACTIVEの価値
今回開催されたビジネスサミットの主題は、業界を問わず喫緊の課題となっている人手不足への対応と、新しいルールに“即応”した経営。SCSKは、同社として長年にわたり提供するERPシステムを中核に、さまざまな知財や業務ノウハウ、多様なAIなどを組み合わせて価値を届けるデジタルオファリングサービスのPROACTIVEの活用によって、「半歩先の着実な未来を叶える」ことを目指すとする。
基調講演に登壇したSCSK 執行役員 PROACTIVE事業本部の菊地真之本部長は、企業にとって不可欠な各部門が抱えるそれぞれの課題に対して、PROACTIVEが提供する価値、そして実現する未来を提言した。
菊地氏によれば、SCSKが見据える“半歩先の未来”は「決して大げさな未来予測ではない」とのこと。そして、「すぐそばにある次の選択肢として、例えば業務の効率化を超えて、経営判断を支える。あるいは、新しいビジネスモデルを実現する。そんな一歩を可能にするのがPROACTIVEです」と語る。
では、このソリューションはどういった課題を解決できるのか。経営企画部門に対して提供できる価値として挙げられたのは、事業状況のリアルタイム把握。全社として導入することで、経営指標に基づいたデータを常に認識し、経営サイクルの加速にもつながるとする。また経理部門においては、手作業での膨大なタスクを一気に自動化し、業務効率化を後押し。人事部門では、従業員データの可視化による“先手の対応”で採用・育成の効率化や離職率の低減に貢献し、生産管理部門でも、データドリブンな形で最新の市場変化に対応することが可能になるとする。そして昨今特に重要性が高まるセキュリティ面を担う情報システム部門に対しても、柔軟かつ堅牢なシステムの提供によって現場の負担を軽減するとした。
また菊地氏は、ERPによるデータ管理の効果をさらに向上させるために重要な鍵としてやはり「AI」を挙げる。労働力が不足する中で、リソースを割くべきなのは“人にしかできない業務”。そうした領域に力を割くことができるよう、「数字の読み取りや膨大な分析は、PROACTIVEに任せてください」と話す。
経営企画において求められる重要かつ大量の予測に対しては、膨大なデータを学習したAIが、それらの整理だけでなく示唆出しまでも実行可能に。経理業務では、AIが最新の法改正や制度変更にも自ら対応し、データの集計が大きく効率化される。人事部門や生産管理部門に対しても、業務フローや作業自動化の支援を行うとしており、情報システム領域では“既存IT資産との連携”を大きな価値とした上で、「ソフトウェアに基づいた安全なデータ管理、そして高いセキュリティをお約束します」とした。
存在感を増すAIエージェント - 価値を最大化するには?
そしてAI活用における現在のトレンドは、膨大なデータの整理だけでなく、それらを基に意見やアドバイスまで創出し利用者を手助けする“AIエージェント”にまで移っている。業界ジャンルや業務領域を問わず台頭しているAIエージェントの利用が広がっており、PROACTIVEの中でもエージェントとして役立つAI機能が存在する。
では、そうしたAIエージェントが創出する価値を最大化するためには、何が必要なのか。菊地氏に続いて登壇したSCSK PROACTIVE事業本部の志村尊副本部長は、「学習データのクオリティ」の重要性を強く語った。
「最近のLLM(大規模言語モデル)は、インターネット上に存在する文章を大量に学習することで、入力に対してそれっぽい答えを返せるようにはなってきています。でも、“本当に価値のあるアウトプット”はそこにどれだけあるでしょうか。」
こう提言する志村氏は続けて、「どれだけデータ量が多くても、そのクオリティが低ければ、学習したAIはほとんど意味がないものになってしまいます」とする。言い換えれば、AIに学習させるデータのクオリティ次第で、その性能はいかようにも向上させられるということ。時間の削減と信頼性の向上が求められるAIの効果を最大化するためには、公的機関などが提供するクリーンなデータを連携させることが不可欠だと強調した。
こうした背景からSCSKは、日本取引所グループ(JPX)との間で正式に連携しており、そのデータとPROACTIVE内に保有する各企業のデータを組み合わせることで、より深い経済分析を可能にしているとのこと。さらに、気象庁発表の天候データや経済産業省による需給トレンド情報など高い信頼性を有するデータとの連携が可能になれば、現場で得られる情報との融合によって、企業の生産性向上を下支えするという“本当の価値”を提供できるとしている。
なおSCSKは、現在最新版の会計システムを利用する顧客を対象として、2026年1月よりPROACTIVEのAI機能を無料で提供することも発表。利用中のPROACTIVE内におけるAIの活用を通じて、クリーンデータを用いたAIの価値を体感できるとした。
非財務指標の価値を体現するSCSK
また基調講演の中で菊地氏は、現代の企業経営において重要性が急速に高まる「非財務指標」についても取り上げた。世界が日々移り変わり、市場や投資家からの要請が時々刻々と変動し続ける中で、特に近年になって重視されるようになった、非財務指標。社員の健康経営や環境保全への貢献は、サステナビリティに対する要求が高まる中で企業価値評価を大きく左右する材料とされている。
特に社員の健康管理については、SCSK自身もこれまで10年以上にわたり、経済産業省が発表する「健康経営銘柄」に選出されてきたとのこと。それと並行して同社は12期続けて増収増益となっており「従業員の健康が企業の持続的な成長に直結する」というメッセージを先頭に立って示している。
そんなSCSKでは、健康経営に関するノウハウを集約して社会に還元するため、2025年5月に健康経営支援サービス「Uwell」の提供を開始。社内で実施してきた健康サーベイを行い、人事データなどとの連携によって労働時間の超過を抑制するなど、“何となく”で終わらせない健康経営への取り組みを、社内外問わず行っているとする。
また環境配慮への取り組みとしても、CO2排出量算定サービスの「CO×COカルテ(ココカルテ)」を2025年7月に発表。会計データのみからCO2排出量を算定することで、業務量は圧迫せずにサステナビリティへの取り組みを進められるサービスを提供しているとした。
基調講演にゲストとして登壇した経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業化の河裾淳子課長補佐も、「従業員の健康保持や増進に向けた取り組みが、将来的な収益性や企業価値向上への投資である、という考えに基づいて、健康管理を戦略的に実施していく方向性を示している」とし、年代や業界、地域を問わずさまざまな取り組みを進めていく姿勢を示した。そして「従業員の健康が、最終的には日本国民全体の健康寿命延伸にもつながり、そして社会課題の解決にも資するものになる」とその価値を強調。人口減少が進む中で重要となる“働きやすさ”が、企業だけでなく国家全体にも好影響を与えると話した。
“待ったなし”の課題に取り組むべきは今
基調講演の締めくくりとして、菊地氏は「健康経営、環境問題、脱炭素、そしてAI時代のDX戦略は、いずれも企業にとって待ったなしのテーマであり、未来の企業価値を大きく左右するものとなります」とコメント。財務・非財務領域のさまざまなデータを集積し、それぞれを結び付け、そして深くまで活用する必要があるとする。
そしてそのプロセスを担うIT基盤として、PROACTIVEの価値を提言する菊地氏。同サービスを企業経営のプラットフォームとして活用することで、「一人ひとりが自社における企業経営の半歩先を描き、着実な未来を歩んでいく手助けを、テクノロジーの進化を続けながら行っていきたい」と語った。




