東京応化工業が、半導体フォトレジストで培ったプロセス技術を活かし、ヘルスケア新製品の事業化を進めている。
特殊な樹脂と加工法を使った創薬向けのスクリーニングチップと、それをつかう還流培養システムでは、既存方式との差別化を図っているのが特徴だ。また、特定の細胞を一個ずつ捕捉して遺伝子解析などを行える研究ツールは、フォトリソグラフィ技術による微細加工技術を活かしている。
将来性に期待寄せる、創薬スクリーニング向けチップ「Fluid3D-X」
最先端EUV(極紫外線)フォトレジストでトップシェアを競う東京応化工業は、シリコンサイクルの波を埋め、安定成長を図るためヘルスケア分野に触手を伸ばしてきた。
そのひとつが、創薬スクリーニング向けチップ「Fluid3D-X」と、それを組み込んだ還流培養システムだ。これは生体模倣システム(MPS)の一種であり、創薬工程で一般的に行われる動物実験を代替可能。また、より高精度な薬物動態評価が得られる可能性がある。
同チップの素材はプラスチック。溶液の注入と吸引用に4個の孔を設けたリザーバーの下に、細胞を播種した層や流路を形成した層を挟み込んだ5層のチップ構成だ。一般的な静止培養方式と、ポンプで培養液を回す還流式とでは、「細胞によってでき方がちがう」(新製品拡販部)。
莫大な投資を行う製薬メーカーにとって価値があるのは、新薬の効果がより明確に現れる細胞である。こういった細胞が還流式で多く生まれれば事業拡大にはずみがつく。「まだ作動が確認できた段階」とはいえ、将来性に期待は大きい。システムごとインキュベーター(培養装置)内に組み入れて稼働させるため、サイズや処理能力の向上が今後の課題だ。
細胞サイズのナノウェル構造をもつ分析ツール「SIEVEWELL」
一方、ガンなどの細胞を1個ずつ捕捉するデバイスである「SIEVEWELL」は、半導体と同じくフォトリソグラフィ技術を使って作る。6角形のウェル(凹み)をスライドガラスサイズの樹脂基板に形成しており、ウェルのサイズは格納する細胞に合わせて20マイクロメートルとい50マイクロメートルの2種類ある。ウェル数は20マイクロメートルで37万個、50マイクロメートルでは9万個だ。
ウェルに細胞を含む溶液を垂らせば、底面の貫通孔と下層の流路構造によってサイドポートから溶液だけが流れ、細胞はウェルに格納される仕組み。細胞の捕捉精度を上げるには適切な細胞数量が必要だが、特定の細胞だけを取り出したり色をつけて区別することもできるという。すでに大学や研究機関で分析に使われている。

