日本ガイシが代表事業者を務める、光量子コンピューターの実現に向けた研究開発プロジェクトが、NEDOの開発事業に採択された。日本ガイシでは、2027年度までの3カ年計画で複数の企業・研究機関と連携して取り組むことにしており、同社は集積回路に欠かせない複合ウエハー「TFLNウエハー」の開発を担当する。
生成AIの進展により、世界中のデータセンターの消費電力が増加し、環境負荷やエネルギーコストの上昇が社会問題化。その解決策として、高速な計算処理能力を室温で実現し、大がかりな冷却装置を不要とする、光方式の量子コンピューターが注目されている。同プロジェクトでは、これまで原理実証段階にとどまっていた光量子コンピューターの実用化に向け、光集積回路の開発や、国産メーカーによる世界標準化を進めてサプライチェーンを構築することをめざしている。
日本ガイシは、「SAWフィルター用複合ウエハー」の開発で培った直接接合技術を活かし、接着剤を使わずに室温で異なる材料を高精度で貼り合わせることで、TFLN(Thin Film Lithium Niobate:薄膜ニオブ酸リチウム)の材料特性を確保した高い信頼性を追求。さらに、機能層をナノメートル単位で均一に薄膜化できる超精密研磨技術で、ウエハーの薄型化も図る。
こうした技術を活かして、8インチ(約20cm)サイズのTFLNウエハーを開発し、量産時のコスト削減や、競争力強化にもつなげる。なおTFLNとは、ニオブ酸リチウム結晶を数百ナノメートルまで薄く加工した複合ウエハーのことで、主にデータセンター内の光集積回路に使われるものだという。
従来の量子コンピューターは超低温で動作し、巨大な冷却装置と膨大なエネルギーコストが伴うことが課題だった。一方で、光方式の量子コンピューターは、室温で動作できるため冷却装置が不要となり、設置スペースの大幅削減や省エネルギー化につながる。既存の光ファイバーとの親和性も高く、社会実装に向けた有力な次世代技術とされる。
今回の取り組みは、日本ガイシが代表事業者を務める「光量子コンピュータ産業化に向けたTFLN光技術の研究開発」が、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(量子産業化)」に採択されたことを受けたもの。以下の体制で同プロジェクトを進める。
- 日本ガイシ(代表事業者)
- 山寿セラミックス
- オキサイド
- 浜松ホトニクス
- 産業技術総合研究所(共同研究)
