10月28日から31日までの4日間、“宇宙産業の集積地”である東京・日本橋エリアを舞台に、グローバル規模の産官学にまたがる宇宙ビジネスのキーパーソンたちが一堂に会するアジア最大級のイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」が開催されている。
今年で5回目の開催となる同イベントには、国内外から100以上の企業・団体が参画。約60の宇宙ビジネス団体が出展する「EXHIBITION」に加え、4日間合計で30以上もの宇宙関連イベントが行われ、最新の宇宙ビジネス動向に触れる機会を創出するとともに、さまざまな共創の種となりうる交流のきっかけとなる場だ。
宇宙業界の恒例行事となっているこのNIHONBASHI SPACE WEEKの開幕に先立ち行われたオープニングイベントでは、イベントを主催する“宇宙ビジネス共創プラットフォーム”クロスユーの中須賀真一代表理事(東京大学大学院 工学系研究科 教授)や共催社である三井不動産の山下和則常務執行役員 イノベーション推進本部長らが登壇し、イベントへの期待や注目コンテンツについて語った。
急拡大する宇宙ビジネス - その最前線が集う日本橋
宇宙ビジネスのすそ野は、世界規模で急速に広がり続けている。元々宇宙開発は世界各国の宇宙機関がメインプレイヤーであり、ある時は国家間の協力によるプロジェクトが開始され、またある時は威信をかけた開発競争が繰り広げられるなど、“国”レベルの動きが業界を左右していた。
しかし近年では、2024年における世界のロケット打ち上げ割合のうち約半数を占めるとも言われる米・スペースXに代表される“民間宇宙ベンチャー”が台頭。民間企業による激しい宇宙開発競争が繰り広げられ、国がそれを支援したり、あるいは顧客となってサービスを購入したりと、官民の連携による新たな宇宙ビジネスの姿が形成され、そして拡大している。
そんな中、国内の宇宙関連産業領域に対し、“場”の提供と“機会”の創出によってその活性化を目指す団体として、三井不動産と宇宙関連分野の有志によって2023年に立ち上げられたのが、“宇宙ビジネス共創プラットフォーム”のクロスユーだ。官民地域が一体となった「日本橋再生計画」を推進する三井不動産が2019年より注力する「宇宙産業創造」への取り組みを発端として、日本橋を舞台とした宇宙ビジネスの発展を目指す同団体は、宇宙ビジネス拠点「X-NIHONBASHI」に代表される場の提供と、コミュニティ構築を後押しする大小さまざまなイベント・ビジネスマッチングの開催を行い、宇宙エコシステムの構築を推進。2025年10月現在では335会員を集めており、そのうち約70%を非宇宙企業が占めるなど、産官学を問わずさまざまなプレイヤーが集結している。
2024年には311件もの宇宙関連イベントを開催したというクロスユー。そんな同団体が主催する毎年恒例の大イベントが、「NIHONBASHI SPACE WEEK」だ。三井不動産などが主催していた過去の開催を含めると、今回で5回目となる同イベントには、国内外100以上の企業・団体が参加。60以上の団体が出展するEXHIBITIONや、最新の宇宙動向や展望について議論が飛び交うCONFERENCE STAGE、海外宇宙関連団体や大使館などによるGLOBAL STAGEなどが行われる予定となっている。
ESA初の日本拠点設置などさまざまな発表も
さらに今年のNIHONBASHI SPACE WEEKでは、将来宇宙輸送システムやSpace BDなどの国内宇意中スタートアップが、同イベントに併せてさまざまなニュースを発表している。またイベントを主催するクロスユー自身もさまざまな発表を行った。
初めに、欧州宇宙機関(ESA)がアジア初となる活動拠点を日本橋の宇宙ビジネス拠点であるX-NIHONBASHI TOWERに開設したことが明かされた。1975年の創立から50周年を迎えたESAには欧州23カ国が加盟し、ヨーロッパの宇宙開発を牽引するとともに、国際的にも産業界・研究機関との連携を深めている。そんな同機関とクロスユーは、2024年11月に宇宙分野の協力促進を目的とする提携に関してパートナーシップを締結。以来、両地域でのビジネスマッチングなどを推進してきたという。
そして今般両者は、さらなる連携の強化に加え、宇宙航空研究開発機構(JAXA)および急成長中の日本の宇宙エコシステムとの協力深化を見据え、日本橋へのESA新拠点設立を決定。ここにはESAの代表者が常駐し、クロスユーとの共創プログラムを推進するほか、日欧の政府機関や商業宇宙セクターのステークホルダー間における調整促進など、両地域の“橋渡し”となる業務を担うとしている。
米・フロリダや欧州の宇宙機関との連携も強化
続いてクロスユーは、米・フロリダ州および同州の宇宙産業振興機関であるSpace Floridaとの協力体制を強化する共同声明を発出したことを発表。併せて、欧州の科学技術応用研究機関のFraunhofer-Gesellschaft(フラウンホーファー研究機構)との宇宙分野における協力促進を目的としたパートナーシップ(MOU)を締結したことも発表された。
Space Floridaは、フロリダ州における航空宇宙産業振興の中核機関として、宇宙港インフラへの投資や研究開発・人材育成、さらには資金提供を含む多角的な支援を展開している。同機関とクロスユーは2025年4月にMOUを締結済みで、宇宙産業連携を深める基盤を築いてきたとのこと。そして今般の協力拡大により、「スペースポート協力」「産業連携」「投資・資金調達」「研究・教育交流」の4点における連携の推進に合意したとしている。
一方のFraunhoferとのMOUについては、同機構内の研究所であるとともに、航空宇宙分野に特化した応用研究ネットワークであるFraunhofer AVIATION&SPACEのホスト機関であるFraunhofer Institute for Technological Trend Analysisとの連携を目的に締結されたものだといい、両者の連携を通じて日欧の宇宙産業プレイヤー間の協力をさらに推進し、新たなイノベーション創出や国際的な産業エコシステム形成を加速させるとした。
宇宙産業を定点観測する日本橋の4日間
日本橋の複数会場をフル活用した今年のNIHONBASHI SPACE WEEKでは、初日から数々のセッションを通じて宇宙ビジネスに関する意見やアイデアが飛び交った。過去の同イベント期間には、“グルメ”や“宇宙のおしごと”、さらには謎解きやメタバースを活用した体験展示など、日本橋を訪れる老若男女に幅広くアプローチする企画が展開されていたのに対し、今年は4日間を通じて“宇宙ビジネス”一色。先述したように各企業がさまざまな発表を設けており、人工衛星を活用した地球規模での環境課題解決への取り組みや、産業の観点から見た「宇宙×エンターテインメント」の可能性など、より具体的な未来を探る議論が繰り広げられている。
クロスユーの中須賀代表理事は、「このイベントが始まった当初は、まだ未熟だった宇宙産業への関心を持ってもらい、すそ野を広げていくために、偶然通りかかった人々にも目を向けてもらうための企画が必要でした」と振り返りつつ、「もちろん今でもさまざまな人に関心を持ってもらうことは大切ですが、この数年で業界が急拡大を続け、“宇宙ビジネス”というテーマだけでこれだけ大規模なイベントが開けて、多くの来場者が集まるようになった。宇宙産業が成長し続けている証だと思います」と話す。
未知の領域だった宇宙が、開発の対象となり、そして今やビジネス領域としてさまざまなプレイヤーを集めている。もはや領域を問わず、誰もが宇宙に関心を持ち、そして活用するための“手札”としていくフェーズとなりつつある現代。日本橋を舞台にした4日間で、未来の社会や地球を変える数多のきっかけが生まれていることだろう。





