Celonisの共同創業者兼共同CEOのバスティアン・ノミナヘル氏が来日し、プロセスインテリジェンスに関する最新動向と、同社の取り組みについて説明した。同氏は、すでに99%の企業がAIを利用していること、開発者の生産性向上やカスタマーサービスなどにおいて生成AIを活用しているケースが81%に達していること、ビジネスユーザーの61%が、生成AIによるチャットボットやアシスタントを導入していることを示しながら「AIの時代がすでに到来しており、さまざまな企業でAIが活用されている。だが、本当の意味でAIを生かし切れていない。現在のユースケースは、チャットボットなどに限定されており、その成果は氷山の一角でしかない」と指摘している。

  • Celonis 共同創業者兼共同CEOのバスティアン・ノミナヘル氏

    Celonis 共同創業者兼共同CEOのバスティアン・ノミナヘル氏

AI投資による成果を最大限に引き出せていない

ノミナヘル氏は「品質管理や企業間連携などでの活用が進み、ビジネスモデルにまで影響を及ぼさないと、AIの価値が享受できない。AIがもたらす最大の価値はビジネスプロセスの改善と自動化によってもたらされる。これが氷山の水面下の部分になる。そのためには、データのコンテクスト(文脈)が重要になり、ここにAIがアクセスできる状態になっていることが大切である。Celonisの強みが発揮できる部分である」と胸を張る。

同社では、多くの企業がAIを活用したソリューションの導入を急いでいるものの、実際の業務がどのように行われているかをエンドトゥエンドで正確に理解できていなかったり、AIがコンテクストを理解しないまま、データにアクセスしたりする結果、AI投資による成果を最大限に引き出せていないことを指摘する。

Celonis日本法人 代表取締役社長の村瀬将思氏は「エンタープライズAIの成功に不可欠なのはコンテクストである。Celonisは、業務システムのデータからプロセスを可視化し、ビジネスコンテクストをもとに、AIを進化させ、価値をもたらすことができる。そのためには、1つのシステムで完結するものはなく、さまざまなシステムからデータを収集する必要がある。Celonisはシステムに依存することなく、データをもってくることができる。そこに最大の特徴がある。特に、日本ではレガシーシステムをはじめとして、様々なシステムが混在している。Celonisの特徴が発揮できる市場である」と述べた。

  • Celonis日本法人 代表取締役社長の村瀬将思氏

    Celonis日本法人 代表取締役社長の村瀬将思氏

Celonisは、25カ国に拠点を置き、90カ国以上でサービスを提供。1300社以上の顧客が利用し、プロセスマイニング市場においては、80%以上のシェア、ガートナーのマジッククアドラントでは、リーダーのポジションにある。また、フォーチュンによる将来性がある企業ランキングでは3位に入っている。

ノミナヘル氏は「Celonisは、プロセスマイニングのイメージが強い。だが、Celonisが持つデータはAIの重要な入力要素になる。NVIDIAのGPUは、PCゲームをプレイするために開発したのが始まりだが、いまではLLM(大規模言語モデル)の学習に使用するためのインフラとして欠かせないものとなっている。一方、Celonisの場合は、プロセスマイニングの企業としてスタートしたが、AIを企業に最適化するためには、エンド・トゥ・エンドでビジネスを理解するデータが必要であり、それがAIの活用においては欠かせないものとなっている。いまでは、プロセスインテリジェンスと、AIのためのブラットフォームを提供する企業になっている」と位置付けた。

Celonisの基本戦略「No AI without PI」

Celonisでは、基本戦略として「No AI without PI(プロセスインテリジェンスなくして、AIはない)」を掲げている。ビジネスを理解。向上させるためには、必要な文脈をAIに提供する必要がある。「PIレイヤーを持っていることで、企業のAI活用に対して、大きな価値を提供できる」とも同氏は語る。

Celonisでは、AIにおいて、2つのアプローチがある。1つはサプライチェーン管理や注文処理、売掛金/買掛金、カスタマーサービスなどで利用し、AIで高付加価値を達成するものであり、日本でも富士通やNECがこのアプローチにおいて成果をあげている。

もう1つは、企業全体にAIを導入するというもの。Celonisによって、ビジネスやプロセスのコンテクストを提供し、企業全体のアーキテクチャにAIを統合し、課題解決を図ることができるという。

新たな業務が発生した場合にも、プロセスインテリジェンスとAIが判断して、これまでの経験をもとに業務を処理することができるようになるという活用方法も提示した。ここでは、マイクロソフトやSAP、Salesforceなどとの連携で、AIを企業全体に波及させることができるとした。

  • Celonisにおける2つのアプローチ

    Celonisにおける2つのアプローチ

そのうえで、ノミナヘル氏はCelonisが提供するフレームワークを通じて、エージェントを活用。プロセスの最適化に取り組むことができることを示した。同社では、調達を自動化するための「検知」、LLMを活用しながらコンテクストを把握し、AIが自律的に実行する「推論」、オーケストレーションエンジンで自動化、エージェントを横断して連携する「計画」、エージェントが判断して、自動的に実行する「アクション」、エージェントの行動結果をPI Graphに再統合する「学習」という5つのステップで構成することになるという。同氏は「このサイクルを継続することで、プロセスをさらに最適化できる」と述べている。

11月4には年次イベント「Celosphere 2025」開催

一方、11月4日から、ドイツで開催する同社の年次ユーザーコンファレンス「Celosphere 2025」の概要についても説明した。オンラインを含めて、顧客やパートナーなど、1万人の参加を予定している。

  • 11月4日からドイツで「Celosphere 2025」を開催する

    11月4日からドイツで「Celosphere 2025」を開催する

同氏は「Celosphere 2025では、プロセスインテリジェンスを現実のものとして体験できるだけでなく、次世代プロセスインテリジェンスについても発表する。また、Celonisが提供するプラットフォームを発展させることになる。オープンで、スケーラブルで、システムに依存しないものとなり、プロセスのデジタルツイン化によって、プロセスの課題を解決することができる」話す。

また、ノミナヘル氏は「Celonisは、マイニングからモデリング、オーケストレーションまでを含めた包括的なスイートを提供することができる。特に2023年11月に買収したSymbioとの統合により、プロセス全体をモデル化できる。また、オーケストレーションエンジンにより、エージェントにも対応し、新たなレベルのエンタープライズソフトウェアを実現することができる」と続けた。

Celosphere 2025の基調講演では、エネルギー業界におけるAIの活用事例として、Uniperによる取り組みが紹介される予定であり、設備保全や水力発電運用、人事採用など8つのシステムを接続して、27のプロセスを最適化したケースが示されるという。

  • 「Celosphere 2025」ではUhiperによる取り組みが紹介される

    「Celosphere 2025」ではUhiperによる取り組みが紹介される

さらに、Microsoft Copilot Studioなどの主要AIプラットフォーム上でエージェントを開発するためのインテリジェントレイヤーを提供していることも示されるという。ノヘミナル氏は「これは、AIの活用において、氷山の水面下について示した事例になる。Celosphere 2025で、より詳しい情報を提供できる」と語っていた。