TrendForceのメモリ市場調査よると、2024年のDRAMモジュール市場は2023年の前年比23%減から一転、同7%増の133億ドルとなったという。

背景には、2023年第4四半期末にコンシューマ市場における在庫を消化しきったことを踏まえたDRAMサプライヤのHBMおよびサーバー向けDDR5製品への軸足のシフトが、他のDRAM製品の供給逼迫を引き起こしたことに起因するDRAM価格の全体的な上昇が、DRAMモジュールメーカーをDRAM在庫補充と調達強化に向かわせたことがあるという。

しかし、2024年後半、モジュール価格の上昇によって需要の勢いが鈍化。モジュールメーカー各社は、高騰したDRAMチップの価格を流通チャネルに転嫁するのに苦労した結果、販売が伸び悩むこととなった。競争力維持のため、一部のメーカーは、より安価な(はんだボールを再生する)リボールしたサーバーDRAMチップの購入を増やすことでコスト構造の改善を目指すなどの取り組みを行ったが、おおむね2024年は全体を通して市場が回復し、ほとんどのモジュールメーカーが前年比で売り上げの増加を達成することとなったとする。

2024年のDRAMモジュールメーカーシェアを見ると、上位5社だけで売上高の81%を占め、上位8社で83%を占める結果となった。中でも米Kingston Technologyはシェア66%でトップを堅持した。しかし、2024年後半のコンシューマ市場の需要鈍化により、競合他社比で売り上げの伸びは鈍化したという。同社は現在、ハイエンドブランドのイメージ強化に注力し、収益の確保を重視する動きを見せている。

  • 2024年のDRAMモジュールメーカー売上高ランキング

    2024年のDRAMモジュールメーカー売上高ランキング (出所:TrendForce, 2025年9月)

上位8社のいずれもがプラス成長を達成

シェア2位は台湾のADATA Technology。2023年第2四半期から第3四半期の市場回復期に蓄えた安価な在庫を活用する形で2024年前半に積極的に出荷を増やすことで2024年全体で売り上げを前年比20%伸ばすことに成功した。

3位は中国深圳市に本拠を構えるKimtigoで、国内外のチャネルを拡大することで、売上高を同10%増としている。4位は台湾のTeam Groupで、ゲーム市場に注力する形で北米のeコマースおよび販売代理店チャネルでのプレゼンスを高めるとともに、エンタープライズサーバー向けDRAMプロジェクトを拡大したことで、売上高は同59%増と大きく伸ばすことに成功した。

5位は米Patriot Memoryで、コンシューマ、ゲーム、産業用制御セクターにわたる多様なポートフォリオで売り上げを伸ばし、同12%増の成長を達成した。6位は台湾のInnodiskで、産業分野で確固たる地位を築き、エッジAI製品の提供を積極的に拡大している。NVIDIAとの提携により、新たな市場への進出を果たしたことで収益を伸ばし、売り上げを同10%増と伸ばすことに成功した。

7位は台Apacer Technologyで、同社も産業市場に注力した。インドのパートナーに製造をアウトソーシングすることで業務の柔軟性を高めることで売り上げを同5%増とした。8位は台湾のAgile Gear International(AGI)で、Amazon Japanへの参入により急速に事業を拡大することに成功。上位8社の中で最も高い成長率となる同138%増を達成した。