振動子市場に参入でタイミング製品のポートフォリオを拡大
SiTimeは10月1日、都内で説明会を開催し、同社が9月17日付で発表したMEMS振動子「Titan Platform」の紹介を行った。
現在の同社は、堅調なデータセンター市場の投資にけん引され事業を拡大しており、同市場セグメントの成長率は前年同期比130%増を達成。全社の成長のけん引役となっているという。
同社マーケティング担当上級副社長を務めるPiyush Sevalia(ピユッシュ・セヴァリア)氏は「顧客にとって価値を提供できる分野に注力してきた」と、これまでの自社の取り組みを説明。「2019年にIPOを果たした当時のSAM(Serviceable Available Market)は10億ドル程度であった。しかし現在は、当時の発信機だけのビジネスから、クロックICや振動子などさまざまなタイミング製品を扱うようになり、エンドマーケットもIoT、コンシューマ、モバイル偏重からデータセンターや自動車などとバランスよく売り上げをあげられるようになったことで40億ドル規模(2027年の予測)まで拡大することができるようになった」と着実に成長を果たしてきたことを強調する。
そんな同社が振動子市場に参入した背景には、2027年末の市場予測として発振器が40億ドル、クロックICが30億ドル、そして振動子が40億ドルと規模が大きいものの、単独製品を有していなかったことが挙げられる。また、水晶振動子の場合、ロジックダイなどと1パッケージに集積することが難しいが、シリコンMEMSをベースとした振動子であれば、マルチチップパッケージ(MCP)や複数ダイを1パッケージに集積することが可能となるメリットを得られ、ユーザー側にも開発容易性や基板面積の削減などといったメリットをもたらすためだという。
「タイミング製品は高度な電子機器の処理を行うためになくてはならないものだが、電源が発生するノイズや物理的な振動などの厳しい環境でも、高い精度を維持することが求められてきた」(同)とのことで、シリコンMEMS技術を進化させることで、そうした顧客ニーズへの対応を強化してきた。現在、同社のシリコンMEMS技術は第6世代の「FujiMEMS」を基盤に、独自開発のシミュレーションツールによる開発期間の短縮の実現による競合他社と比べた先駆性の確保を実現したとするほか、アナログ回路についても現在、第7世代に到達しており、水晶OCXO比で消費電力、サイズ、性能、耐環境性において最大5倍の優位性、TCXOの周波数安定度で最大5倍の優位性を確保できるともする。また、独自開発のパッケージを活用することで耐環境性が最大50倍向上したとするほか、最適化されたテスト工程によりスループットが最大2倍向上、そして2025年7月ころに導入したIEEE1588時刻同期ソフトウェアにより、時刻同期精度が最大9倍向上できるようになったともする。
32MHz品はすでにサンプル供給を開始、それ以外の製品も順次提供を予定
TitanはMHz帯の基準クロックを提供するシリコンMEMS振動子ファミリで、現在、Bluetoothや32ビットマイコンなどでの活用を想定した32MHz品「SiT1100」のサンプルを提供中で、今後、38.4MHz品「SiT11102」、40MHz「SiT11104」、48MHz品「SiT11103」、76.8MHz品「SiT11101」の4製品のエンジニアリングサンプルを2025年12月15日より順次提供していく予定とする。「パッケージサイズはすべての製品で同じの0.45mm×0.45mmのチップスケールパッケージ(CSP)であり、用途に応じて周波数を選択してもらうことができる」(同)と、その利便性を説明する。
水晶振動子の場合、周波数に応じてサイズが決まってしまうため、32MHzでは1.2mm×1.0mmとなり、Titanほど小型化できない。そのため、同社ではプリント基板の振動子面積を1210サイズの水晶振動子と比べて最大1/7に削減できるとするほか、起動時間も最大3倍高速化、発振回路の消費電力を最大50%削減できるともする。
また、ダイとしても提供が可能なため、マイコンなどの樹脂パッケージの中に併せて集積することも可能で、これによりプリント基板上の振動子を不要にできるようになるほか、マイコンから出ている2本のGPIOを別の用途に振り分けることも可能になるとする。
主なターゲット製品は、小型かつバッテリー駆動で無線通信機能が搭載されているもの。ウェアラブル機器や携帯型の医療機器、スマートホーム、産業用IoTなどが想定されており、同社ではどういった搭載ニーズに対しても対応することができると説明する。「これまでに35億個の発振器を提供してきた実績があり、パッケージングに対する知見も蓄積してきた。こうした知見を半導体デバイスメーカーにMEMSの活用という観点から伝えることもできる。例えば、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)では、将来的なトレンドとして、振動子を含む部品の小型化が求められるようになっている一方、AIや機械学習(ML)といった最新の機能を搭載することも併せて求められるようになっている。振動子を小型化し、SoCのダイ/パッケージとSiPとして統合できるため、プリント基板サイズの小型化を図りつつ、多機能化を図ることができるようになり、市場のニーズに合致したシステムを構築することができるようになる」と、その活用の仕方次第でイノベーションを生み出すことも可能になるという。
なお、Titanは1210もしくは1612水晶振動子を使用する顧客の基板上でMEMS振動子の初期評価を行うことを可能とするインターポーザーである評価ボード「SiT6400EB」もサンプルを提供中だという。








