【経済産業省】『JAPANブランド』確立へ 国産皮革産業の支援を強化

経済産業省は2025年度、欧州ブランド製品の人気に押されている国内の皮革産業を維持するため、日本製の靴やカバン、ゼラチンなどの市場拡大に向けた支援を強化する。国内事業者に対し、専門家との新製品の共同開発や国際見本市への出展にかかる費用を支援。貿易の自由化などにより、国内出荷額が大幅に減少する中、国産品のブランド力の向上を図る。

 ウルグアイ・ラウンド(多角的貿易交渉)が合意された1990年代以降、国産皮革製品の市場は縮小し続けており、2022年度の国内出荷額はピーク時の5分の1程度にとどまる約3800億円だった。輸入品が売り上げを伸ばす中、32年度には環太平洋連携協定(TPP)加盟国間の関税撤廃が予定されており、国内の事業者は厳しい状況に置かれている。

 経産省のある中堅は、国産皮革製品について、「市場では各国の製品と比べて安価でもなく、質が良いわけでもないと評価されてしまっている」と指摘。一方、食肉製造の副産物である動物の皮の有効活用に寄与している産業であると強調し、「何とか、この分野で『JAPANブランド』を新たに確立させる必要がある」と危機感を募らす。

 そこで、経産省は25年度、皮革産業の目指すべき方向性として、国産ブランド力向上や他業種との連携などを定めたロードマップを策定。これに基づき、国際競争力の高い製品の開発や国際見本市への出展を目指す事業者への支援を開始することにした。

 具体的には、大手衣服販売店のバイヤーをディレクターとして招き、海外でも通用する新製品の開発を監修してもらう。イタリアや中国で行われる国際見本市などで展示にかかる費用も負担する方針で、国際的なブランド力向上につなげたい考えだ。

 初年度となる25年度は、5社程度の支援を予定しており、10月までに対象を選定する。

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