HPの法人向けノートPC「HP EliteBook X G1a 14 AI」は、プロセッサにRyzen AI 9HX PRO 375を採用することにより、マイクロソフトが提唱する「Copilot+ PC」に準拠しており、様々なAI機能が利用できる。そこで今回は、HP EliteBook X G1a 14 AIで活用できるAI機能について見ていきたいと思う。
Copilot+ PCのAI機能はビジネスでも役立つのか
マイクロソフトが提唱しているAI PC「Copilot+ PC」では、Copilot+ PCでしか利用できないAI機能を活用できる。
マイクロソフトがCopilot+ PC向けに提供しているAI機能としては、ペイントアプリに含まれる画像生成機能の「コクリエイター」、動画音声のリアルタイム字幕表示機能「ライブキャプション」、Webカメラで撮影する映像の画質調整や背景ぼかしを行う「Windowsスタジオエフェクト」、PCの過去の作業内容などを簡単に検索できる「リコール」、画面内に表示されているテキストや画像について検索したりデータ活用できる「クリックして実行」といったものを用意している。
これらCopilot+ PC向けAI機能は、ビジネスシーンでもなかなか役立つものが多い。
例えば、リコールは、デスクトップのスクリーンショットを一定間隔で撮影し蓄積するとともに、その内容をAIが解析することで、過去に行っていた作業について簡単にふり返ったり呼び出したりできる。過去に作成した資料やアクセスしたWebページなどを簡単に検索して見つけ出せる。
クリックして実行では、[Windowsキー]+マウス左クリックだけで、画面に表示されているテキストを抽出して他のアプリに貼り付けたり、表示されている画像の画像画像検索が簡単に行える。業務で利用する資料画像からのテキストや画像抽出といった場面で活躍してくれるはずだ。
これまで、時間をかけて自力でファイルを探したり入力したりしていた作業をAIが簡単に処理してくれることで、作業効率を大きく高められ、より本来の業務に没頭できるようになるだろう。
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リコールを使えば、過去に閲覧していた資料やアクセスしていたWebページなどを簡単に検索して見つけ出せる
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クリックして実行では、デスクトップに表示されている画像について検索したり、文字を抽出するといったことが簡単に行える
そして、Copilot+ PCのAI機能は、基本的にプロセッサ内蔵のNPUで処理を行う、いわゆるローカル処理となっている点も、ビジネスシーンで利用する場面で非常に有効だ。
生成AI機能の中には、クラウドにデータを転送して処理を行うものも少なくないが、クラウドを利用することから情報漏洩に繋がる可能性を考慮して生成AIの利用を禁止している企業も少なくない。それに対しCopilot+ PCのAI機能は、一部を除いてオフラインで処理され利用できるため、情報漏洩の懸念は非常に低い。
例えばリコールでは、スクリーンショットの画像やスクリーンショットを解析した情報が全て暗号化されPC内にのみ保存され、検索時の処理もプロセッサのNPUで行われる。しかも、顔認証または指紋認証による本人認証を行わない限り利用できなくなっている。そのため、万が一リコールを利用しているPCを紛失したとしても、蓄積された情報が漏洩する危険はない。
クリックして実行も同様にテキスト抽出や画像認識など全てローカルで処理されるため、安心して利用できる。
このように、Copilot+ PCのAI機能をうまく活用すれば、業務効率を高め、労力を軽減できる。そういった意味で、ビジネスシーンでも大いに役立つと言える。
HP独自AI「HP AI Companion」も便利
HP EliteBook X G1a 14 AIには、Copilot+ PCのAI機能だけでなく、HP独自のAI機能も搭載されている。それが「HP AI Companion」だ。
HP AI Companionは、ビジネスの生産性を高めるためのAIツールで、「検出(Discover)」「分析(Analyze)」「Perform」という3つの機能が備わっている。
検出は、AIアシスタントのように、質問に対してAIが情報を集めてきたりアドバイスを教えてくれるというものだ。例えば「熱中症にならないための対策を教えて」と入力すると、水分補給や涼しい場所での休憩といった有効な対策を、詳しい注意書きとともに教えてくれた。
分析では、ビジネスで利用する書類ファイルなどを登録したカスタムライブラリを作成しておくと、そのライブラリから特定の情報をまとめたり、要約の作成などが行える。
Performは、HP EliteBook X G1a 14 AIのシステム設定やハードウェア設定などを最適化する機能。利用状況に合わせて快適に動作するように自動的に設定が行われるのはもちろん、「スリープまでの時間を変更したい」と聞けば、設定変更方法を詳しく教えてくれる。
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HP独自AIアシスタント「HP AI Companion」。検出/分析/Performの3つの機能を備えており、Webでの情報収集や、ローカルのライブラリに登録した情報の解析や要約が可能
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Performでは、PCの動作を自動で最適化したり、PCの設定方法を教えてくれる
現在HP AI Companionはベータ版ということもあり、試用機ではクラウドに接続した状態でしか利用できなかった。しかし、今後はオンデバイスモードが追加され、PC内でAI処理が可能となる予定。そうなると、情報がクラウドに転送されることがなくなり、ビジネスでも安心して活用できるようになるだろう。そうなると、ビジネスの生産性を高めるAIツールとして有効活用できそうだ。
生成AIだけがAIじゃない
AIというと、生成AIにばかり注目が集まるが、実際にPCでは生成AI以外にもAIを活用している例が結構ある。そのひとつがマルウェア対策アプリだ。
ビジネスで利用するPCには、セキュリティの観点からマルウェア対策アプリの導入がほぼ必須だ。しかし、マルウェア対策アプリがバックグラウンドで動作していると、その負荷によってPC全体の処理速度が低下する場合がある。そのため、マルウェア対策アプリの存在が嫌われることも少なくない。
しかし最新のマルウェア対策アプリでは、マルウェア検出時にCPUではなくNPUを利用するものが増えてきている。これにより、マルウェア検出時のCPUへの負荷が大幅に減り、PCの動作が重くなる場面が劇的に少なくなる。
実際に、HP EliteBook X G1a 14 AIに搭載されているHPのマルウェア対策アプリ「HP Wolf Security」も、一部処理にNPUを活用しているようで、フルスキャン時でもCPUへの負荷を軽減している。
しかもマルウェア検出にAIを駆使することで、より強力なマルウェア検出も可能となる。セキュリティを高めつつ快適性も失われないため、非常に大きな利点となる。
また、先に紹介した「Windowsスタジオエフェクト」も同様。ディスプレイ上部のカメラで捉えた映像に対して、画質調節や背景ぼかし、上半身の自動トリミングなどを行う機能だが、それらはAIを活用しNPUで処理される。
同様の機能はzoomなどのWeb会議アプリも搭載しているが、Windowsスタジオエフェクトを利用することでそれら処理をCPUからNPUに逃がすことができ、システムパフォーマンスを改善できる。これも、有効に活用できるAI機能と言える。
HP EliteBook X G1a 14 AIなら、これからのAI対応も不安なし
今後、PCにとってAIはなくてはならないものとなっていく可能性が高い。実際、様々なアプリが将来のAI対応を視野に入れており、ビジネスシーンでもAIを活用する場面が大きく増えていくだろう。そして、今はまだ意識してAIを活用している場合がほとんどだが、将来は利用者が意識しない部分でも広くAIが活用されるようになっていく。
そして、今回紹介したHP EliteBook X G1a 14 AIなら、高性能なNPUを内蔵するRyzen AI 9HX PRO 375採用によって、そういった未来にも問題なく対応可能だ。そのため、将来を見据えたビジネスPCとして、最適の製品と言える。




