将来宇宙輸送システムは、独自の研究・開発プラットフォーム「P4SD」を用いて、ロケットエンジンの開発効率向上を実証したと9月8日に発表。開発中の液体ロケットエンジンの着火・燃焼試験でリアルタイムでのモニタリングを行い、得られた計測データを基にシミュレーションモデルをすぐに修正、結果のレビューや試験条件の見直しに活用できたとしている。
将来宇宙輸送システム(ISC:Innovative Space Carrier)は、宇宙往還を可能にする次世代輸送システムの実現をめざす、2022年創業のスタートアップ企業。2028年の人工衛星軌道投入をめざすという目標を掲げており、その挑戦には開発効率の向上が欠かせない。
同社では、開発と検証を段階的に反復してフィードバックを即時反映するアジャイル型の開発手法を活用し、開発短期化のために「P4SD」(Platform for Space Development)を用いている。P4SDでは、研究や設計から試験結果の分析、改善に至るまで、開発に関わるすべての過程をデータ化し、クラウド上に集約。開発メンバーが“いつでも、どこでも”同じ情報を得られるのが特徴だという。
これまでもP4SDの改良に向け、ロケットエンジン開発や、ドローンを使った誘導制御・飛行試験で活用してきている。今回はP4SDのシミュレーション改良に向け、2025年4月21日〜5月15日と、6月23日〜7月3日の2回にわたり、滋賀県高島市において、液体ロケットエンジンの着火・燃焼試験を実施した。
試験では、エンジン着火・燃焼に関わる流量・温度・圧力などのデータを取得。AWSを使ったクラウド対応の、オープンソースのミッションコントロールシステム「Yamcs」(ヤムス)を用いて、リアルタイムでのモニタリングに成功したという。試験環境としては、制御とデータ送信にLabVIEWを用いており、計測データの保存と可視化をYamcsが担った。
また、P4SDを活用することで計測結果を即時に反映し、シミュレーションモデルの精度をすばやく向上させることもできたとしており、試験結果の迅速なレビューや、次回試験条件の判断に活用できることを実証したとのこと。
なかでも6〜7月の試験では、P4SDによる即時レビュー機能を活かし、点火器試験を1日150回、エンジン燃焼試験を1日12回実施。短期間で多くのアウトプットを得ることで、アジャイル型開発を実証したとしている。
ISCでは、液体ロケットエンジンの着火・燃焼試験を高頻度で実施しており、8月以降も継続予定。次回は、今回実施したYamcsによるデータ収集・分析に基づき、点火・着火シーケンスの改善とシミュレーションモデルのさらなる高度化を進める。
今後も、試験結果からすばやく設計やシミュレーションモデルへフィードバックできるように、P4SDの設計・テスト・シミュレーションのプラットフォームを拡張。そして、ドローンのフライトテストやロケットの複合試験、飛行試験など、アジャイル型開発の基盤構築を進めていく。


